ゴルフ場を利用した時の領収書に“謎”の「緑化協力金」という項目が! いったい何に使われているの?

一部のゴルフ場の領収書には「緑化協力金」と書かれていることがありますが、正体をよく知らない人も多いかもしれません。では、どのようなものに使われるお金なのでしょうか。

設立以来、累計110億円以上が集まっている

 ゴルフ場で精算を済ませた後に領収書を見てみると、プレー料金本体のほかにも「ゴルフ場利用税」などの税金がかかっていることがあります。

集まったお金は植樹活動や被災地の復興支援などにも使われている 写真:AC

集まったお金は植樹活動や被災地の復興支援などにも使われている 写真:AC

 また、ごく一部のゴルフ場では「緑化協力金」と書かれた項目が存在しますが、知らないという人も多いと思います。

 では、緑化協力金とは一体どのようなものなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「緑化協力金とは『公益社団法人ゴルフ緑化促進会』という団体が提携を結んでいるゴルフ場を利用した人から徴収するもので、1人当たり50円をグリーンフィーやキャディ―フィー、ゴルフ場利用税とともに支払っています。名前から考えると『ゴルフ場のコース管理のために使われるもの』と思い込みがちですが、実際には学校の校庭や福祉施設、公園や河川などをはじめとした緑化事業を促進し、人々の生活環境の改善とゴルフが国の環境整備に貢献できるものにすることを主な目的としています」

「よく話題に上がる『ゴルフ場利用税』は一部の非課税対象者を除いた全てのゴルファーに支払い義務が生じますが、緑化協力金に関してはあくまでもゴルフ緑化促進会に加盟しているゴルフ場のみに設定されているものです。そのため、どのゴルフ場でも50円を追加で支払っているというわけではありません」

 現在、ゴルフ緑化促進会に加盟しているゴルフ場は全国におよそ50カ所あり、そこに銀行や電力会社、公益社団法人日本パブリックゴルフ協会などが賛助会員として加わっています。さらに、女子プロゴルファーのパイオニア的存在として知られる樋口久子さんは、名誉会員として名を刻んでいます。

 最新のデータでは、日本にはおよそ2100のゴルフ場があるとされ、緑化協力金を導入しているゴルフ場は少数派といえます。しかし、1976年の設立以来、延べ 2億2000万人相当のゴルファーからの協力があったため、単純計算でもおよそ110億円以上を緑化事業に充ててきたことになります。

ゴルフを通して緑豊かな国にすることを目的に設立

 では、ゴルフ緑化協力金とはどのような経緯で作られたものなのでしょうか。公益社団法人ゴルフ緑化促進会の担当者は以下のように話します。

「当会は1976年に設立されましたが、当時は高度経済成長という背景もあって、全国でゴルフ場が一気に建設されていった時代でもありました。そのような中で、ゴルフ場の造営が『環境破壊につながる』と世間から批判の対象にもなっており、一部のゴルファーの間で『自分たちが日本のため貢献できることとは何だろう』という意識が生まれました。そこで、ゴルフを通して国土全体を緑豊かなものにすることを目的に立ち上げられました」

 近年の主な活動内容については以下のように説明します。

「各自治体が望まれる緑化や植樹活動、緑が失われた被災地の復興支援、さらには子供たちを対象にした環境保全に関するイベント開催などを行っています。また、最近では管理が行き届いておらず樹木が必要以上に乱立してしまっている森林も多いので、伐採といった手入れを適宜行い、森が常に健全な状態でいられるような作業もしています」

 ゴルフ緑化促進会に加盟しているゴルフ場は約50カ所しかないため、「緑化協力金」の存在を知らなかった人も多いと思います。支払ったお金が何に使われているのか知ることができれば、むしろ加盟しているゴルフ場に行ってみようと思う人もいるのではないでしょうか。

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