読書好きになる秘訣は「読まない」判断をすること。「せっかく買ったんだから、全部読まないともったいない」とプレッシャーをかけないで

(写真提供◎photoAC)
文部科学省が公表した令和2年度「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」によると、全国の自治体が子どもの読書活動推進として力を入れていることについて、「子どもが本に触れるきっかけづくり」の回答割合が最も高く、9割を超えていました。SNSが普及し、本を読まない子どもたちが増える中、魅力に気づいてもらう方法とは。子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を提供している笹沼颯太さんが著した『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』よりご紹介します。

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【書影】1日2時間の動画が、1日2冊の読書になる!『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』

まずは「楽しく」読む

「好み」と「レベル」を把握することによって自分に合った本を読めるようになってきたら、次は「たくさん」読むことを目指しましょう。

習慣的に、そして主体的に本を読めるようになることによって、結果的に「たくさん」の本を読める状態を目指すのです。

しかし、ここで焦りは禁物です。

子どもが「楽しく」読書に向き合えていないのに、無理やり「たくさん」の本を読ませようとしていませんか?

想像してみてください。楽しくもないことをたくさんやらされるのは、つらいものです。そんなことが続けば、せっかく好きになりかけたものでも嫌いになったり苦手になったりする可能性があります。

だからこそ重要なのは、「楽しく・たくさん・幅広く」の順に歩みを進めること。「たくさん」読めるようになるまでは、常に「楽しく」を重視しながら本と向き合いましょう。

ときには、レベルを下げることによって読むときの負荷を減らし、楽しさを感じやすくする必要もあるかもしれません。とにかく重要なのは、ファーストステップの「楽しく」なのです。

最優先するべきこと

この状況をサッカーに置き換えて考えてみましょう。

子どもがサッカーを習いはじめるとき、まずはボールを蹴る楽しさを体感するのがファーストステップとなります。

そうして十分にその楽しさを知ったうえで、次の段階としてテクニックを身につけていきます。

ボールを蹴る楽しさも実感できていないのにディフェンスの練習をはじめたところで、サッカーを続けていきたい気持ちにはなりにくいからです。

楽しさを感じられると、自然と好きになり、続けていきたいと思うもの。

つまり、「楽しく」読むことさえできていれば、自然と習慣化して読む量は増えていきますし、読む本の幅も広がっていきます。

まずは、楽しさを実感し続けることが最優先なのです。

「せっかく買ったのに」と思わない

まずは「楽しく」が最優先。

だからこそ特にはじめのうちは、読み方にこだわる必要はありません。とにかく「楽しく」読める方法を実践することが重要です。

読書をはじめたばかりの子どもに多い思い込みのひとつに「本は読み切らなければならない」というものがあります。

たとえおもしろくなくても、読みはじめた本は1冊読み通さなければならない。そう思い込んでいる子どもが、意外と多いのです。

この思い込みは、子どもに限ったことではありません。

買った本を読みはじめてみたら、あまりおもしろいと思えない。

そんなときにあなたは「せっかく買ったんだから、全部読まないともったいない」と自分にプレッシャーをかけたことはないでしょうか。

その気持ちはよくわかります。

しかしそんなときは、ちょっと考え方を変えてみることをおすすめします。

読書家は「読まない判断」をするのが早く、しかも罪悪感を持つこともありません。

世の中には大量の本があり、読みたい本は次から次に出てきて尽きることがないからです。

そう考えてみると、「読まない」という判断はむしろ、立派な読書家の姿勢といえるのかもしれませんね。

(写真提供◎photoAC)

読むのをやめていい

「おもしろくない」と感じながら無理やり読み続けることは、「楽しく読めなくなる」につながる危険性があります。

特に、読書好きではない子どもの場合はその傾向が強いため、無理に読むのは避けたほうがいいでしょう。

「つまみ食い読書」は、自分の好みを探るためにまずは5分読んでみて、その先を読みたいかどうかを判断するという選書方法です。

どんな本を手に取ったときでも、この読み方をして「おもしろい」「読みたい」と思ったときにだけ先に進みましょう。

少し読んでみて、合わないと思ったら読むのをやめる。

それでいいのです。

「おもしろくない」と感じながら読み続けるよりもずっと価値があるのは、次なる新たな本を開き、「おもしろい」と感じながら読むことなのですから。

※本稿は、『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

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