Jリーグ入りもある? 来夏フリーとなる海外日本人選手7人。現サッカー日本代表らの去就は?

【写真:Getty Images】

●DF:中山雄太(ハダースフィールド/イングランド)

今季限りで契約満了を迎える選手、すなわち来夏“フリー”になる選手たちは移籍金を必要とせずにチームに迎え入れることが可能なため、移籍市場の大きなターゲットとなる。今回は、今季限りで契約満了を迎える予定の海外日本人選手をピックアップした。(市場価値、契約満了日は『transfermarkt』を参照)
-------------------------------------------------------

生年月日:1997年2月16日(26歳)
契約満了:2024年6月30日
市場価値:150万ユーロ(約2.1億円)
23/24リーグ戦成績:13試合0ゴール0アシスト

 ワールドカップ直前に右アキレス腱断裂という大怪我を負った中山雄太は今、完全復活を遂げている。

 久しぶりにサッカー日本代表のユニフォームに袖を通した10月のカナダ代表戦ではフル出場。パス成功率92%、ロングパス成功率86%という驚異的なスタッツ(データサイト『Sofa Score』参照)を叩き出し、まだまだ左SBのレギュラー争いで伊藤洋輝に負けない姿勢を示した。

 所属するハダースフィールドでも左SB(WB)を主戦場として戦っており、怪我から復帰後は持ち前の優れた状況判断とクリーンなタックルで堅実なプレーを披露。左SBとCBのどちらも高いレベルでこなせる同選手は最終ラインに不可欠な存在となっている。

 しかしながらチームはチャンピオンシップ(イングランド2部)21位に沈んでおり、熾烈な2部残留争いに巻き込まれている。降格圏に並ぶ他チームと比べると「負け」が少ないが、勝ち切れず「引き分け」になる試合が多い。着実に勝ち点は拾えており、要所での勝負強さが求められている。

 仮に今季チームが3部へ降格してしまった場合、中山が夏に新天地を求める可能性が出てくるだろう。。3部でのプレーとなれば、代表での自身の序列が脅かされる可能性もある。自身のキャリアのためにもまずは目先のリーグ戦で勝利を積み重ねたい。

<a href="https://www.footballchannel.jp/2022/04/14/post459679/" target="_blank" rel="noopener">中井卓大だけじゃない! 10代の欧州日本人サッカー選手5人</a>
<a href="https://www.footballchannel.jp/2023/07/05/post471101/" target="_blank" rel="noopener">なぜ…。欧州で活躍できなかった日本人選手10人</a>
<a href="https://www.footballchannel.jp/2023/11/05/post519417/" target="_blank" rel="noopener">サッカー日本代表候補を100人選んでみた。W杯予選&アジア杯でチャンスがあるのは…</a>

●MF:原口元気(シュトゥットガルト/ドイツ)

生年月日:1991年5月9日(32歳)
契約満了:2024年6月30日
市場価値:100万ユーロ(約1.4億円)
23/24リーグ戦成績:1試合0ゴール0アシスト

 原口元気も来夏クラブとの契約が満了を迎え、フリーになる予定だ。

 32歳の日本代表MFは、2014年に浦和レッズからヘルタ・ベルリンに完全移籍。そこからフォルトゥナ・デュッセルドルフ、ハノーファー、ウニオン・ベルリン、シュトゥットガルトと、ドイツのクラブを渡り歩いている。

 今年1月にフリーで移籍したシュトゥットガルトでは一時はレギュラーの座を掴み取ったが、監督交代のあおりを受けて大幅に出場機会が減少。27歳の長身MFアタカン・カラゾルと22歳のMFアンゲロ・スティラーの2ボランチは完成度、連係度ともに高く、原口はベンチを温める試合が続いている。彼らが出場しない試合では他の若手選手が起用されており、同選手の序列は4番手、5番手まで下がっていると考えてよさそうだ。

 今後もこのような状況が続けば、契約を延長せず来夏フリーで新天地を探すシナリオが濃厚だ。国際的な大舞台の経験もあるベテランMFを欲しがるクラブは少なくないはずであり、年齢を考えればJリーグ復帰も視野に入ってくるだろう。

●MF:長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)

生年月日:1984年1月18日(39歳)
契約満了:2024年6月30日
市場価値:80万ユーロ(約1.1億円)
23/24リーグ戦成績:3試合0ゴール0アシスト

 39歳となったカイザー(皇帝)は今なお、トップレベルの舞台で戦い続けている。

 長谷部誠は、先日行われたブンデスリーガ第14節バイエルン・ミュンヘン戦では後半36分からピッチに立ち、クローザーとしての役割を完遂。5-1という絶対的王者相手への大金星に貢献した。この試合は長谷部にとってフランクフルトでのリーグ戦230試合目となり、外国籍のクラブ歴代最多出場選手としてクラブ史に名を刻んでいる。

 2022年2月にクラブとの契約を2027年まで延長。その内容は、「1年間選手としてプレーし、その後はコーチングスタッフとしてクラブに関わる」というものだった。しかし今年3月に東京で記者会見を開き、さらに1年間(2024年夏まで)現役を続けることを発表した。

 フランクフルト在籍10シーズン目となる今季はリーグ戦の出場こそ少ないが、DFBポカールでは全3試合に先発出場。3バックの一角や守備的MFの位置からチームの守備を安定させ、ビルドアップの起点になっている。

 昨季チームを率いたオリバー・グラスナー監督に「選手として、人間として、マコトはいつだって信頼できる」(『Bulinews』)とまで言わせた同選手は、もはやただの選手ではないだろう。同選手が持つプロフェッショナルとしての高い意識と豊富な経験値は他の選手では替えが利かない、クラブの財産だ。来夏さらに契約を延長し、生ける伝説として現役続行するのか…長谷部誠が下す決断に注目したい。

●MF:鎌田大地(ラツィオ/イタリア)

生年月日:1996年8月5日(27歳)
契約満了:2024年6月30日
市場価値:2700万ユーロ(約37.8億円)
23/24リーグ戦成績:12試合1ゴール1アシスト

 ラツィオに所属する鎌田大地は、新天地で悶々とした日々を過ごしている。

 昨季はフランクフルト(ドイツ)でリーグ戦32試合に出場し9ゴール6アシストと活躍。数々のビッグクラブからの獲得調査報道があった中で、鎌田は次なる旅の行き先をイタリアの名門ラツィオに決めた。

 名将マウリツィオ・サッリの下で鎌田が躍動する、そんな美しい光景に誰もが期待していたはずだが、蓋を開けてみるとチームの絶対的な主力になり切れていない。開幕4試合で1ゴール1アシストと上々のスタートを切ったものの、アル・ヒラルに移籍したセルビア代表MFセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチの穴を埋めるまでには至らず。クラブは第4節終了時点で1勝3敗と不調に陥った。同ポジションを争うフランス代表マテオ・ゲンドゥージの活躍もあり、第5節以降リーグ戦でのスタメン出場はわずか1試合となっている。

 クラブとの契約は今のところ2024年6月までとなっている。フランス紙『Le10sport』はマルセイユが同選手の獲得に動き、ラツィオに接触していると報じた。出場機会に恵まれていないものの、フリーで獲得できるとなれば、昨季までの活躍を鑑みて同選手の獲得に乗り出すクラブは少なくないだろう。

●FW:浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)

生年月日:1994年11月10日(29歳)
契約満了:2024年6月30日
市場価値:400万ユーロ(約5.6億円)
23/24リーグ戦成績:14試合4ゴール1アシスト

 浅野拓磨は、2016年にサンフレッチェ広島からアーセナルへ移籍した。しかしイングランドでプレーするのに必要な労働許可が下りず、結局シュトゥットガルト(ドイツ)へローン移籍することに。その後移籍したハノーファー(ドイツ)やパルチザン・ベオグラード(セルビア)では、契約の問題や給与未払い問題に巻き込まれるという不運なキャリアを歩んでいる。

 そんな中、同選手は2021年にボーフムへ移籍することを決意する。加入1年目から両ウイングのポジションで定位置を獲得。昨季は右膝靱帯断裂により戦線離脱となった期間もあったが、最終的にリーグ戦25試合に出場した。クラブの1部残留がかかった最終節では、1ゴール1アシストの大活躍で一夜にしてボーフムの英雄となっている。

 在籍3年目となる今季は、第3節アウクスブルク戦、第10節ダルムシュタット戦でそれぞれ2ゴールを挙げ4ゴールをマーク。すでに1年目、2年目に記録したゴール数を超えている。

 しかしながら、チームは現在リーグ14位と下位に沈んでおり2部降格も十分にあり得る状況だ。クラブとの契約は今季までとなっているが、2部への降格の可能性は同選手にとって契約延長への大きな懸念材料となるだろう。

●MF:森岡亮太(シャルルロワ/ベルギー)

生年月日:1991年4月12日(32歳)
契約満了:2024年6月30日
市場価値:75万ユーロ(約1億500万円)
23/24シーズン成績:12試合0ゴール0アシスト

 森岡亮太はヴィッセル神戸で6シーズンを過ごしたのち、2016年に海外での挑戦を決意。2018年にはベルギーの強豪アンデルレヒトへのステップアップを果たした。しかし、アンデルレヒトではベンチ外の日々が続き、2019年冬に同じくベルギーのシャルルロワへのローン移籍が発表。その後、完全移籍となっている。

 シャルルロワでは長きに渡って中盤のレギュラーとして活躍してきたが、在籍5シーズン目となる昨季、同選手の立場は大きく変わってしまう。チームの成績不振によってシーズン途中に監督が代わると、出場機会が減少。21/22シーズンはリーグ戦27試合に先発出場していたが、昨季の先発出場はわずか11試合にとどまった。名誉挽回を図りたい今季も、リーグ戦12試合の出場でいまだゴール、アシストは生まれず。目に見える活躍を残せていない。

 今年6月には、森岡に対してシント=トロイデン(ベルギー)などが獲得に興味を示しているとベルギー紙『La Derniere Heure』が報道したが、結局は移籍することなくシャルルロワに残留。契約満了を迎える来夏、同選手の動向に注目が集まる。

●FW:伊藤達哉(マクデブルク/ドイツ)

生年月日:1997年6月26日(26歳)
契約満了:2024年6月30日
市場価値:70万ユーロ(約9800万円)
23/24シーズン成績:14試合0ゴール1アシスト

 柏レイソル下部組織出身の伊藤達哉はJリーグを経験することなく、2014年にハンブルガーSV(ドイツ)への移籍を果たした。その後シント=トロイデン(ベルギー)へ移り、昨年冬にはドイツ2部のマクデブルクへローン移籍で加入している。

 マクデブルクでは主にジョーカーとして後半から起用されることが多く、昨季のリーグ戦1試合当たりの平均出場数は37分。そのような状況でも5ゴール5アシストをマークしており、ドリブルを始めとする自身の強みを発揮することができていた。その活躍もあり、今年6月には同クラブへ完全移籍することが発表されている。

 2018年に招集されて以降日本代表から遠ざかっている同選手だが、クラブで十分なプレータイムさえ得られれば久しぶりの代表招集も不思議ではない。26歳となった今が、サッカー選手として今後のキャリアに影響する重要な時期だ。来夏クラブとの契約が満了することを考えると、契約を延長せず、新たな活躍の場を探すかもしれない。

<a href="https://www.footballchannel.jp/2022/04/14/post459679/" target="_blank" rel="noopener">中井卓大だけじゃない! 10代の欧州日本人サッカー選手5人</a>
<a href="https://www.footballchannel.jp/2023/07/05/post471101/" target="_blank" rel="noopener">なぜ…。欧州で活躍できなかった日本人選手10人</a>
<a href="https://www.footballchannel.jp/2023/11/05/post519417/" target="_blank" rel="noopener">サッカー日本代表候補を100人選んでみた。W杯予選&アジア杯でチャンスがあるのは…</a>

ジャンルで探す