ぜひ日本へ! Jリーグに推薦したいアジアカップの各国代表選手10人。イチオシの人物とは?【アジアカップ2023】

【写真:Getty Images】

 AFCアジアカップカタール2023(アジア杯)もベスト4が出揃い、いよいよクライマックスを迎えようとしている。大会を通してアジアのレベルアップとポテンシャルを再確認した人も多いのではないだろうか。今回は、出場した選手の中からJリーグに推薦したいアジアでプレーする各国の代表選手10人を紹介する。

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MF:サラー・アル・ヤハヤエイ(オマーン代表)
生年月日:1998年8月17日(25歳)
所属クラブ:アル・ナフダ
AFCアジアカップ2023成績:3試合1得点0アシスト

 今大会で最も目立ったドリブラーはオマーン代表MFサラー・アル・ヤハヤエイで間違いないだろう。同国代表はグループリーグで敗退となったが、この男はデータサイト『Sofa Score』によると3試合で18回のドリブルを成功させた。

 ボールを扱うことに関しては今大会随一の上手さを誇る。味方選手からのパスをワントラップ目で届かない完璧な位置にコントロールして、華麗な身のこなしやターンでボールをキープ。2人や3人に囲まれてもボールを失わないキープ力があるため、自分に相手選手を引きつけることで周りの選手がフリーになる現象が生まれる。

 ブラジル人選手を彷彿とさせる華麗なテクニックに加え、彼のドリブルは日本代表FW三笘薫のように右足のアウトサイドで運ぶのが特徴だ。左サイドでプレーする際には急加速での縦への突破もあれば、カットインからのシュートやクロスもある。そして縦に突破をした際にはノーモーションのアウトサイドパスで中央に折り返せるため、相手選手からすると、どのタイミングでパスが出てくるのかが分かりづらい。

 彼の凄さは左サイドでも右サイドでも同じクオリティを保ちながら相手守備陣を1人で突破できることにあるだろう。トップ下を初期配置としながら、ボールがあるサイドに流れてそこで数的優位を作る。今大会初戦で戦ったサウジアラビア代表はこの神出鬼没なドリブラーに大苦戦を強いられ、2人掛かりでも止められず、あっさりとボックス内に進入されるシーンもあった。

 彼がトップレベルでも通用することは、今大会が開幕する以前に証明されている。カタールワールドカップ直前の2022年11月に行われたドイツ代表との親善試合で先発出場すると、得意のドリブルで無双。ドリブル成功率は驚異の100%を記録し、1人で6つのファウルを誘った。ヨーロッパでも通用するスキルを持つこのドリブラーをぜひともJリーグクラブに推薦したい。

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FW:アイメン・フセイン(イラク代表)
生年月日:1996年3月22日(27歳)
所属クラブ:アル・クウワ・アル・ジャウウィーヤ
AFCアジアカップ2023成績:4試合6得点0アシスト

 ベスト8で敗退となった日本代表に確かな傷を負わせたのがイラク代表FWアイメン・フセインだ。

 身長189cm、体重84kgと日本代表が最も苦手としている上背と重量を兼ね備えるストライカーで、ポストプレーとボックス内に飛び込むタイミングとヘディングの強さで驚異となり続けた。ただボックス内にいるだけでなく、相手のマークを外しながらポジションを取り直すことができるため、相手チームのDFからすると非常に厄介な存在だろう。

 ヨルダン代表との決勝トーナメント1回戦で勝ち越しゴールを決めた直後に不必要なゴールパフォーマンスをやってしまい、それで退場となったのは痛恨の極みだが、それを除けば今大会でベストなFWの1人だ。出場した4試合で6得点を奪っており、ベスト8終了時点での得点ランキングではトップに立っている。

 現在フセインは母国イラクのアル・クウワ・アル・ジャウウィーヤでプレーしているが、過去にはチュニジア、カタール、UAE、モロッコと国外でのプレー経験が豊富だ。いずれもイスラム圏なため日本とは大きく文化は異なるが、日本代表の選手たちが手も足も出なかった彼の驚異的なフィジカルには多くのJリーグクラブが魅了されたのではないだろうか。

GK:チョ・ヒョヌ(韓国代表)
生年月日:1991年9月25日(32歳)
所属クラブ:蔚山現代
AFCアジアカップ2023成績:4試合7失点

 韓国代表は今大会を通して多くの怪我人に悩まされている。バーレーン代表との第1節の後に行われたトレーニングでは守護神キム・スンギュが右膝前十字靭帯を断裂してしまった。この危機的状況を受けて、第2節以降はチョ・ヒョヌが代表通算80試合以上の出場を誇る彼の代わりにゴールマウスを守っている。

 チョ・ヒョヌと言えば2018年のロシアワールドカップでの活躍が記憶に新しいだろう。ドイツ代表とのグループリーグ第3節では6本もの枠内シュートを止めて、前回大会王者を敗退に追いやった。しかし、先述したキム・スンギュの存在もあって、同大会以降も代表メンバーに名を連ねはするが、なかなか出場機会に恵まれてこなかった。

 そんな2番手GKにチャンスが巡ってきた。急遽の出場となったグループリーグの2試合では安定感がなかったが、決勝トーナメント以降はかなり調子を上げている印象だ。中でもサウジアラビア代表とのPK戦でのシュートストップとオーストラリア代表戦での至近距離からの2連続セーブは、韓国代表の準決勝進出には欠かせないビッグプレーだった。

 チョ・ヒョヌは典型的な乗せるとシュートを止め続けるタイプのGKで、今のメンタルであればベスト4以降もビッグセーブを連発する予感が漂う。今大会のメンバーでもある湘南ベルマーレのソン・ボムグンを筆頭にJリーグのクラブには韓国人GKが多く在籍している。GK事情に悩むクラブがオファーを出しても不思議ではないだろう。

FW:アリフ・アイマン・ハナピ(マレーシア代表)
生年月日:2002年5月4日(22歳)
所属クラブ:ジョホール
AFCアジアカップ2023成績:3試合1得点0アシスト

 マレーシア代表は開催国枠で出場した2007年大会以来のアジアカップ出場となった。結果は1分2敗と勝利を挙げることはできなかったが、グループリーグ最終節では強豪韓国代表相手に3-3の打ち合いを演じて大きなインパクトを残している。

 その中で2021年と2022年にマレーシアの年間最優秀選手に輝いた“至宝”アリフ・アイマン・ハナピは確かな輝きを放った。10代の頃から国内リーグで無双している22歳のアタッカーは、所属するジョホールで昨シーズン自身初の2桁ゴール2桁アシストを達成するなど着実に力を伸ばしている。

 彼の持ち味でもあるドリブルは今大会でも十分に通用することが証明された。初戦のヨルダン代表戦でチームは0-4の大敗を喫したが、その中でも右の大外の位置から縦への突破と横へのドリブルを上手く使い分けて脅威となっていた。

 大会を通じては味方との連係ミスが多いなどの課題も見えたが、最終節の韓国代表戦で自ら獲得したPKを決めるなど、未来に繋がるポジティブな形でカタールの地を去った。昨年末にジョホールと新契約を結んだこともあり今オフのJリーグ移籍は現実的ではないが、マレーシアが提携国の一つであることも踏まえると、獲得に興味を示すクラブは多そうだ。

MF:グエン・ディン・バック(ベトナム代表)
生年月日:2004年8月19日(19歳)
所属クラブ:グアンナム
AFCアジアカップ2023成績:2試合1得点0アシスト

 今大会のベトナム代表は各ポジションの主軸に負傷者が続出したため全くベストなメンバーを組めなかった。その中でフィリップ・トルシエ監督は自らが兼任しているU-23代表の中心選手である19歳のグエン・ディン・バックをアジアカップメンバーに抜擢した。

 2023年にベトナムの2部リーグでMVPに輝いた逸材で、アジアカップ初戦で日本代表相手に決めた芸術的なヘディングシュートは多くの人の記憶に残っているだろう。このシーン以外にも菅原由勢をドリブルでぶち抜くシーンがあり、圧倒的な格上である日本の選手相手に地上戦で9戦8勝とデュエルで圧倒した。

 インドネシア代表との第2節は負傷で欠場し、イラク代表との第3節は前半のみの出場になるなど、日本代表以降との試合が本調子ではなかったのは残念だが、トルシエ監督の大抜擢で大きな自信を得ることができたのではないだろうか。

 スピードとエネルギッシュさを兼ね備える選手で、前線であれば様々なポジションでプレーできるのも魅力の一つ。今後のベトナム代表を背負う存在になれるポテンシャルの持ち主だ。Jリーグはベトナムと提携国の関係にあることも踏まえると、この若き逸材が日本にやってきても不思議ではないはずだ。

FW:スパチャイ・ジャディード(タイ代表)
生年月日:1998年12月1日(25歳)
所属クラブ:ブリーラム・ユナイテッド
AFCアジアカップ2023成績:4試合2得点1アシスト

 現役の選手ではタイ代表で最もゴールを決めているティーラシン・デーンダーの欠場により、今大会のエースストライカーを任されたのが25歳のFWスパチャイ・ジャディードだった。

 現タイ代表監督の石井正忠とはブリーラム・ユナイテッドで共闘した経験があり、彼が同クラブを率いていた2022/23シーズンにはタイリーグで19ゴールを決めて得点王に輝いた。ともに多くのタイトルを獲得した恩師のもとでスタメンに抜擢されると、初戦のキルギス戦で2ゴールを記録。実に21年12月以来の代表戦での得点を大舞台で決めてみせた。

 やや細身だがスピードがあり、カウンターの場面で強さを発揮するタイプのストライカーだ。強烈なミドルシュートからゴールネットを揺らすなど、エリア外からゴールを狙えるのも彼の強みの一つだろう。

 近年は今大会にも出場した北海道コンサドーレ札幌所属のスパチョーク・サラチャットを筆頭に多くのタイ人選手がJリーグでプレーしている。先述したティーラシンや元北海道コンサドーレ札幌MFチャナティップ・ソングラシン、元横浜F・マリノスDFティーラトン・ブンマタンらタイ代表の主軸選手たちは軒並みJリーグクラブでのプレー経験があり、先人たちが切り開いた道をスパチャイも歩むことになるかもしれない。

GK:ルスタム・ヤチモフ(タジキスタン代表)
生年月日:1997年7月13日(25歳)
所属クラブ:イスティクロル
AFCアジアカップ2023成績:5試合4失点

 今大会で最大のサプライズとなったのが、アジアカップ初出場ながらベスト8に名を連ねたタジキスタン代表だろう。FIFAランキングは106位と、出場24ヶ国の中では18番目の順位だが、UAE代表などアジアの強豪を倒して準々決勝に進出した。

 その最大の立役者は正GKのルスタム・ヤチモフだ。ロシア出身の同選手は身長194cm、体重90kgと世界水準の体格の持ち主で、長い手足を活かしたセービングでチームのピンチを何度も救った。飛び出しの判断もよく、相手FWとの距離の詰め方がスムーズで上手い。UAE代表とのPK戦では相手の2本のPKを完全に読み切って勝利の立役者となった。

 全チームがベスト8までの日程を消化した時点で、ヤチモフは全選手で最多の18セーブを記録している。その中で喫した失点はわずか4で、セーブ率は驚異の82%を叩き出した。今大会を通して目立ったミスもなく、安定感のある優れたGKであることを世界に証明した。

 所属するイスティクロルはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)にも出場しており、昨年にアル・ナスルと対戦した際にはポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドやクロアチア代表MFマルセロ・ブロゾビッチが放った至近距離からのシュートをビッグセーブで防いだ。これだけの活躍を見せれば、熱視線を送るクラブがあっても不思議ではない。

MF:オストン・ウルノフ(ウズベキスタン代表)
生年月日:2000年12月19日(23歳)
所属クラブ:無所属
AFCアジアカップ2023成績:5試合0得点1アシスト

 今大会でベスト8に進出を果たしたウズベキスタン代表で背番号11を背負うオストン・ウルノフは、昨季限りでナフバホールを契約満了に伴い退団したためフリーの状況が続いている。

 現在23歳のウルノフは19歳でロシアのウファに移籍。わずか半年でスパルタク・モスクワにステップアップを果たすなど、期待の逸材として注目されていたが、その後は思うような結果を残せなかった。しかし、昨年2月に母国リーグに復帰を果たすと国内リーグで9得点2アシスト、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では3得点2アシストの活躍を披露し、復活を印象づけた。

 ウルノフは典型的なウインガータイプの選手で、左サイドからのカットインシュートが最も得意としている形だ。ただ、様々なポジションをこなせるのも彼の特徴であり、今大会もストライカー、左WG、トップ下と3つのポジションでプレー。キャリアを通して右SBとしての経験が30試合以上あるなど、どこでもプレーできる万能性も持ち味である。

 課題を上げるとすればWG特有のムラッケだろうか。ドリブルで運んでなんぼの選手なため、これが止められてしまうとロストマシンと化してしまう。今大会も良い試合と悪い試合がハッキリしていた印象だ。ウルノフはAFCアジアカップ2023を格好の”就活”の場として活用することができたのだろうか。その成果は間もなく明らかになるだろう。

DF:ラミン・レザイアン(イラン代表)
生年月日:1990年3月21日(33歳)
所属クラブ:セパハン
AFCアジアカップ2023成績:5試合0得点0アシスト

 33歳となったラミン・レザイアンだが、彼は全く衰えることを知らないようだ。素晴らしいパフォーマンスだった2022年のカタールワールドカップに続いて、AFCアジアカップ2023でも確かな存在感を発揮している。

 良質なキックが持ち味のイラン代表の右SBは、カタールでプレーしていた際に背番号10を背負うなど、大の攻撃参加好きで知られる。PKキッカーを務めたことも相まって2桁ゴールを記録した経験もあり、久々の母国復帰となった昨季も7得点8アシストとWG並みの成績を残した。

 今大会も不動の右SBとしてフル稼働しており、日本代表との準々決勝でもセットプレーのキッカーとして危険なクロスをボックス内に届け続けた。守備が得意なタイプではないが、かと言って苦手というほど穴になることはない。近年は怪我も少なく、常にパフォーマンスが安定している印象だ。

 レザイアンは母国イラン以外にもベルギーとカタールでプレーしており、海外生活の経験も豊富である。Jリーグは過去にイラン人選手がプレーしたことがないため、移籍のハードルが高いことは百も承知だが、ぜひとも日本で見たい選手の一人だ。

DF:ハリル・カミス(レバノン代表)
生年月日:1995年1月12日(29歳)
所属クラブ:アル・アヘド
AFCアジアカップ2023成績:2試合0得点0アシスト

 今大会でレバノン代表はグループリーグ3試合で勝ち点1に留まった。ほぼ全選手にとって難しい大会となったが、CBのハリル・カミスのパフォーマンスは素晴らしかったのではないだろうか。

 カミスは1月6日に追加招集された身長189cmの大型CBで、本来は代表の主軸ではない。しかし、実力は折り紙つきで国内リーグでは3度ベストイレブンに選出された経験がある。これまでの代表出場試合数が4試合と長らくナショナルチームとは縁がなく、カタール代表との開幕戦もベンチを温めたが、中国代表との第2節から守備に抜群の安定感をもたらした。

 空中戦に強いためシンプルなクロスは簡単に頭で跳ね返すことができる。その上、予測能力にかなり長けている印象だ。3バックの一角で起用された中国代表戦はダントツ1位の11のクリアを記録し、中でもウー・レイの無人のゴールへのシュートを先読みしてライン上でクリアしたプレーは超ファインプレーだった。

 カミスが先発に起用された2試合でレバノン代表はオープンプレーから1失点しか喫していない。この1失点も味方CBが退場してから喫したものであり、万全な体勢であれば失点を許さなかった。JリーグではFC東京などに所属した元レバノン代表DFジョアン・オマリが長くプレーした経験があり、同国代表との縁が全くないわけではない。今大会のスーパーなパフォーマンスを受けて、オファーする日本のクラブは現れるのだろうか。

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