【ネガティブな人へ】「こんな気持ちではダメだ…」と自分を否定していませんか?自分の感情にふたをして「喜怒哀楽」が分からなくなる前にするべきこと
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【書影】『ネガティブな自分のゆるし方』(著:大野萌子/クロスメディア・パブリッシング)
良い感情も、悪い感情も存在しない
心にネガティブな感情が生まれたとき、「こんな気持ちではダメだ……」とその感情を否定する人は多いでしょう。しかし本来、人の感情に「良し悪し」は存在しないというのが心理学の考え方にはあります。
それなのに、なぜ私たちは感情を良いもの、悪いものと考えてしまうかというと、過去にあった悪い出来事に対する刷り込みが影響しているからです。
例えば「後ろ向きな発言はしてはいけない」「マイナスなことはできる限り考えない方が良い」といった周りの人からの教えや、ご自身の体験などにより、「ネガティブなことは感じてはいけない」と脳にインプットされているのです。
しかし、メンタル不調が始まる1つのケースとして、このような感情の否定から「自己肯定感」が低くなってしまうことがあります。だからネガティブ感情の視点を変える必要があるのです。
感情は事実として受け止めるだけ
ポジティブ感情も、ネガティブ感情も、湧き上がってくるのは自然なことで、抑えられなくて当然です。だから、それを自分で否定する必要も、人から否定される不安を感じる必要もありません。
ネガティブ感情の「置き場所」を変えるには、自分の感情というものを事実として認識した上で、良し悪しを判断せずに「受け止める」ことが大切です。
湧き上がってくる感情に対して「悪いこと」「良いこと」と区別するのは、今日からやめましょう。
・「今日の私は落ち込んでいる」
・「昨日の上司に対して、私は今もモヤモヤしている」
・「夫の発言で私は悲しくなった」
例えばこんな感じで、感情を事実として受け止める習慣を意識してみてください。
自分の気持ちがわからない人ほど、感情にふたをしている
私が行っているコミュニケーション研修には、「喜怒哀楽」の4つの感情ごとに、最近の出来事を書いてもらうワークがあります。
この研修を続けていく中で気づいたのは、長く自分の感情にふたをしてしまっている人ほど、ワークの記入ができないということです。その理由は明確で、自分の感情に向き合わず、見て見ぬふりをし続けてしまっていたからです。
また、20〜40代にカウンセリングをしていると、「仕事が嫌い」「上司が嫌」「なんとなくモヤモヤ、イライラする」とはいうものの、具体的にどんな気持ちなのか、自分はどうしたいのかを聞くと、「自分でもよくわからない」という人が多くいます。
変化の激しい社会を生きる私たちは、無意識に心に鎧をまとい、自分の弱さを周りに見せないようにしてしまいがちです。
この「自分の悪い部分、恥ずかしく醜い部分を見られたくない」という思いが強くなりすぎると、自分の感情を抑え込んでしまい、その反動として最近では、SNSに本心と違うことを発言してしまうケースにつながっているのです。
特に、「我慢強くてまじめな人」「自分よりも他人を優先してしまう人」がこのパターンに陥りやすい印象があります。
こうして、私たちは自分の本当の感情は何かを見失ってしまうのです。
「今どんな気持ちなのだろう」と心に問いかけを
私もカウンセリングの勉強を始めた頃は、相談者さんの気持ちと自分の感情が混ざってしまい、カウンセリング中に自分の感情を見失うことがありました。
相談者さんが悲しい話をしていると自分も悲しくなる、怖い話をしていると自分も恐ろしくなるといったように、感情が引っ張られてしまうのです。
そこで私が訓練したのが、自分の感情を確認することでした。
カウンセリング中に「今は嫌な気持ちになっている」「話を聞いて恐怖を感じている」など、自分の感情を客観的に認めることで、相手の感情と分離ができるようになったのです。「自分の感情を認める」ことは、カウンセリングにおいても基本中の基本の考え方です。
自分の気持ちがよくわからないという人は、ネガティブ感情の克服、心のリカバリーに少し時間がかかるかもしれません。そんな人は、なんとなく嫌な気持ちになったときに、立ち止まって「今どんな気持ちなのだろう」と心に問いかけてみてください。
もし考えてみても、自分の感情がわからないという人は、それでも大丈夫です。
どんな感情が浮かんだとしても捨て去ろうとせず、ありのままの感情を受け止めていきましょう。
※本稿は、『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
07/16 17:00
婦人公論.jp