秋華賞の血統分析 圧倒的実績のキングカメハメハの血を持つ6頭のうち特に期待の2頭は?

【秋華賞で圧倒的な存在感を放つ種牡馬は?】

 10月13日(日)、京都競馬場で3歳牝馬によるGⅠ秋華賞(芝2000m)が行なわれる。

 3歳牝馬3冠レースの最終戦。今年はGⅠオークス馬チェルヴィニア、GⅠ桜花賞馬ステレンボッシュに加え、夏にGⅢクイーンSを勝ったコガネノソラ、秋に入りGⅡ紫苑Sで重賞初制覇を飾ったクリスマスパレード、GⅡローズSで重賞2勝目を飾ったクイーンズウォークなど、実績馬と上がり馬が揃ったためハイレベルなレースとなりそうだ。


5月にオークスを制したチェルヴィニア photo by Sankei Visual

 血統的視点からこのレースを占っていこう。直近6年の秋華賞で圧倒的な存在感を示している種牡馬はキングカメハメハだ。2018年に直系の孫アーモンドアイ(父ロードカナロア)が勝利し、2020年はデアリングタクト(父エピファネイア)、2021年はアカイトリノムスメ(父ディープインパクト)とキングカメハメハの血を母の父に持つ2頭が制した。さらに2022年には直仔スタニングローズ、2023年には直系の孫リバティアイランド(父ドゥラメンテ)が勝利している。

 勝利した馬以外も、2021年には直仔アンドヴァラナウトが3着、2022年には直系の孫スターズオンアース(父ドゥラメンテ)が3着、2023年にも直系の孫マスクトディーヴァ(父ルーラーシップ)が2着。過去6年で実に8頭が馬券に絡んでいる。秋華賞に限らず、3歳牝馬3冠戦線では近年によく見られる傾向ではあるが、今年もこのレースではキングカメハメハの血を重視していきたい。

【注目はハービンジャー産駒】

 今年の出走予定馬のなかでは、6頭がキングカメハメハの血を持っている。上位人気が予想されるチェルヴィニア、ステレンボッシュも保有しているため、まずこの2頭をチェックしよう。

 実力的にはそれほど差がないと見ているが、今回はチェルヴィニア(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)を上に見たい。その大きな要因は父ハービンジャーだ。ハービンジャー産駒はこれまで秋華賞で5戦し、2017年にディアドラが勝利し、モズカッチャンが3着。2022年にもナミュールが2着に入るなど勝率20%、複勝率60%という高い数字が残っている。

 チェルヴィニアは母の父にキングカメハメハを持つ配合。これは2017年の3着馬で同年のエリザベス女王杯勝ち馬モズカッチャンや、2018年の有馬記念を勝ったブラストワンピースと同じで、ハービンジャーのニックス配合と言える。また、チェルヴィニアは祖母がこの京都でGⅢ京都牝馬S(芝1600m)を勝ったハッピーパスで、その姉シンコウラブリイはGⅠマイルチャンピオンシップ(芝1600m)の勝ち馬と、京都コースには縁のある牝系だ。

 今回はオークス(東京・芝2400m)以来約5カ月ぶりの出走となるが、過去6年でオークスからの直行組は5勝(2018年アーモンドアイ、2019年クロノジェネシス、2020年デアリングタクト、2021年アカイトリノムスメ、2022年リバティアイランド)という好成績。

 近年は外厩の育成技術の向上により、他のGⅠレースでも長いレース間隔の馬が勝利することも増えているが、秋華賞は2001年テイエムオーシャン、2006年カワカミプリンセスなど、20年以上前からオークスからの直行組が勝利していた。オークス直行組の結果を見ると、やはりオークスを制した馬の勝率が40%と高いため、ここは素直にチェルヴィニアを中心に考えていいだろう。

 今回はもう1頭、父ハービンジャー、母の父キングカメハメハの馬がいる。チルカーノ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)だ。

 同馬は「祖母の父サンデーサイレンス」もチェルヴィニアと同じ配合。半兄は皐月賞馬ジオグリフという良血で、さらに母アロマティコは2012年の秋華賞3着馬。アロマティコは当時、重賞初出走の3勝馬という格上挑戦だったが、チルカーノも重賞初出走の3勝馬だ。

 さらにアロマティコとチルカーノは、春に矢車賞を勝ち(アロマティコは京都・芝2000m、チルカーノは京都・芝2200mでのレース)、8月末に2勝クラス(アロマティコが出走した時は1000万下)を勝利と、多くの共通点を持っている。秋華賞はアパパネ→アカイトリノムスメの母仔制覇、フサイチパンドラ3着→アーモンドアイ1着、ローザネイ3着→ローズバド2着など、母仔そろっての好走も少なくない。これだけ臨戦過程が似ていると、軽視できない存在だ。

 以上、今年の秋華賞はキングカメハメハの血を持つハービンジャー産駒の2頭、チェルヴィニアとチルカーノに期待する。

ジャンルで探す