MVP桑原、胸に刻んだ7年前の悔しさ シリーズ新の5戦連続打点

二回裏DeNA2死二、三塁、桑原は左前に2点適時打を放つ=有元愛美子撮影

 (3日、プロ野球日本シリーズ第6戦 横浜DeNAベイスターズ11―2福岡ソフトバンクホークス

 DeNAがつづってきた史上最大の下克上物語が完結した。この日は、26年前に日本一の旗を立てた「マシンガン打線」をほうふつとさせる攻撃で圧勝した。

 桑原将志のバットがまたも鍵になった。二回、筒香嘉智のソロで1点を先取した後、なおも2死二、三塁の好機で、左前へ2点適時打。

 シリーズ記録となる5試合連続打点でシリーズMVPにも輝いた13年目の31歳は「一戦一戦必死でチームを引っ張っていく気持ちだった。本当に幸せに思います」。

 振り返れば、シリーズ2連敗を喫した10月27日の夜、キャプテン牧秀悟が呼びかけて、選手間で開いたミーティングがきっかけだった。

 桑原はその場で熱い思いをはき出した。日本シリーズ進出を決めた巨人とのクライマックスシリーズ(CS)最終ステージ(S)第6戦を引き合いに「あの試合のように負けたら終わりという気持ちで戦っているのか。僕はそう感じなかった。腹立たしかった」。

 その後、チームは確かに生まれ変わった。第3戦から4連勝で一気に頂に立った。

 先制打の筒香もそのミーティングを経て「相手の一個上、二個上の思いがないと勝てない、と思った」。桑原も筒香も7年前のシリーズでソフトバンクに苦杯をなめた。

 4月に「横浜で優勝を目指す」と5年ぶりに復帰した筒香は、さらに五回、2死満塁から勝利を決定づける走者一掃の二塁打を放った。

 リーグ戦を貯金わずか2で終えたチームは、史上最低勝率で頂点に。ベテランに引っ張られ、短期間でぐっと成長したチームが、26年ぶりの歓喜にまみれた。(堀川貴弘)

ジャンルで探す