曲がりの原因は「5S」にあった!? ピンのフィッティングで分かったドライバーの適正スペックとは?

人気メーカー、ピンの直営店「PING FITTING STUDIO みなとみらい」を訪れたe!GolfスタッフのTさんは、最後にドライバーのフィッティングを体験。ピンと言えば曲がらない「10K」のドライバーが話題になっていますが、Tさんが一番驚いたのは適正スペックのシャフト選びだったようです。

「チーピン」が一番の悩み

 多くのアマチュアゴルファーが「より良いものが欲しい」と考えるクラブがドライバーです。コースで思い切り振れたら気持ちいいですし、ティーショットが飛んで曲がらなければスコアも確実に安定します。逆に、スライスやチーピンが頻発して、ペナルティーが増えるとスコアが乱れてしまいます。

「G430 MAX 10K」ドライバーを中心にピンのフィッティングを体験

「G430 MAX 10K」ドライバーを中心にピンのフィッティングを体験

 e!GolfスタッフのTさんも、ティーショットを曲げてスコアを崩してしまうことに悩む1人。ドライバーが当たれば240ヤード以上飛びますが、ミスをした時の曲がり幅が大きく、平均スコアは100~110と伸び悩んでいます。そこで今回はドライバーの安定性に定評のあるメーカー、ピンの直営店「PING FITTING STUDIO みなとみらい」(横浜市西区)でフィッティングを体験しました。

 Tさんにとっての飛んで曲がらないドライバーとはどんなものなのでしょうか。「PING FITTING STUDIO みなとみらい」に在籍する永野隼斗さんがフィッティングを担当してくれました。

【Tさん】※以下、【T】
 どのクラブにも共通しているのですが、左に大きく曲がる「チーピン」が一番の悩みです。特に思い切り振ろうとした時に出ることが多いです。

【永野さん】※以下、【永】
 まずはマイクラブを使って、弾道データを計測しましょう。今は海外メーカー製のヘッドに、「5S」(※50グラム台でSフレックス)のカスタムシャフトを装着していますが、ヘッドタイプやロフト、シャフト重量が合っているのか探っていきます。

話題の「10K」も無料で試打できる

 Tさんのマイドライバーでのデータを見ると、トータル距離は244.9ヤードで、キャリーは210.7ヤードでした。

【永】今日の計測では左右のバラつきはそこまで出ていませんね。トータル飛距離も244ヤード出ていますが、気になるのはキャリーが210ヤードと伸びていないことです。打ち出し角が低い分、最高到達点が出ておらず、ボールが落ちてしまっていますね。

【T】高さはあまり気にしたことなかったです。

【永】高さが出にくいことでスイング時の力みが生まれて、左に引っかけるミスが出ていた可能性がありますね。それでは早速、フィッティングに移っていきましょう。ピンの「G430」シリーズでは4つのドライバーをラインアップしていて、標準的なタイプの「MAX」、つかまりの良い「SFT」、低スピンの「LST」、そして最新モデルの打点のブレに強い「10K」があります。

【T】「10K」はずっと気になっていたので、ぜひ試したいです。

【永】Tさんはヘッドスピードが速めですので、ご希望の「10K」と比較として「LST」をテストしてみましょう。シャフトは純正の「PING TOUR2.0 クローム」を装着しますね。

2タイプのヘッドをテストするTさん

2タイプのヘッドをテストするTさん

【永】低スピンタイプの「LST」はヘッド体積が440ccと小ぶりになっています。その分、フェースの開閉がしやすいので人によってはボールのつかまりが良くなるのですが、Tさんの場合は少し左のミスが出ていますね。一方で「10K」は左右のブレが圧倒的に少なく、打ったボールが同じような地点に集まっています。打点ブレの強さがしっかり結果として出ているので、「10K」のヘッドを中心に最適なスペックを探していくのが良いと思います。

【T】「10K」は叩いても暴れない安心感がありますし、ボールの飛び方も良かったです。ぜひ「10K」でフィッティングをお願いします。

シャフトの重さによって計測値が大きく変わる

【永】実は最初のヘッド選びのテストで、Tさんにとってのシャフトの最適スペックもチェックしていました。Tさんは普段、「5S」のカスタムシャフトを使っていましたが、軽過ぎることが左に巻くボールが出る原因ではないかと思いました。そこで60グラム台でSフレックスの「PING TOUR2.0 クローム」を装着し、試打をしていただきました。

【T】たしかに気持ち良く振れる感じはありましたが、いつもより重いシャフトだったんですね。今まで「5S」のシャフトしか振ったことがなかったですし、その重さに疑問も特に抱いていませんでした。シャフトの重量に問題があったとは…。

【永】試しに同じ「10K」のヘッドで50グラム台の純正シャフトを装着しますので、打ってみてください。

今回試打したシャフトの一覧

今回試打したシャフトの一覧

【T】こんなに違うんですね。考える余地もないくらい60グラム台の方が気持ち良く振っていけます。

【永】データを見ても、60グラム台の方がボール初速が出ていますし、方向性のバランスもいいです。50グラム台はお悩みのチーピンも出ていましたから、シャフト重量は60グラム台が推奨になります。一応、70グラム台のシャフトも試すことが可能ですが、試打しますか?

【T】せっかくなので打たせてください!

【永】では、「PING TOUR2.0 ブラック」の70グラムSフレックスにシャフトを交換しますね。

【T】70グラム台は、一気に重く感じますね。硬さもあって、ダウンスイングでヘッドが返ってこないです。

0.25インチ刻みでシャフト長の調整が可能!

【永】今までになかった右に抜ける球が出ていますね。Tさんの場合は、60グラム台がパワー的にも、スイング的にも最適で、一番結果が出ることは間違いないです。あとは長さを調整していきましょう。ピンではカスタムオーダーで0.25インチ刻みでシャフト長を調整することができます。試打クラブは0.5インチ刻みで用意しておりますので、まずは短めの44.75インチを打ってみてください。

45.25インチのシャフトを装着した際の弾道データ

45.25インチのシャフトを装着した際の弾道データ

【T】短くするとボールに当てやすい感覚は出てきますが、左に引っかけるミスが出やすい気がします。

【永】シャフトが短い分、フェースもターンしやすくなりますので、引っかけに悩むTさんですと、方向がバラつくかもしれませんね。では少し長い45.25インチも試してみましょう。

 45.25インチのシャフトを装着して、弾道データを計測します。

【永】0.5インチ長さが違うことで左へのミスがなくなり、弾道の高さもしっかり出てくれています。(ドライバーの前にフィッティングした)アイアンは少し短く調整することで弾道が整いましたが、ドライバーの場合は方向性と弾道のバランスを考えて45.25インチが推奨になります。

【T】このドライバーならコースでも安心して振れて、スコアが良くなりそうです!

ヘッドの性能を最大限に引き出すのがフィッティング

 ウェッジ、アイアンに続きドライバーのフィッティング体験を終えたTさん。改めてフィッティングを受けて、スペック調整をすることの大切さが実感できたと話します。

「今まではどんなヘッドを選ぶかが大切で、スペックは二の次でした。でも今回、ピンの緻密なフィッティングを受けて、スペックが違うことでどんなミスが出やすくなって、自分にはどんなものが合うのか知ることができました。しっかり調整したクラブを使えば間違いなく結果が出てくれると思う一方で、ちゃんと調整せずにつるしのクラブを使うのは少し怖いとも感じています。ゴルファーそれぞれパワーもスイングも違いますし、ミスを最小限に抑えるためにもフィッティングを受けることはすごく大事になると思いました。今後、クラブを買うときは絶対フィッティングを受けるようにします」(Tさん)

 フィッティングを担当してくれた永野さんも、新しいクラブを購入する際にはぜひフィッティングを受けてほしいと話します。

「ピンの理念として、ゴルフレベルに関係なく、一人一人の体形やスイングに合わせてパフォーマンスを最大化するために長年、フィッティングを推奨してきました。ゴルファー自身の感性も大切にしながら、最適なスペックを決めていくことで、コースでしっかり結果の出るクラブを手にすることができると考えています。ぜひゴルファーの皆さまにはフィッティングを活用いただきたいです」(永野さん)

 ゴルフクラブのスペック調整は、非常に細かく複雑で、しかもクラブごとに考え方が変わることもあります。専門知識を持ってスイングを分析し、クラブを調整してくれるフィッティングは、あらゆるゴルファーに利用してほしいサービスであることは間違いありません。もし、今お持ちのクラブでショットの不調に悩んでいるなら、ぜひ一度フィッティングを受けて、クラブを見直してみてはいかがでしょうか。

【取材協力】PING FITTING STUDIO みなとみらい
横浜市西区みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークタワー内ランドマークプラザ2階

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