【漫画で解説】子どもが友だちの悪口を言い出したとき、親が「意地悪はダメ」と言うのは逆効果?自分で解決策を導く言葉のかけ方

『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(著:天野ひかり、イラスト:とげとげ。/ディスカヴァー・トゥエンティワン)より
「どうしてやらないの?」「何度言ったらわかるの!」子どもに思わずこんなことを言っていませんか?実は、子どもの自己肯定感を下げているかもしれません。NHK『すくすく子育て』の元キャスターで、親子コミュニケーションアドバイザーとして活動している天野ひかりさんは「『子どもの視点で子どもを丸ごと認める言葉』が、自己肯定感を育て、自律する子どもに成長させる」と話します。親がラクになり、子どもの自己肯定感も育む会話のコツとは。そこで今回は、天野さんの著書『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』から、一部引用、再編集してお届けします。

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【書影】「声かけの正解」教えます!『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』

子どもの「やりたくない!」の本当の気持ち

悪口を認めるわけにはいかない?

子どもが悪口を言い出したらどうしましょう? 「悪口を言ってもいいよ」と言うのは、もちろん認める言葉ではないし、解決にはなりませんよね。今回のポイントは、わからせようと指示するのではなく、子どもが自分で理解する力を認めて育てることです。

まずは、NGマンガを見てみましょう。

『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(著:天野ひかり、イラスト:とげとげ。/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

お母さんはわけがわからず戸惑っているうちに、「仲間はずれにする」「無視する」なんて言葉が飛び出すと、びっくりしてやめさせたいと思いますね。お母さんが言ってることは正論です。子どもにわかってほしい気持ちもよくわかります。

でも、言われたお子さんはどう感じるでしょうか。

「ママに話しても全然私の気持ちをわかってくれない、もうママには話さない。悪いのは、Aちゃんなのに……」

と悲しく感じて、子どもの考えはそこで停止してしまう恐れがあります。

反対に、お子さんが「ママの言うとおりだ、明日B ちゃんと話をしよう」と素直に受け止めて行動したとしたら、今度は、B ちゃんを怒らせてしまうかもしれません。すると自分でどう行動したらいいのか、わからなくなるかもしれませんね。

子どもを信じる会話

私たちは、子どもに正しいことを教えて、行動させようとしてしまいます。でもこれだけは覚えておいてください。子どもは私たちが思っている以上にずっと賢いのです。

自分で考える力を認めて、信じる会話に変えてみましょう。

では、OKマンガを見てみましょう。

『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(著:天野ひかり、イラスト:とげとげ。/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

お母さんはただオウム返しに聞いているだけですが、その後の子どもの変化は……?

自分で解決策を見つけられましたね。

このマンガの元になったエピソードには後日談があります。娘さんはお母さんに、ちゃんと3人で仲直りできたこと、そして実は娘さん自身も意地悪されていたこともお話ししてくれたそうです。

子どもは親に信頼されれば自分で考えて、相手の気持ちになって解決できる力を持っているのだと感激しますね。

子どもが悪口を言い出したときの3つのポイント

(1)気持ちを受け止める

「何があったの? 秘密って何?」といろいろ聞きたくなりますが、まずは、気持ち(この場合は、怒っていること)を受け止めましょう。受け止め方は黙認ではなく、子どもの言葉をそのままオウム返しするだけで大丈夫です。

(2)親が答えを考えない

いろいろ聞いた結果、親は正しい解決法は何かを考えたくなります。しかし考えるのは、子どもです。話を否定されたり、遮られなければ、子どもは自分のペースでお話しできます。声に出すことで感情をコントロールできるようになり、言葉にすることで考えを整理できるので、話しやすい雰囲気を続けましょう。

(3)信じてもらえると、自分で解決法にたどり着く

親に言われなくても子どもは十分に「いけないこと」をわかっています。悪口を言っても、大好きなお母さんお父さんに叱られずに、少し悲しい表情で受け止めてもらえたことで、子どもは落ち着きを取り戻し、自分の頭で考え始めます。仲間はずれ、無視する(この場合)と考えたけど、「本当にそれでいいのか?」「他の方法はないのか?」と考え始めるでしょう。

(写真提供◎photoAC)

自分で解決できる力を育む

子どもの年齢や成長によっては、自分で解決法にたどり着けない場合もあります。そんなときはヒント(A ちゃんには何かわけがあったのかもね)を出しながら、焦らずに信じて任せることで、自分で解決できる力を育んでいきましょう。

ある意味、お友だちの悪口を言える親子関係は、とても健全です。なんでも話せる安心感を育んできた結果ではないでしょうか。家で言えずに、外で言うようになって問題が大きくなる前に、吐き出させてあげましょう。もちろん、親自身が人の悪口を言いっぱなしにしないように日頃の言動に注意したいですね。

POINT:親がどうすべきか考えるより、信じて認めることで自分で考える力を伸ばそう

NG:悪口を言うのは絶対にダメだよ!
OK:( 子どもの気持ちを受け止めながら)何かわけがあったのかもね。

※本稿は、『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

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