都会のゴルファーは知らない!? 謎の「地元会員権」って何? なぜ必要なの?
ゴルフ場の会員権は、バブル崩壊後にも高価格で取引されるケースがあり、多くのゴルファーにとってステータスとされています。なかには「地元会員権」と呼ばれる、特殊なメンバー資格を取り入れているところもあるようです。
地元のゴルファーは「あえて」入会が制限されている
ゴルフ場の会員権は、バブル経済が崩壊してから30年以上経ったとはいえ、現在でも高い価格で取引されています。多くのゴルファーにとって「いつかは取得してみたい」ステータスの一つです。
ゴルフ場のメンバーとして認められるにはさまざまな条件が求められますが、ごくまれに「地元会員権」と呼ばれる特殊なメンバー資格を取り入れているところもあるようです。
地元会員権とは一体どのようなものなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「地元会員制度を設けているゴルフ場は全国的に見ても少ないため、聞いたことがない人も多いかもしれません。『ゴルフ場のメンバー』といっても、毎日利用できる権利が与えられている『正会員』や、平日の利用に特化した『平日会員』、さらに女性を対象とした『女性会員』などの種類に分けられます」
「メンバーであれば誰でもフレキシブルに利用できる一方、そのゴルフ場から遠い場所に住むメンバーよりも、近隣に住んでいるメンバーの方が気軽に利用できます。そうなると、近隣のメンバーばかりが利用して、遠方からのメンバーがティータイム(予約枠)を確保するのが難しくなってしまいます」
「そこで、ゴルフ場から近い特定の地域に住む人の入会を制限し、『地元会員権』という数の限られた枠に絞ることで、遠くから訪れるメンバーが利用しやすい環境を作ったのではと考えられます」
地元会員権の制度を導入しているゴルフ場は、神奈川県では多く見受けられるようです。神奈川県は面積の割にゴルフ場が集中しており、比較的どのコースも県内からのアクセスに優れています。
メンバーの構成が県内に在住する人ばかりになるとマーケットが狭まるだけでなく、いずれは会員権の値崩れが発生してしまう恐れがあります。そのため、どちらかというと県外に住む人を優遇とした結果、「地元会員」という概念が作られたのかもしれません。
地元会員権は通常の会員権とは異なる市場で流通しており、取引数が少なかったり、地元の譲渡人からしか名義変更ができない点が特徴で、高値で取引されているそうです。
ちなみに、これと同じような原理で沖縄県や北海道にあるゴルフ場の会員権価格も、あまり頻繁に来られない県外(道外)に住む人を対象としたもののほうが、安く設定されているようです。
地元会員権が希少になったのは、集客率の変化と関係が
一方で、元々は導入されていた地元会員権を撤廃したゴルフ場もあるようですが、地元会員権は今後どうなっていくのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「現在は、一部の名門コースを除いてほとんどのゴルフ場はメンバーでなくても、インターネットで簡単にティータイムを予約することができます。これは『ビジターはメンバーの紹介や同伴がなくてはプレーできない』という元来の方法では集客が難しくなり、収益を少しでも上げるために広まったシステムです」
「かつてはそのようなことはなく、むしろメンバーであっても予約が困難な状態も普通にありました。そこで、メンバーなら誰もが平等にプレーのチャンスを得られるよう、地元会員をはじめとした募集枠の制限をかけていたのです」
「今となってはビジターにも門戸をどんどん開放していったことからも分かるように、需要と供給のバランスが逆転したので、それぞれの会員枠に制限をかける必要もなくなったといえます。そう考えると、地元会員を設けるゴルフ場は、今後も減少していく可能性はあると思います」
地元会員権は居住地にかかわらず、すべてのメンバーが平等にプレーする機会を得られるように作られたものといえそうです。人口減少などこれからの社会情勢によっては、地元会員権の扱いも変わってくるのかもしれません。
10/25 15:10
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