競技ゴルフは上級者だけのものじゃない!? 多様化するアマチュア競技が面白いってホント?

一昔前まで「競技ゴルフ」といえば限られた上級者だけが参加できるものでした。しかし最近では、様々な競技方法を取り入れることで、上級者以外のゴルファーでも気軽に参加でき、上位を狙えるようなものも増えてきているそうです。

チームメイトと力を合わせるスクランブル競技が人気

「『茨城県最強ダブルス選手権』の決勝大会を取材しませんか?」というお誘いがあり、面白そうなので会場のGOLF5カントリーサニーフィールド(茨城県)まで足を運びました。

茨城県「GOLF5カントリーサニーフィールド」で開催された「茨城県最強ダブルス選手権」の決勝大会

茨城県「GOLF5カントリーサニーフィールド」で開催された「茨城県最強ダブルス選手権」の決勝大会

 この大会は名前のとおり、茨城県で一番強いペア(2人1組のゴルファー)を決めるため2024年に新設されたアマチュアゴルファー向けのダブルス競技です。参加資格は2人のどちらか1人が以下の4つの条件を1つでも満たしていることです。

1、茨城県内に在住
2、茨城県内に勤務・在学
3、茨城県内のゴルフ場会員(正会員・平日会員など会員の種別は問わない)
4、茨城県内のゴルフ場の友の会会員など

 競技方法は18ホールストロークプレーのダブルススクランブル方式です。ダブルススクランブル方式とは、まずティーショットを2人で打ってベストボールを選択します。その地点からセカンドショットも2人で打ち(ピンに近づかないように半径30センチの半円内にプレース)、再びベストボールを選択します。それをカップインまで繰り返します。

 そうするとミスショットを選択しなくていいので(2人ともミスショットの場合はどちらかを選択しなければなりませんが)、少ないスコアでホールアウトできる確率が高まります。ただし、1選手につきティーショットを5ホール以上採用するという条件があります。

 茨城県内10カ所のゴルフ場で予選を開催し、各会場20ペア40名、合計200ペア400名の参加者を募ったところ、参加希望者が殺到し、ほぼすべての会場が満杯になりました。その中で決勝大会に進出したのは上位40パーセント。各会場の20ペア40名のうち8ペア16名です。

 人気が集まった理由は好スコアが期待できる競技方式に加え、決勝大会の上位3チームに賞金が用意されていたからです。賞金は優勝20万円、2位10万円、3位5万円(いずれも1ペアの合計金額)です。

「アマチュアが賞金をもらっていいの?」という疑問を抱いた人がいるでしょうが、2022年1月1日のアマチュア資格規則改訂によって10万円以下の賞金を受け取ることができるようになりました。20万円の賞金を2人で受け取り、10万円ずつ分ければアマチュア資格規則に抵触しないのです。

 一方で、エントリーフィーが2人1組で1万円(税込み)かかりますし、プレーフィーも別途支払いますから、賞金を獲得しても黒字になるかどうかは微妙なところです。

将来的には全国大会を開催したい

 賞金はあくまでも大会を盛り上げるためのスパイスという位置づけでしたが、決勝大会は白熱の展開になりました。なんと12アンダー60ストロークで2チームが並び、大会規定(18番ホールからカウントバック)によって優勝チームが決まりました。3位争いも11アンダー61ストロークで3チームが並びました。

アマチュア資格規則の改定によってアマチュアでも賞金を受け取れるようになったことも魅力の一つ

アマチュア資格規則の改定によってアマチュアでも賞金を受け取れるようになったことも魅力の一つ

 大会を主催したGSプランニングの金澤徹さんは、予想をはるかに上回る盛り上がりに手ごたえを感じた様子でした。

「予選の7割が埋まったら成功かなと思っていたんですけど、うれしいことにほぼフルエントリーになりました。参加者の皆さんが『楽しかった』といってくださったので、開催してよかったです」

「ボク自身、いろんなアマチュア競技に参加してきましたが、歴史のある大会や格式の高い大会に個人で出場するのは躊躇される方が多いんです」

「ダブルスのスクランブル方式であれば、自分がダメでもパートナーがフォローしてくれますから気分的にもラクですし、うまくかみ合えば上位進出も狙えます」

「今回はテストケースということでボクの地元の茨城県で開催したのですが、他の都道府県のゴルフ関係者からも『同じような大会をやりたい』という話が来ているので、来年はいくつかの都道府県で『最強ダブルス選手権』をやりたいですね」

「そして何年後かには各都道府県の最強ダブルスを集めて全国大会が開催できたら面白いんじゃないかと考えています」

 競技ゴルフは腕に自信がある人たちが実力を試す舞台であり、腕に自信のないゴルファーは相手にしていないのかと思いきや、近年は実力に不安がある人たちでも楽しめる競技の人気が高まっています。チームメイトのナイスショットだけをいいとこ取りできるスクランブル競技なら、普段のラウンドでは味わえないゴルフの違った楽しみ方が体験できるかもしれません。

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