「二度とゴルフ場に行きたくない!」と感じさせないために… コースデビューを成功させるコツと注意点

ビギナーだけのコースデビューは非常にハードルが高く、多くの場合は経験者が引率する形になります。ビギナーが上手にコースデビューするための「コツ」や「注意点」はあるのでしょうか。インドアゴルフレンジKz亀戸店で数多くのビギナーをコースデビューに導いた筒康博ヘッドコーチに話を聞きました。

コースデビューで「理想のタイミング」は

 ビギナーにとって、コースデビューは練習場に通う時とは比べ物にならないほど高いハードルが存在します。

 しかも未知の世界ながら「迷惑をかけちゃいけない」「ルールとマナーは大丈夫か?」などのほかに、ゴルフ場の予約から道具の準備まで「楽しい」とは程遠い様々なプロセスを踏まなければなりません。そんなことから、経験者の手助けなしに快適なコースデビューするのは難しいのが現実です。

ビギナーがコースデビュー後にもゴルフを続けたいと思うかどうかは引率ゴルファー次第

ビギナーがコースデビュー後にもゴルフを続けたいと思うかどうかは引率ゴルファー次第

 私はゲームがきっかけでゴルフを始め、コースデビューまで「ひとり」で行いましたが、現在のようにレッスンプロの指導を受けていたら良かったと思う反面、「自らコースに行きたい」と思ったタイミングでデビューを果たせたことは間違っていなかった気がします。

 私がヘッドコーチを務める「インドアゴルフレンジKz亀戸店」にもたくさんの人が訪れ、ゴルフをスタートさせてコースデビューを果たしています。稀に、まだクラブすら握ったことがないにも関わらず「会社のコンペが来週あるので練習しないといけない」という人もいます。

 ムリなタイミングでコースデビューせざる得ないビギナーの多くは、「楽しい」と感じるよりも「辛い」が勝ってしまいがちです。コースデビューのタイミングに正解はないのですが、明らかに「まだデビューしたくない」人をムリに周りのゴルファーがデビューさせてしまうのは、長い目で見た場合あまりよいことではない気がします。

数多くのコースデビューを行なっているレッスンプロたちは、デビューまでのプロセスと環境作りに細心の注意を払っている

数多くのコースデビューを行なっているレッスンプロたちは、デビューまでのプロセスと環境作りに細心の注意を払っている

 ほとんどのビギナーにとって準備の長さに関係なく「コースデビューは打ちのめされるもの」と考えると、「そろそろコース行っても大丈夫ですか?」ぐらいの気持ちが芽生えてからが理想のタイミングなのかも知れません。

スイングやルールを教える前にデビューで伝えるべきは「安全第一」

 TVや映画等で「ゴルファーが観たくないもの」の一つが、ゴルフクラブを使ったバイオレンスなシーンではないでしょうか。それだけ、ゴルフクラブを振り回すの行為が「危ない」ということです。

 備えとしてゴルファー保険の加入も含め、コースデビュー前のビギナーには必ず「安全第一」で全ての状況を判断するように伝えています。

正しいスイングや公式ルールを教える前に、まず事故やケガがないよう「安全第一」を心がけるべき

正しいスイングや公式ルールを教える前に、まず事故やケガがないよう「安全第一」を心がけるべき

 具体的には「周りに人が居ないことを確認してから素振りをする」や、「急いでいてもこれから打つゴルファーよりも前方に出ない」などを事前にしっかり伝えておくべきです。

 引率ゴルファーにとっては「当たり前な注意点」ですが、何も知らないビギナーが知っている保証は何もありません。「真っすぐ飛ばしたい」「前の組に遅れちゃいけない」と思うあまり、知らず知らずに「安全第一」ということが頭の中から抜けている場合も考えられるのです。

 また「進行第一では?」と考える経験者の声も理解できますが、そもそもスロープレーは打ち込みやマナー違反の原因になる渋滞を引き起こす危険行為でもあります。

 引率ゴルファーがレッスンしながらプレーしている光景を見かけますが、そんなことよりも事故やケガなく「安全第一」で無事に終える方が重要だと知って欲しいです。

ホールアウトやスコア記入は二の次。スムーズな時間の使い方を体験させる

「どんなコースデビューだったか?」は、その後のゴルフに大きな影響を及ぼすので「引率ゴルファー」の責任は重大です。

 プレー進行を気にせず、公式ルールや完全ホールアウトに固執するのは論外です。カップインの喜びやバンカーショットの難しさを体験させてあげたいなら、「スムーズな進行」のためにも途中のプレーをジャンプすればいいだけのことです。

引率ゴルファーがビギナーに対して「どんなデビューをセッティングしたか?」は今後のゴルフ人生に及ぼす影響が大きい

引率ゴルファーがビギナーに対して「どんなデビューをセッティングしたか?」は今後のゴルフ人生に及ぼす影響が大きい

 何年も練習しショートコースを経験したうえでのデビューでもない限り、スコア記入の必要も全くないと思います。

 いくつかのホールでグリーン上からカップインさせるまでを体験できたり、バンカーから何回か打つ経験さえできれば、「うれしい」「悔しい」「楽しい」「もっと練習しなきゃ」と思えるようになるはずです。

 難し過ぎたり、歩くだけでも大変なコース選びをしないのも重要です。ビギナーに「スムーズな進行」と「時間の使い方」を体験させてあげられれば、ホールの途中を「ワープ」しながらでもコースデビューの価値はあるはずです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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