20センチ以上の“長すぎる”ラフが物議! ロストや誤球で勝負に水を差す可能性も【日本オープンゴルフ】

ゴルファー日本一決定戦が10日に開幕する。会場の東京ゴルフ倶楽部では、秋の長雨や台風の影響で芝を刈る機械が入ることができず、刈るタイミングを逸した長いラフが物議を醸している。

石川遼「過去に自分が経験した中で1位2位を争うくらい深いラフ」

◆国内男子プロゴルフ メジャー第3戦

日本オープンゴルフ選手権 10月10~13日 東京ゴルフ倶楽部(埼玉県) 7251ヤード・パー70

 ゴルファー日本一決定戦が10日に開幕する。舞台は23年ぶりに歴史ある名門コース「東京GC」に戻ってきた。大会最多の8度目の開催で、2001年の前回大会は手嶋多一が通算7アンダーで優勝した。緑豊かな林間コースで、砲台グリーンを囲むように配置された深いガードバンカーが特徴だ。

18番グリーン周りのラフ

18番グリーン周りのラフ

 練習ラウンドを終えた選手たちからは「とにかくラフが長い」という声が多く聞こえた。大会初制覇を狙う石川遼は、「過去に自分が経験した中で1位2位を争うくらい深いラフ。全米オープンでほんとに深いラフを経験したことありますけど、それに匹敵するような感じ」と感想を語った。

「ボールが芝の間のかなり下の方にスポッと入ると、見つかったらラッキー(というくらい深い)。左サイドに1人、右サイドに1人、ボランティアさんがいてもロストはあり得る」とした一方で、「深いラフに入った時はドキドキ感がある」と話した。

 欧州ツアーを主戦場とする中島啓太も「ラフが深いので、そこに入れないようにプレーしたい。これまでプレーしてきた中で一番長いラフです。出すだけで、割り切って無理しないようプレーしたい」と警戒。

 今季4勝で賞金ランキング1位を走る平田憲聖は「とにかくラフが長くて、グリーンも小さい。セカンドショットも長いクラブで狙うことが多いので、キーポイントはいかにフェアウェイから打つか」と、コース攻略のポイントを挙げた。

 2022年大会でアマチュア優勝を飾った蝉川泰果は「例年、日本オープンのセッティングはすごいなと思うんですけど、今年のラフは自分史上一番すごいなと思いました。ラフに入ったらロストすると思ってやらないといけないです。昨日もフォアキャディーさんがいるホールで何回かロストになってしまった」という。

運営サイドも想定外の不測の事態

18番グリーン周りのラフ

18番グリーン周りのラフ

 JGA専務執行役の山中博史氏によると、「場所にもよりますが、150ミリから、深いとこだとおそらく200ミリ。もしかしたら、それ以上あるところもあると思います」という。

 これだけ長く“なってしまった”のには訳があった。当初は120ミリ程を想定したというが、秋の長雨や台風の影響で芝を刈る機械が入ることができず、「ラフを刈るタイミングを逸してしまった」(山中氏)という。

 水分が十分に行き渡った上に、この夏の日照りで想定以上に芝が育ってしまい、山中氏は「選手たちにはちょっと気の毒なんですけど、我々が思っていたよりはかなり長いラフになってしまってる状況」と、不測の事態であることを明かした。

 ロストボールや誤球の可能性が高い状況に対し、ティーショットの落下地点やグリーン周りには「スポッター」という、ボールを確認する(探す)人員を配置するほかに、「レフリー(競技委員)の数も普段よりも少し多くしてます」(山中氏)と、出来る限りの対策を講じる。

「ロストボールになると打ち直しに戻らなきゃならない。日照時間もだんだんと短くなっているので、ロストボールやボール探しの時間は、我々にとっては非常に重要な問題。そこは人海戦術で」(山中氏)。

 この長すぎるともいえるラフが引き起こすロストボールや誤球が、ゴルファー日本一を決めるナショナルオープンに水を差す事態だけはなんとしても避けたい。

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