ゴルフ場の暑さ対策は来年以降どうなる!? クーラー付きカートの普及や新しい芝種の登場など今後期待できることとは?
真夏のラウンドは早朝やナイターラウンドでも命の危険を感じるほどの酷暑でした。この高温多湿な気候はゲリラ豪雨とも相まって、グリーンコンディションも悪化させています。さらなる温暖化も懸念される中ですが、ゴルフ場もただ手をこまねいているわけではありません。2025年にゴルフ場に広まってくるであろう酷暑対策を紹介しておきましょう。
異常な暑さから命を救った送風機付き&クーラー付のゴルフカート
ここ数年、夏のプレーは早朝やナイターラウンドですら酷暑対策が必須といえます。暑過ぎて命の危険すら感じるのでプレーを控えるという人も増えているようですが、そんな人でもゴルフ場に足を向けたくなるゴルフカートが今年からかなり多くのコースで導入され始めました。
それは送風機付き&エアコン付きのカートです。昨年、PGM系列ゴルフ場に導入された「クールカート」は送風機のついた乗用カート。このカートの登場によって非常に幅広いゴルファーが快適にラウンドできるようになりつつあります。
さらに、関東化成工業株式会社という企業からは「ソレイユ」という名称でクーラー付カートが発売されていて、徐々に導入ゴルフ場を増やしているそうです。
カート1台に対しての導入コストは高いはずですが、ゴルファーにとっては数百円から利用できるのはありがたいこと。2025年の夏までには、もっと導入が広まることは間違いないでしょう。
高温多湿過ぎる異常気候でベント芝では病気が発生
高温多湿の気候やゲリラ豪雨にダメージを受けるのは人間だけではありません。近年の特に関東のゴルフ場では、ベントグリーンで藻状に根腐れが発生し、芝が病気になっているコースが数多くありました。
2グリーンのゴルフ場ならば、コーライやティフトンなどのサブグリーンをプレーで使ってもらい、その間にベントのメンテナンスができます。しかし、ベントのワングリーンでは思うようなメンテナンスができず、グリーンが壊滅的な状態になってしまったという話も耳にしました。
もともとベント芝は寒冷地型で、空気と水はけが必要。しかし土に穴を開けるエアレーションでは追いつかなくなってしまい、もはや土壌から全面張替えを行わなければいけない状態になっています。
このまま毎年夏の間は傷んだベント芝で営業を続けていくのか、それともプレーフィーの値上げをしてベントグリーンの改修を行うのか。ゴルフ場のメンテナンスは非常に厳しい状況が続いています。
改良された新しい芝種の登場に期待
高温多湿の気候になってしまった日本のゴルフ場では、寒冷地型のベントグリーンの管理は厳しいものがあります。しかも通常のゴルフ場で考えてもグリーンは18個以上あり、一つずつの管理にそうそう手間暇もかけられません。
コーライグリーンはゴルファーの人気は今ひとつ。芝の密度や転がりなどのよさから、ベントグリーンを求める声は減りません。
そんな中、トヨタから省管理型のプレミアムコーライ芝「TM9」という新種の芝が発売され、注目を集めています。従来品種のコーライ芝に比べて芝の葉が緻密で濃い緑色が映える芝です。グリーンやフェアウェイには適していないそうですが、肥料や芝刈り回数が半分以下に抑えられる点が画期的。クラブハウス周りや芝刈が難しいエリアに植えれば管理が省力化され、ベントグリーンのメンテナンスにそのぶん時間を割けるメリットがあるかもしれません。
ゴルフ場が導入するには前述のカート同様、コスト面の課題はありそうです。ただ今後「TM9」の後継芝が出てきてグリーンにも張れるようになれば、酷暑のコースメンテナンスも状況が変わってくるはずです。
病気のベントグリーンでプレーするのは本当に残念ですが、急激に厳しくなったゴルフ場メンテナンスの過酷さを受け入れ、今後の動向を見守るしかありません。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。
11/16 20:10
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