“家族でゴルフ!”な人は要チェック! 最近よく聞く「終身会員制度」ってナニ?

せっかく買ったゴルフ会員権なのに、年をとるにつれて、どんどんゴルフ場から足が遠のき、気がつけば休眠会員……。こんな身近な問題を解決する一助となりそうな「終身会員制度」について、専門家に話を聞いてみました。

“休眠会員”になる前にチェックしたい制度

 ゴルフ会員権の購入直後は毎週のようにゴルフを楽しんでいた人も、歳を重ねるにつれて、どんどんゴルフ場から足が遠のき、いつの間にか休眠会員状態に……。

 高齢化が進むのはゴルフ業界も例外ではないだけに、ゴルフ会員権所有者にありがちな、この手の話を最近よく耳にします。

 一方コロナ以降、高齢のゴルファーを含めた二世代三世代家族でゴルフを楽しむ人たちが増えたという話も聞きます。

コロナを境に二世代三世代でゴルフを楽しむ家族を見かける機会が増えてきた 写真:AC

コロナを境に二世代三世代でゴルフを楽しむ家族を見かける機会が増えてきた 写真:AC

「そうですね。最近、ご家族でプレーを楽しんでいる方々を目にする機会が増えたように感じます」と語るのは、四半世紀に渡り、ゴルフ会員権を専門に扱ってきた加賀屋ゴルフ代表の前田信吾さん。

「屋外スポーツのゴルフは三密を回避できるとあって、コロナを境に人気を大きく盛り返しました。人々はゴルフというスポーツの楽しさ、面白さに再び気付くと同時に、多くの人が生涯スポーツと呼ばれるゴルフの奥深さや魅力にひきつけられたのだと思います」

 経験や力量、性別や年齢などが各人異なっても、誰もが一緒に楽しめるのがゴルフ。「家族でプレーしてみたら意外と楽しかった!」という声が聞かれるのも、納得かもしれません。

「世代を超えた老若男女が一緒に楽しめるゴルフのようなスポーツは、そうそうないですからね。確かに『年をとると、だんだんゴルフ場に行くのが億劫になって年会費だけ納める“休眠会員”になっちゃったよ』という話も聞きます。でも、もしもその方のご家族がゴルフをされるなら、ゴルフ場によっては『終身会員制度』と呼ばれるシステムを導入している場合がありますので、ぜひ一度ご検討いただきたいと思います」

会員本人が元気なうちに利用できる「終身会員制度」は意外とお得

 ゴルフ会員権は親族に譲ることが可能な資産です。

 個人会員の方が亡くなった後に相続人へ名義変更をするのが、いわゆる“相続”ですが、ゴルフ会員権は会員本人が生前中でも親族に会員権の名義変更をすることが可能で、これは“生前譲渡(生前贈与)”と呼ばれています。

 前田さんによると、前出の「終身会員制度」はまさにこの“生前譲渡(生前贈与)”に該当するシステムだそうで、手続きの際には名義変更料(名義書換料)が必要となってきます。

「会員ご本人がプレーする機会は減ってきたけれども、かといって売却する気もない。そんなとき、家族や親族にゴルフをする人がいるのであれば、所属するゴルフ場に「終身会員制度」があれば利用する価値は大いにあると思いますよ」

「手続きの際に名変料は必要ですが、『終身会員制度』を導入している多くのゴルフ場では、通常の名変料とは異なり大幅に減額している場合が多く、考え方によってはかなりお得なんです」と前田さん。

 でも家族や親族とはいえ名義変更をしてしまうと、ゴルフから完全にリタイアした感があり、少々寂しい気もしますが……。

「いやいや、『終身会員制度』を利用するなら、それほど寂しい気分にはならないと思います。この制度を導入しているゴルフ場によって資格要件は若干異なりますが、会員権を生前譲渡した本人が『終身会員』になっても、メンバーだったころと同じようにプレーできるし、月例のような公式競技会に出られるゴルフ場もありますからね」

千葉夷隅GCはクラブ在籍3年以上で満50歳からOK

 比較的割安な名変料で会員権自体は家族や親族に譲り、自らも終身会員となって残ることができる「終身会員制度」。年会費やプレーフィーは、どのようになるのでしょうか?

「例えば『会員権を一親等の息子に譲った』としましょう。息子さんは会員ですから通常通りの年会費を支払い、メンバーフィーでプレーできます。もちろんハンディキャップを取得したり公式競技会にも出られます」

「グリーンが秀逸で面白い!」と前田氏が語る千葉夷隅GC 写真提供:加賀屋ゴルフ

「グリーンが秀逸で面白い!」と前田氏が語る千葉夷隅GC 写真提供:加賀屋ゴルフ

「終身会員になったご本人も大抵の場合、通常の年会費を支払います。基本的には終身会員もメンバーフィーでプレー可能です。ゴルフ場によってはハンディキャップも継続できますし、公式競技会に出られるゴルフ場も一部あるようです」と、前田さん。

 単純に考えると、2人分の年会費を支払うことにはなりますが、1つの会員権で2人がメンバーとして在籍できるといったイメージでしょうか。

「そうですね。ゴルフ場によっては、終身会員の方の年会費が割安になる場合もあります。ただ、こういった場合はメンバーフィーでプレーできるけれども、各競技会へのエントリーはNGというところもあるようですね」

「千葉夷隅ゴルフクラブ(千葉県)を例に挙げてみてみましょう。こちらのゴルフ場の『終身会員制度』は、とても利用しやすく人気があります。平成24年8月に親族名義書換料の変更があり、それまで43万2000円(税込み)だった正会員の書換料が2万1600円(税込み)になり、親族名義書換の範囲も従来の『二親等以内』から『三親等以内』ヘと変更になりました」

「『終身会員制度』はさらに令和元年11月に改訂がありまして、クラブ在籍3年以上で満50歳以上の個人正会員、個人平日会員は自身の会員権を三親等以内の親族(※満20歳以上の男女)に譲渡することができ、ご本人も終身会員として残れるといった内容です」

 終身会員は、個人正会員、個人平日会員と同様の年会費が必要だそうですが、有する資格もほぼ同じなら、1つの会員権で正会員(または平日会員)と終身会員の2人が所属できる計算になります。これはとてもお得ではないでしょうか。

「ゴルフは生涯スポーツですからね。今まで築いてきたメンバー同士のコミュニティーを失うことなく無理のない形で継続していけることは、お金では買えない価値があると思います。さらにその素晴らしい関係性を息子や娘、孫といった次世代に繋ぐこともできるんです。たまには“家族同士でラウンド”なんていうのもいいかもしれませんね」

 会員からの評判もよく、多くのゴルフ場で導入し始めている「終身会員制度」。すでに家族でゴルフを楽しんでいる人、そして、いつかは家族でゴルフを楽しみたいと夢みている人は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

【監修】加賀屋ゴルフ代表 前田信吾さん

ゴルフ会員権取引を行う加賀屋ゴルフ代表取締役。ここ10年は、2日に1回の割合でラウンドを楽しむゴルフの達人(2023年は年間219回!)。独自の視点を生かしたゴルフ場の比較&検討に定評アリ。

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