年齢とともに扱えるモノの量も限られる。エネルギーがある今のうちに生活を立て直す!自分ファーストの〈小さな暮らし〉とは?

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セールで買った洋服、安さ重視で買ったインテリア…気がつくと家の中がモノで溢れてしまっていませんか?小さな暮らしをすすめるミニマムリッチコンサルタントの横田真由子さんいわく、「上質なものを少しだけ持つ軽やか暮らしで、人生がより素敵になる」とのこと。より自分にあったライフスタイルの魅力とは――横田さんの著書『本当に必要なことはすべて「小さな暮らし」が教えてくれる』より一部抜粋してご紹介します。

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【書影】より自分にあったライフスタイルへと仕立て直す方法について紹介『本当に必要なことはすべて「小さな暮らし」が教えてくれる』

自分ファーストで持ち物を決める

本社がイタリアのブランドで働いていた私は、当時、イタリアの高級家具に憧れていました。

ガラス天板の大きなリビングテーブルや、天井の近くまである高さのスタンドタイプのランプなど、頑張って手に入れたものの、結局、それらは手放すことになりました。

ガラス天板のリビングテーブルは、狭い部屋でも圧迫感がないと思っていましたが、大きくて扱いづらく指紋も目立つため、私のイライラの原因となっていきました。

そして、照明は、地震のたびにゆらゆらと揺れるため、危険を感じて落ち着かなくなってしまいました。

それからというもの、家具は腰までの高さのモノ、ひとりでも動かせる重さや大きさのモノが望ましいと思うようになりました。

これは、高齢になってから、大型犬を飼う自信がない気持ちと似ているのかもしれません。

心地良く暮らすには、自分の体力や気力に見合ったサイズを見極めていく必要があります。

愛着のあるモノだけに囲まれる暮らし

年齢とともに、エンジンも一回り小さくなった私には、扱えるモノの量も限られてきました。一回り小さくなった自分サイズに、暮らしを仕立て直していきます。

「手入れしてでも、長く使い続けたいモノか?」と、一つひとつのモノと自分のモノサシで向き合っていく必要があります。

モノを所有することは、お金も時間もエネルギーもかかりますから、安易に選んだり、いらないモノや多くのモノを所有することは、生きるエネルギーを吸い取られてしまいます。

まだ充分に、エネルギーがあるいまのうちに、暮らしを仕立て直しませんか。

その基準は、「自分ファースト」でいいのです。

「まわりの人が持っていても私は持たない」「これがいいと勧められてもNOと言える」「誰が何と言っても気にしない」。自分サイズがわかったいまだからこそ、心地良いサイズは、自分だけが知っています。

自分のモノサシで選んだ愛着のあるモノだけに囲まれている暮らしは安心できますし、安心できるベースがあると、心の支えにもなります。

身の回りのモノを小さく仕立て直すことは、自分らしさと自由を獲得することです。

扱いづらいモノは、すっきり手放して、自分ファーストの小さな暮らしを始めましょう。

家の玄関には「ゴールデンゲート」がある

家の中にある多くのモノは、「あってもいいけど、なくてもいいもの」です。

どうして、こんなどうでもいいものが家にたくさんあるのかと、ため息が出ます。

まずは、「モノを安易に家に入れない」と決めることから始めます。

話題の100円ショップをウロウロしていると、「あってもいいな」と思うものばかり。

安い! 便利かも! と思って次々に手に取っていくと、たとえ100円でも積もり積もって3000円近くになっていました。そして、気に入ったものは100円ではなく、500円だったということも。

低価格のショップは、1人当たりの購入数が多いから商売が成り立っていることを忘れてしまいがちです。

一方でハイブランドショップは、1人当たりの客単価が高いので、お客様はじっくりと吟味して買われます。私は、お客様の「安易に買わない姿勢」を間近で見てきました。

お金持ちだと思われている方ほど堅実で、無駄な買い物をしません。

納得するまで、見て、着て、何度も手に取ってから購入されますし、時間をかけて選ぶことは当たり前でした。

それを思い出し、100円ショップでも、レジに行く前にもう一度立ち止まって、「これって、本当に必要?」と、自分に訊いてみます。そして、「迷ったら買わない」と決めます。

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ゴールデンゲートの通過基準

家の玄関には、「ゴールデンゲート」があると想像して、「これは、あのゲートをくぐる価値があるか?」と、常に精査することが、「安易に家に入れない」ことにつながります。

「ゴールデンゲート」の通過基準は、「いま、必要か」と「お気に入りかどうか」です。

そして、家にある「あってもいいけど、なくてもいいモノ」を集め、箱に入れて、いったん、見えないところに置いておきます。きっと、永遠に、この「2軍箱」から出すことはないでしょう。私も衣替えの季節や年末の大掃除時期に、この2軍箱を開けて、一つひとつ取り出してみます。

「あ、このカーディガンがあったな」と、また1軍のクローゼットに復活させても、やっぱり一度も袖を通すことなく、2軍箱に逆戻り。2軍箱の中は「高かったなと思うブランド品」「あのとき着ていた思い出の品」「友人からもらったお祝い品」など、長く生きてくると、思い出の品は溜まるばかりです。帰ってこない時間への執着もあります。

けれど、この執着こそが、モノが捨てられない大きな要因です。

執着を捨てるには、「えいっ!」と覚悟を決めることです。誰もが、思い出のモノとの記憶、きらきらと輝いていた時代が懐かしく、モノを見ていると、あの頃の気持ちが蘇ってくるのではないでしょうか。

けれど、時間は確実に流れています。それらのモノとは、「いまの自分には、もう似合わない」と決別する決心が必要かもしれません。

過去への執着や未練は断ち切る

執着を捨てることは、いまの自分を最高値に更新するためです。前が見えないときほど、捨てること、手放すことで見えてくるものがあります。

私は「未練が残る」と思うモノは、手放す前に写真に撮って、スマホの中に保存することにしました。

懐かしい風景のように感じられるこれらの写真は、思い出の1ページとして自分を癒やしてくれます。

過去への執着や未練は断ち切る、けれど思い出は心の中に大切に仕舞っておく。

そんな潔さが、また、明日を向こうという気持ちの源になるのではないでしょうか。

※本稿は、『本当に必要なことはすべて「小さな暮らし」が教えてくれる』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

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