最も大金を積まれたのは? 23/24冬の移籍金ランキング1~10位。新たな挑戦を求めた男たち

【写真:Getty Images】

●10位:マルコス・レオナルド

 欧州主要リーグの23/24シーズン冬の移籍市場が幕を閉じた。今冬も様々なビッグディールがなされたが、最高額の移籍金が支払われた選手は誰だったのか。今回はデータサイト『transfermarkt』から23/24シーズン冬の移籍金ランキングを紹介する。

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生年月日:2003年5月2日
移籍先:サントス→ベンフィカ
移籍金:1800万ユーロ(約25億2000万円)
2023リーグ戦成績:31試合13得点2アシスト(ブラジル1部)

 冬の移籍金ランキングの10位にランクインしたのは、U23ブラジル代表のセンターフォワード、マルコス・レオナルドだ。1800万ユーロ(約25億2000万円)の移籍金を投じてポルトガルの強豪ベンフィカがサントスから獲得した。

 サントスの下部組織出身のレオナルドは、2020年のトップチーム昇格後から徐々に評価を高め、2022シーズンからスタメンに定着する。2023シーズンにサントスはまさかの2部降格となったが、苦しいチーム状況の中でもレオナルドはリーグ戦31試合出場13得点2アシストの成績を残している。

 ペナルティエリア内で高い決定力を持つレオナルドはベンフィカでも力を発揮している。移籍後のリーグ戦出場は4試合でいずれも途中からとなっているが、わずかな出場時間で3つのゴールをあげており、時間にすると25分に1得点していることになる。

 今後の成長によってはブラジル代表への選出もあるかもしれない。レオナルドは多くのタレントがしのぎを削るベンフィカで存在感を示し、世界的なスター選手となるだろうか。

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●9位:アーサー・フェルメーレン

生年月日:2005年2月7日
移籍先:アントワープ→アトレティコ・マドリード
移籍金:1800万ユーロ(約25億2000万円)
23/24リーグ戦成績:21試合1得点3アシスト(ベルギー1部)

 ランキングの9位に入ったのはアーサー・フェルメーレンだ。複数のビッグクラブが獲得を狙っていると噂されていた中で、アトレティコ・マドリードは移籍金1800万ユーロ(約25億2000万円)を投じた。フェルメーレンは18歳ながらベルギー代表としても出場経験を持つ同国の逸材である。

 アントワープの下部組織出身のフェルメーレンは2022年7月にトップチーム昇格を果たし、シーズン中盤戦以降から守備的MFとして定位置を掴んで国内2冠に貢献した。2023/24シーズンもスタメンとして出場し続け、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のバルセロナ戦では先制ゴールをあげる活躍を見せるなど評価を急上昇させている。フェルメーレンがトップチームに昇格して約1年半であるが、現在は市場価値3000万ユーロ(約42億円)と評価されている。

 フェルメーレンは優れた状況判断能力やパスセンスのみならず、高い守備能力も持ち味にしている万能型のMFだ。アトレティコ・マドリード移籍後は31日の第20節延期分、ラージョ・バジェカーノ戦で早速スタメン出場を果たしている。名将ディエゴ・シメオネ監督のもと、今後どのような選手に成長していくのか注目だ。

●8位:ルーカス・ベラウド

生年月日:2003年11月24日
移籍先:サンパウロ→パリ・サンジェルマン
移籍金:2000万ユーロ(約28億円)
2023リーグ戦成績:24試合1得点0アシスト(ブラジル1部)

 8位にランクインしたのは、移籍金2000万ユーロ(約28億円)を支払ってパリ・サンジェルマンがサンパウロから獲得したDFルーカス・ベラウドだ。

 ベラウドは2022年7月にサンパウロの下部組織からトップチームに昇格した。初年度はリーグ戦の出場が3試合にとどまるも、翌2023シーズンはスタメン出場の機会を増やした。怪我による欠場もあったが、センターバックとしてリーグ戦24試合に出場して評価を高め、市場価値も250万ユーロ(約3億5000万円)から1500万ユーロ(約21億円)まで伸ばしている。

 フィジカルや走力のみならずビルドアップ能力の高さもベラウドの特徴であり、最終ラインからの組み立てを苦にしていない。。移籍後に出場したリーグ・アン2試合でも、特にパスや配球面で印象を残し、そのポテンシャルを発揮している。このまま更なる成長を遂げ、タレント軍団の中で自らの存在価値を示し続けることができるか。

●7位:ガブリエウ・モスカルド

生年月日:2005年9月28日
移籍先:コリンチャンス→パリ・サンジェルマン
移籍金:2000万ユーロ(約28億円)
2023リーグ戦成績:18試合1得点1アシスト(ブラジル1部)

 U23ブラジル代表に選出されているガブリエウ・モスカルドは2000万ユーロ(約28億円)の移籍金でコリンチャンスからパリ・サンジェルマンへ移籍した。冬の移籍金ランキングで7位につけている。18歳ながら高い身体能力を持つ守備的MFだ。

 下部組織育ちのモスカルドがコリンチャンスのトップチームで初出場したのは2023年6月である。2023シーズンはリーグ戦18試合に出場し、デビューから約半年後にパリ・サンジェルマンへの移籍を果たしたのだから驚きだ。中盤で高いボール奪取能力を発揮し、優れたパスセンスで攻撃の起点にもなる選手である。

 モスカルドは2024年6月までは期限付き移籍の形をとってコリンチャンスに残留することとなっている。パリ・サンジェルマンでのプレーを見ることができるのは来シーズン以降となるが、将来を嘱望され、複数のビッグクラブから注目を浴びたタレントには今から注目である。

●6位:アダム・ウォートン

生年月日:2004年2月6日
移籍先:ブラックバーン→クリスタル・パレス
移籍金:2110万ユーロ(約29億5400万円)
23/24リーグ戦成績:26試合2得点3アシスト(チャンピオンシップ)

 チャンピオンシップ(イングランド2部)のブラックバーンからプレミアリーグのクリスタル・パレスに加入したU20イングランド代表MFアダム・ウォートンが6位にランクインした。この移籍に投じられた移籍金は2110万ユーロ(約29億5400万円)とされている。

 ブラックバーンの下部組織で育ったウォートンは2022年7月にトップチーム昇格を果たし、2023/24シーズンから主力として定着した。優れたパスセンスを持ち、対人能力やボール奪取能力も高い万能型のMFで、中盤の複数ポジションをこなすことのできるユーティリティ性も備えている、イングランドでも有望な若手選手の1人である。

 しかし新天地デビュー戦となった3日の第23節ブライトン戦では相手のプレスからボールを奪われ、3失点目を招いてしまった。ウォートンにとってはほろ苦いデビュー戦になったと言えるだろう。クリスタル・パレスは、現在プレミアリーグ14位であり、降格圏との勝ち点差は5ポイントと、シーズン終盤にかけて気の抜けない状況だ。ウォートンはここから立ち直り、チーム浮上のきっかけとなることができるか。

●5位:レナン・ロディ

生年月日:1998年4月8日
移籍先:マルセイユ→アル・ヒラル
移籍金:2300万ユーロ(約32億2000万円)
23/24リーグ戦成績:14試合0得点0アシスト(リーグ・アン)

 ランキングの5位にランクインしたのはレナン・ロディだ。移籍金2300万ユーロ(約32億2000万円)でマルセイユからアル・ヒラルへ移籍した。サウジアラビアのクラブは大金を用いて昨夏に多くの大物選手を獲得したが、今冬にもビッグネームを獲得することとなった。

 アトレティコ・マドリード在籍時の活躍で評価を高めたロディであったが、徐々に出場時間を減少させていったこともあり、2022/23シーズンにプレミアリーグのノッティンガム・フォレストへ期限付き移籍する。昨夏にはマルセイユへ移籍金2060万ユーロ(約28億8400万円)で完全移籍し、シーズン前半は左サイドバックとしてコンスタントに出場機会を得ていた。そのような中で、在籍わずか半年でアル・ヒラルへ移籍することとなった。

 現在サウジアラビア国内リーグで1位につけているアル・ヒラルにはネイマールやカリドゥ・クリバリらビッグネームも複数名在籍するが、まだ25歳のロディがヨーロッパから離れてプレーする選択をしたのには少々驚きもあった。

●4位:エリフ・エルマス

生年月日:1999年9月24日
移籍先:ナポリ→RBライプツィヒ
移籍金:2400万ユーロ(約33億6000万円)
23/24リーグ戦成績:11試合2得点0アシスト(セリエA)

 移籍金2400万ユーロ(約33億6000万円)でRBライプツィヒへと移籍した北マケドニア代表のMFエリフ・エルマスがランキングの4位につけている。

 2022/23シーズンのエルマスはシーズンを通して途中出場が多かったが、中盤のあらゆるポジションをこなすユーティリティな能力をルチアーノ・スパレッティ監督に評価されて信頼を獲得し、36試合出場6ゴール3アシストの成績でナポリのセリエA優勝に貢献した。

 2023/24シーズンになるとリュディ・ガルシア監督下で出場時間を減らしたこともあり、今冬にナポリを退団することとなった。しかし、ここまでRBライプツィヒでの出場は途中出場の4試合であり、時間にするとわずか34分となっている。ブンデスリーガ初挑戦のエルマスが移籍直後で多くの出場機会を得るのは難しいかもしれないが、満足のいく数字ではないだろう。

 これまでエルマスはクラブでタイトルを獲得し、北マケドニア代表としても56試合に出場するなど実績十分の選手であるが、まだ24歳である。若いタレントを集めて高額で売却することに長けたRBライプツィヒでさらなる飛躍を遂げる可能性もあるだろう。

●3位:ラドゥ・ドラグシン

生年月日:2002年2月3日
移籍先:ジェノア→トッテナム
移籍金:2500万ユーロ(約35億円)
23/24リーグ戦成績:19試合2得点1アシスト(セリエA)

 移籍金ランキングの3位となったのが、セリエAのジェノアからプレミアリーグのトッテナムへ移籍したラドゥ・ドラグシンだ。セリエAで若手有望株のDFとして評価されてきたドラグシン獲得のためにトッテナムは2500万ユーロ(約35億円)を支払った。

 ドラグシンはユヴェントスの下部組織で育ち、2021年1月のトップチーム昇格の後はイタリア国内のクラブへ期限付き移籍してプレーしてきた。2022年7月に当時セリエB(イタリア2部)にいたジェノアへ移籍し、そこでのプレーによって評価を確固たるものとする。

 身長191cmの強靭なフィジカルを持つドラグシンは対人能力の高さを武器としており、プレー強度の高いプレミアリーグにも十分適応できる可能性はある。またその長身ゆえにセットプレーのターゲットにもなりえて、2023/24シーズンのインテル戦でもコーナーキックからヘディングでゴールを奪った。

 ジェノアが2023年7月にドラグシンの完全移籍のために費やした移籍金は970万ユーロ(約13億5800万円)とされており、わずか半年でジェノアは差額約1500万ユーロ(約21億円)の売却益を得たことになる。相次ぐ負傷者に苦しむトッテナムでドラグシンにかかる期待は大きいだろう。

●2位:サシャ・ボエ

生年月日:2000年9月13日
移籍先:ガラタサライ→バイエルン・ミュンヘン
移籍金:3000万ユーロ(約42億円)
23/24リーグ戦成績:19試合1得点0アシスト(トルコ1部)

 年代別フランス代表のサシャ・ボエが2位にランクインした。バイエルン・ミュンヘンがガラタサライに支払った移籍金は3000万ユーロ(約42億円)とされている。

 ボエはガラタサライで右サイドバックとしてプレーし、対人能力やボール奪取能力の高さなど、守備面での貢献が特に大きい選手である。リーグ・アンのレンヌから移籍した2021/22シーズンは怪我もあり出場時間を伸ばすことはできなかったが、2022/23シーズンからはスタメンとして定位置を掴んだ。このシーズンにボエはリーグ戦31試合出場1ゴール4アシストを記録して、リーグ優勝に大きく貢献している。

 2023/24シーズンも高いパフォーマンスを維持し続け、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でマンチェスター・ユナイテッドやバイエルンといった強豪と戦った際にも高い守備能力で対戦相手の攻撃の芽をつむ活躍を見せた。ガラタサライで定位置を掴んでからは市場価値も大きく上昇し、加入当時250万ユーロ(約3億5000万円)だった評価額は現在2200万ユーロ(約30億8000万円)となっている。

 欧州屈指の強豪バイエルンでボエはどのような活躍を見せるのか。バイエルンでスタメンを勝ち取ることができれば、タレント揃いのフランス代表への選出も見えてくるかもしれない。

●1位:ヴィトール・ロッキ

生年月日:2005年2月28日
移籍先:アトレチコ・パラナエンセ→バルセロナ
移籍金:4000万ユーロ(約56億円)
2023リーグ戦成績:25試合12得点3アシスト(ブラジル1部)

 冬の移籍金ランキングの1位は、アトレチコ・パラナエンセからバルセロナへ移籍したブラジル人FWヴィトール・ロッキだ。18歳ながらブラジル代表としても出場経験のある逸材に対してバルセロナが支払った移籍金は4000万ユーロ(約56億円)とされている。

 ロッキは2022年1月にブラジルのクルゼイロの下部組織からトップチームに昇格してプロキャリアをスタートさせ、同年4月に移籍したアトレチコ・パラナエンセで評価を高めることになる。2023シーズンは怪我による欠場もあり出場は25試合にとどまるも12得点3アシストの成績を残した。

 バルセロナ移籍後は、ここまでリーグ戦は途中出場のみであるがすでに2ゴールを記録している。オサスナ戦では決勝ゴールを決めて勝利に大きく貢献し、クラブは公式戦3連敗から脱することができた。エースのロベルト・レヴァンドフスキの調子が昨季ほど上がらない中でロッキの活躍が期待されていることだろう。

 バルセロナは昨シーズンにリーグ優勝を果たすも、2023/24シーズンは低調な試合内容が続き、シャビ監督も今季限りでの退任を表明している。これからUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントも控えている中、ロッキはクラブの復調のきっかけとなることができるか。

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