“2冠”リディア・コはクラブ契約フリー 混合セットの内容と謎の“激シブ”プロトタイプパターの正体とは?

パリ五輪での金メダルと全英女子オープンのメジャータイトル。ダブルで栄冠に輝いたリディア・コはどんなクラブセッティングで戦っているのでしょうか。

「使っているクラブの中で一番気に入っているのはパター」

 8月1週のパリ五輪で金メダルを獲得したリディア・コが、3週間後の「AIG(全英)女子オープン」でも優勝。8年ぶりにメジャータイトルを獲得しました。そのセッティングを調べると、意外なクラブを使っていることが分かりました。

五輪とメジャーを制し、最高の年となったリディア・コ 写真:Getty Images

五輪とメジャーを制し、最高の年となったリディア・コ 写真:Getty Images

 クラブ契約フリーのリディア・コ。昨年は年間のポイントランキングで100位と苦しみましたが、今年1月の開幕戦で復活優勝。開幕戦のドライバーは「G430 LST(以下、LST)」でした。

 それが今年8月の「パリ五輪」では慣性モーメントが10000g・cm2を超えたことで話題になった「G430 MAX 10K(以下、10K)」を使用。「AIG(全英)女子オープン」でも引き続き「10K」を使っていました。

「LST」と「10K」はまったくタイプが違うドライバーだと思われがちですが、実は「10K」のヘッド構造は「LST」と同じ「カーボン・フライ・ラップ・テクノロジー」を採用しているのでスピン量が抑えられています。リディア・コは高慣性モーメントによるミスヒットへの強さはもちろん、低スピン性能が気に入って「10K」を使っているのかもしれません。

 フェアウェイウッドは「G430 MAX」、ユーティリティは「G430」、そしてアイアンは「i230」と「ブループリント S」のコンボセット。14本のクラブのうち9本がピンです。

 そして残りの5本がタイトリスト。ウェッジはPWを含めた4本が「ボーケイ」で、パターは「スコッティ・キャメロン」のプロトタイプです。センターシャフトのマレット型で、焦げ茶色のような落ち着いた渋いカラーリングがカッコイイ仕上がりとなっています。

 金メダル獲得直後の海外メディアの会見では「使っているクラブの中で一番気に入っているのはパター」と答えていました。パターグリップは「QUAD TOUR 15」という珍しいモデルを使っています、これは四角形に近い形をしていて、通常のパターグリップよりも長いことが特徴です。

 ちなみに筆者がはじめてリディア・コに取材したのは2012年に取材に行った「ニュージーランドPGA選手権」でのプロアマ戦でした。当時から、ニュージーランドで天才少女として有名だったこともあり、地元の新聞では試合に出場していた男子選手ではなく、リディア・コが一番大きく扱われていました。

 そのときのセッティングを取材すると、フォーティーンのドライバーにロイヤルコレクションのフェアウェイウッドを使っており、「日本のクラブが好き」とも言っていました。そして14本の中で最も得意なクラブを聞くと、やはり「パター!」と元気よく答えてくれました。

 プロになって17歳で世界ランキング1位になり、LPGA通算21勝を挙げて、27歳という最年少でLPGA殿堂入りしたリディア・コ。全盛期もあれば、スランプに苦しんだこともありましたが、パターが好きなことは15歳の頃から変わっていないようです。

2024 リディア・コの最新セッティング

1W:ピン G430 MAX10K(ロフト角/9度)
3W:ピン G430 MAX(ロフト角/15度)
3U、4U:ピン G430
5I-7I:ピン i230
8I、9I:ピン ブループリントS
PW、AW、GW、SW:ボーケイ SM10
パター:スコッティ・キャメロン プロトタイプ(グリップ/QUAD TOUR15)

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