1Wは50グラム台が流行りのようだけどアイアンシャフトの重量に流行りはある?

数年前に「カルカタ」ブームが到来し、一般アマチュアゴルファーのドライバーシャフトのスタンダードが60グラム台から50グラム台に移行してきました。ではアイアンシャフトには流行があるのでしょうか?人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。

 数年前に「カルカタ」ブームが到来し、一般アマチュアゴルファーのドライバーシャフトのスタンダードが60グラム台から50グラム台に移行してきました。これにはいくつかの要因がありますが、ヘッド重量の増加、カーボンシートやメーカーサイドの製造技術の進化などが大きな理由として挙げられます。

 ただ、個人的な見解では、そもそも一般アマチュアゴルファーにとって60グラム台はオーバースペックだったと思っています。どちらにしてもドライバーのシャフト重量が軽くなった現代においてアイアンシャフト重量の主流が変わらないはずがありません。本日はアイアンシャフト重量の流行りをお伝えしようと思います。

ドライバーとアイアンの重量フローが重要

アイアンシャフトの重量の流行りは?

 これを説明するにはドライバーとアイアンの重量フローを考えなければなりません。プロや上級者は当たり前のようにこの重量フローを考えてクラブのセッティングをしていますが、一般アマチュアゴルファーはここをおろそかにしている場合が多いです。というのも例えばドライバーを買い替えたいゴルファーはほとんどの場合、ドライバーだけのフィッティングや試打を行います。そこで一番結果が良かったものを購入するわけですが、その際にアイアンとの連動性を無視しているパターンが大多数です。私は普段から多くのフィッティングを行っていますが、ドライバーだけ、アイアンだけのフィッティングを行っていないのはそのためです。

 ドライバーとアイアンの重量フローをザックリと説明すると、60グラム台のドライバーシャフトを使用している人は120グラム前後のアイアンシャフトが非常に良い流れとなります。もちろんヘッドやグリップ重量で多少前後はしますが、これらが一般的な重量と仮定すると、この流れが一番良い連動性となります。代表的なスチールシャフトで言えば、「NSプロモーダスツアー120」などが爆発的に売れたのも、当時、ほとんどのアマチュアゴルファーが60グラム台のドライバーシャフトを使用していたからと言えるでしょう。

ドライバーシャフトが50グラム台ならアイアンシャフトは105グラム前後がベスト

 では、ドライバーシャフトの主流が50グラム台に移行してきた現代はというと、アイアンシャフト重量は105グラム前後が非常に良いとされています。近年、スチールシャフトもカーボンシャフトもこの辺りのラインアップが増えてきたのはまさにこのドライバーの軽量化に合わせたものと言って間違いありません。代表的なスチールシャフトで言えば、「NSプロモーダスツアー105」や「ダイナミックゴールド105」、カーボンシャフトで言えば「トラヴィルアイアン105」や「ラウネアイアン105」、もちろんこれ以外にも多くのシャフトが登場しています。これらの全ては50グラム台のドライバーシャフトとの流れを考慮して設計されており、私のフィッティングでもそういった方に試打してもらうようにしています。

 まとめになりますが、ドライバーからアイアンまでの連動性は絶対に無視できません。練習場でそれぞれのクラブを数回打てばある程度真っすぐ打つように調整出来ますが、コースでは当たり前ながら1球勝負です。前に打ったクラブの感覚と全く違うクラブで打つと、ミスになり易いのはある意味で必然と思って下さい。今回は重量をメインにお話ししましたが、もちろんこれだけでは不十分です。硬さ、長さ、調子などクラブの流れの重要性は他にもあります。自分のキャディバッグの連動性が気になる方は、一度トータルフィッティングを受ける事をお勧めします。

【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)

香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。

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