「キャディーつきプレー未経験者」増加の弊害とは? ゴルフ場は「部分的キャディー」の導入を考えるべき!?

ベテランゴルファーのほとんどは「キャディーつきプレー」を一度は経験したことがあるはずです。しかし、近年ゴルフを始めた人は、一度も「キャディーつきプレー」を経験していない場合も多く、プレーの進行やマナーなどで弊害が出たりしています。

一度も「キャディーつきプレー」を経験していない人はムダが多い

 昨今は全組キャディーつきプレーで営業しているゴルフ場は少数派で、ほとんどのゴルフ場はキャディーつきプレーとセルフプレーの選択制、もしくはセルフプレーのみの営業となっています。

 キャディーつきプレーのニーズは仕事関係のラウンドとコンペに限られているようです。需要の多い日と少ない日の差が激しいため、大人数のキャディーを定期雇用するのは難しく、派遣キャディーなどを起用しながら必要な人数を確保しているのが実情です。

キャディーつきプレーを実施していないゴルフ場も多く、一度も経験することなくプレーを続けている人も多い 写真:PIXTA

キャディーつきプレーを実施していないゴルフ場も多く、一度も経験することなくプレーを続けている人も多い 写真:PIXTA

 一方で、仕事関係でラウンドする人やコンペに参加する人はプレーに慣れているので、キャディーさんは極めてスムーズにラウンドを進めることができます。むしろキャディーのサポートが必要なのは、前の組でボールの行方を見失い、3分以上経過してもボール捜しを続けていたり、距離判断やクラブ選択のミスでプレーに時間がかかっていたりするセルフ4人組ではないかと感じることがあるそうです。先日ラウンドに帯同してくれたキャディーさんがこんな話をしていました。

「今の時代にキャディーつきプレーを選択してくださるお客様は、キャディーつきもセルフも経験したことがあります。『今日のラウンドはセルフよりもキャディーつきのほうが同伴者に気持ちよく回ってもらえるだろう』ということでキャディーつきを選んでいます」

「一方で、セルフが主流になってからゴルフを始めた方は、キャディーつきプレーを一度も経験したことがありません。そのような方を後ろから見ていると、すぐに分かります。乗用カートからボールに向かう際もクラブを1~2本しか持っていかず、チョロしてクラブを取り替えに戻ったりします」

「バンカーに入る際も、アゴが低い位置から入ること、バンカーレーキを持ってボールのところに行くこと、バンカーショットを打ち終えたら砂を均しながらバンカーを出ること、という基本的なマナーを知らない方を多く見かけます」

「昔からゴルフをされている方はそういったマナーを会社の先輩から厳しく教わったものですが、最近ゴルフを始めた方は会社の先輩・後輩ではなくプライベートな仲間と一緒にラウンドしていますから、マナーを教える人が誰もいません」

「そういう方にこそキャディーつきプレーを一度経験してほしいのですが、キャディーつきはセルフよりも料金が高いので、選択してくださいません。それがゴルフ場の悩みの種です」

出だし3ホール限定キャディーつきプランの導入を

 筆者もラウンドのほとんどがセルフプレーですから、キャディーつきプレーは料金が高いから敬遠する気持ちはよく分かります。しかしながら、マナーを教えてくれる人が周囲に誰もいないと、いつまで経ってもマナーを覚える機会がないのではと心配になります。

 ゴルフ場関係者と話をしていると、ビギナーにマナーを教えるのは同伴者の仕事と考えているフシがあります。しかし、ゴルフ場の使い方を来場者に教えるのはゴルフ場の仕事です。前出のキャディーさんも、ゴルフ場の使い方を知らないお客さんに使い方を教えたいのに、料金プランの問題で教える機会がないことにもどかしさを感じています。

 それであれば今までにない料金プランを新設する方法もあるのではないでしょうか。セルフ1万円、キャディーつき1万4000円という2択ではなく、出だし3ホールのみキャディーつき1万800円という料金プランを導入するのです。そうすれば「セルフプレーにプラス800円でキャディーつきプレーが経験できるなら1回試してみよう」というゴルファーが増えるかもしれません。

 キャディーフィーも特定の組に18ホール帯同して1人4000円×4サム=1万6000円という計算式ではなく、3ホール800円×4サム×6組=1万9200円という計算式のほうが効率よく稼げる可能性があります。

 ハーフ2時間15分ペースだと3ホールで45分です。3ホールの帯同を終えてスタートホールに戻り、次の組に帯同するまでの時間が15分と仮定すると、6時間で6組に帯同することができます。

 マナーの問題とプレー進行の問題を同時に解決する方法として、キャディーつきプレーの部分的導入という選択肢は一考の余地があるのではないかと思います。

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