【競馬予想】秋華賞で「3強」を出し抜く馬はいるか? 穴党記者が密かに期待する伏兵2頭

 3歳「牝馬三冠」の最終戦となるGI秋華賞(京都・芝2000m)が10月13日に行なわれる。

 春の牝馬クラシック二冠は、GI桜花賞(4月7日/阪神・芝1600m)をステレンボッシュ(牝3歳)が、GIオークス(5月19日/東京・芝2400m)をチェルヴィニア(牝3歳)が勝利した。近年結果を出している有力馬と同様、2頭はともにオークスからの直行で秋華賞に臨む。

 その一方で、春にはGIIIクイーンC(2月10日/東京・芝1600m)を勝っている素質馬クイーンズウォーク(牝3歳)が、前哨戦のGIIローズS(9月15日/中京・芝2000m)を完勝。今年は、この3頭による"三つ巴"の様相を呈している。

 秋華賞は過去2年、人気上位の3頭が1~3着を独占。そうした流れからすると、今年も「3強」ですんなり決まってもおかしくない。

 だが、過去10年の結果を振り返ってみれば、そういったことはレアケース。1番人気馬にしても、よほど抜けた存在でなければ、好走することさえ難しい状況にある。この点について、日刊スポーツの奥田隼人記者が言及する。

「過去10年で1番人気は4勝。信頼度はまずまずと言えます。ただ、その勝った面々を見てみると、2018年のアーモンドアイ、2020年のデアリングタクト、2023年のリバティアイランドと三冠馬が3頭。あと1頭も、桜花賞には出走できず、オークスでその鬱憤を晴らしたミッキークイーン(2015年)。いずれも、それぞれの世代で別格の存在でした。

 つまり、抜けた存在がいない時は1番人気以外の馬にもチャンスが巡ってくるということ。上位混戦の今年は、ひと波乱を期待したいですね」

 秋華賞と言えば、かつては"荒れる"GIのひとつだった。そうしたことも踏まえて、奥田記者は伏兵陣の激走にも目を光らせる。

「阪神開催の2年(2021年、2022年)を含めて、直近3年は比較的平穏な決着に収まっていますが、2008年には3連単で1000万馬券が飛び出すなど、大波乱もある秋華賞。近年も、2020年には10番人気のマジックキャッスルが2着、9番人気のソフトフルートが3着に突っ込んできて、2019年には10番人気のシゲルピンクダイヤが3着入線を果たすなど、人気薄の馬がしばしば馬券圏内(3着以内)に入ってきています。ヒモ荒れを含めて、穴馬の台頭には注意が必要でしょう」

 そこで、奥田記者は今年のレースで一発が期待できる"穴馬"候補を2頭ピックアップした。

「まずは、チルカーノ(牝3歳)です。昨年の12月デビューで、ここまで5戦3勝。春はクラシック路線に乗れず、ここ2戦は古馬相手に経験を積んできました。そして、前走の2勝クラス・長久手特別(8月25日/中京・芝2000m)では、中団から脚を伸ばして快勝。着差以上の内容でした。

 今回、重賞初挑戦でGIとなりますが、その血統からして軽視はできません。皐月賞馬ジオグリフが半兄にいて、母アロマティコも2012年の秋華賞で3着と好走。彼女もトライアルレース以外からの参戦で、秋華賞が初重賞でGIでした。母と似たようなローテでの激走に期待が膨らみます」


秋華賞での大駆けが期待されるチルカーノ photo by Eiichi Yamane/AFLO

 同馬を管理する高野友和調教師は、過去10年で秋華賞を2勝。一昨年は管理馬によるワンツーフィニッシュを決めるなど、このレースとの相性はいい。

「その高野師はチルカーノについて、『順調にきています。前走もまだ絶好調とまではいかないなかで勝ちきってくれました。そこから上向いて(秋華賞には)いい状態で臨めると思います』と上昇ムードにあることを伝えています。

 さらに、同師によると『(チルカーノは)まだまだ成長段階の過程ですが、セールスポイントは"意外性"』だとか。『毎回、こちらの期待をひとつ超える走りをしてくれますね。いい意味で予想を裏切る走りというか、そういうところはやはり血統的な素質なのかもしれません』と目を細めていました。

 チェルヴィニアやステレンボッシュといった有力どころとは未対戦。未知の魅力も込みで狙ってみたい1頭です」

 奥田記者が注目するもう1頭は、ランスオブクイーン(牝3歳)だ。

「今年の1月デビューから初勝利までに4戦を要しましたが、未勝利勝ちから挑戦したオークスで5着。14番人気の低評価を覆し、ハイペースの流れを前々で運んで粘り込む内容は評価できる走りでした。

 その後は、休養を挟んで自己条件の1勝クラス(8月4日/新潟・芝2200m)を勝利。前走の2勝クラス・夕月特別(9月22日/中京・芝2000m)では1番人気に推されましたが、タイム差なしの3着に敗れています。

 そうした状況を踏まえて、管理する奥村豊調教師は『オークスや前走を見ても、よくも悪くも相手なりのタイプなんだと思います』と、同馬について分析。好走のポイントには展開面などを挙げ、『今回はオークスとは舞台がガラッと変わるので、ペースも速くなるでしょうし、時計勝負になると分が悪いと見ています。それでも、状態は変わりなくきています。立ち回りはうまくできると思うので、オークスのような競馬できれば、ですかね』と話していました。

 前走の結果から人気はそこまで上がらないでしょうが、相手なりに走れる強みを生かせれば、GIでも面白い存在になるのではないか、と思っています」

 人気では「3強」が抜けた存在になるだろうが、京都の小回りコースでは何が起こるかわからない。好位につけてスムーズな競馬をした馬が「3強」を出し抜いてもおかしくない。それが、ここに挙げた2頭である可能性も十分にある。

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