「100切りは常にグリーンセンター狙い」は適切じゃない!? プロキャディー・杉澤伸章が教えるパー3攻略法
「100切りを目指すなら常にグリーンセンターを狙ったほうがいい」とよくいわれますが、プロキャディーの杉澤伸章さんは「必ずしもそうではない」といいます。そこで、パー3のティーショットの成功率を高める方法を教えてもらいました。
「パー3はグリーンセンター狙い」では100を切れない
100切り前後のゴルファーは、パー3のティーショットは常にグリーンのセンターを狙ったほうがいいと、よくいわれます。でも、丸山茂樹選手の全盛期を支えたプロキャディーであり、現在はゴルフキャスターとしても活躍する杉澤伸章さんは、このアドバイスは必ずしも適切ではないと指摘します。
「たとえばこのホール(13番ホール)はけっこう難しいですよね。難しい根拠としては、グリーンに乗る以外はほぼピンチで、逃げ道がないからです。グリーンの左右にバンカーと池があり、奥にもバンカーが待ち構えています」
「普通はグリーンの周辺にセーフティーゾーンがあるので、そこを軸にコースマネージメントしていくのですが、このホールはグリーンに乗せるしかありません。グリーンの両サイドはエッジが少し深くなっているので、ピンを左右に振ったときはさらに難しくなります」
「このような場合、100切り前後の人たちはグリーンのセンターを狙っていくのが一般的だと思うんですよね。でも、それがパー3のティーショットを難しくすることもあります。このホールはグリーンセンターまで179ヤードですが、『その距離をしっかり打つ』という意識を持つと奥のバンカーまで届いてしまう可能性が高くなります」
「本能的に手前の池とかバンカーを越えたいじゃないですか。そうするとインパクトが強くなります。警戒して大きいクラブを持って軽めに打とうとすると、今度はインパクトが緩みます」
「どうすればいいかというと、両サイドのエッジを越える数字をまず頭にインプットするんです。グリーンセンターまで179ヤードで、センターからエッジが15ヤードだとしたら、グリーンエッジまで164ヤードです。両サイドのエッジが少し深くなっていることを考慮すると、170ヤードをしっかり振っていけばエッジを越えて、奥のバンカーにも届きません」
「コースマネージメントの基本は『絶対にやっちゃいけないことは何か』を考えることです。それがクラブ選択につながるのですが、このホールは絶対にやっちゃいけないことだらけなので、その場合は『クリアしなきゃいけないこと』は何かを考えます。それがエッジを越えることです。その発想を考え方の一つとして持っておくと、今後のクラブ選択のプラスになると思います」
斜めの風はティーショットの向きで影響を弱める
「今度は別のパー3(17番ホール)にやってきました。先ほどのホールよりも海が近くなったので、風の影響を受けやすくなります。谷越えのホールでよくあるのが、旗の向きがコロコロ変わることです。でも実は、上空の風の向きって、そんなに変わらないんですよ。そのことを知っておくと、風の読み間違いが少なくなります」
「上空の風の向きをどうやって把握するかというと、これは晴れの日限定の方法なんですが、自分の影を使うんです。自分の影に対して(時計盤の)7時から1時の方向に風が吹いているということを前のホールから把握しておけば、おおよその風向きが分かります」
「風が吹いている場合、『アゲンストは飛ばない』、『フォローは飛ぶ』、『右からの風は左に流される』、『左からの風は右に流される』というのが基本原則です」
「アゲンストのときはクラブの番手を上げる人もいれば、番手を替えずに低いボールを打つ人もいますが、ボクは番手を上げたほうがいいと思います。低いボールを打とうとして吹き上がると距離が全然足りなくなってしまうので、大きめのクラブを持ってスリークォーターショットを打つのが賢明です」
「横風のときは『右からの風なら右を狙う』、『左からの風なら左を狙う』というのが一番シンプルです。でも、風向きが真横ではなく斜めの場合、右斜めの風はティーイングエリアの左サイドから右斜めに打ち、左斜めの風はティーイングエリアの右サイドから左斜め打つと、風の影響を弱めて直線的に打つことができます。7時から1時の方向に風が吹いているのであれば、5時から11時の方向にショットを打てば直線的に飛びやすくなります」
ゴルフのプレー時間は4時間30分~5時間ですが、その中でショットやパットを打っている時間は4~5分だそうです。それ以外は考えている時間です。ショットやパットの精度ももちろん大事ですが、考え方の精度を高めると上達が早まるのかもしれません。
取材協力・カヌチャゴルフコース(沖縄県)
10/23 09:10
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