培った低反発バットに負けないスイング 高松商、来春の選抜有力に

四国大会決勝進出を決めて喜ぶ高松商の選手たち=2024年11月3日、県立春野、大坂尚子撮影

 (3日、高校野球 秋季四国大会準決勝 高松商5―3新田)

 低反発バットであっても何のその。香川1位の高松商の選手たちは、新田(愛媛1位)を相手に力強いスイングを見せた。

 2点を追う六回2死。左打席に入った3番・橘朋宏が、甘く入った直球を強振。打球は右翼席に吸い込まれるソロに。これが合図だった。

 再び2点差とされた八回も橘のバットから。今度は1死一塁で、真ん中の直球を捉えた。右翼手がほとんど追わない完璧な当たりの同点2ランだった。

 さらに4番・唐渡(からと)大我も直球をたたく。内角球をうまくさばいて中越え三塁打にすると、5番高藤快渡の適時打で勝ち越した。

 逆転勝ちした高松商の安打は計9本。うち5本が長打で、これが効果的に点に結びついた。

 高校野球界は今春、反発性能を抑えた新基準の金属バットに完全移行した。「投高打低」と言われる中でも、高松商は力負けしないスイングを日々の練習で身につけた。

 浸透しているのは「低反発バットでも(ボールの)上からたたけば伸びる」こと。上からたたいてボールに逆スピンをかけ、低く強い打球を心がける。全体練習以外でも、個人練習で時間を見つけては素振りなど打撃練習を重ね、力をつけた。

 橘は通学の電車を早め、毎朝30分、素振りをしてから授業へ向かう。「ボールに合わせるのではなく、自分のスイングを意識したいから素振りが一番良い」。唐渡も朝は素振りの時間とし、放課後の全体練習後は「低く強い打球になった、と納得がいくまで」マシンなどで打ち込む。

 「みんな残って、よく振っています。体幹もだんだん強くなって、ちょっとずつ(低反発バットにも)対応できている」と長尾健司監督。「一振りで空気を変えるところは、(2016年の選抜大会で)準優勝した時に似ている」と手応えも感じている。

 来春の選抜大会の四国地区の一般選考枠は「2」。第1回選抜大会を制した伝統校が、23年(第95回大会)以来の選抜出場にまた一歩近づいた。(大坂尚子)

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