中日の絶対守護神マルティネスの残留可能性はほぼ消滅…移籍先最有力はなぜか防御率1点台右腕を手放していた横浜DeNAか?

 NPBは2日、各球団の保留選手名簿と自由契約選手を公示した。中日では、絶対的守護神のライデル・マルティネス投手(28)が名簿から外れ、自由契約選手となった。今後は、中日を含む全球団と交渉ができるが、再契約交渉に失敗した中日残留の可能性はほぼ消滅。なぜか防御率1点台の中継ぎ右腕のJB・ウェンデルケン(31)を放出した“下剋上日本一”横浜DeNAへの移籍説が急浮上している。

 1年800万ドル(約12億9000万円)以上オファーの海外情報も

 ドラゴンズファンにとってはショッキングなニュースだ。絶対的守護神で今季も60試合に登板し、防御率1.09、2勝3敗7ホールド、43セーブで、セーブ王タイトルを獲得したマルティネスが、自由契約選手として公示されたのだ。
 これが意味するのは、中日の再契約交渉が不調に終わったということ。今後は、中日を含めた全球団と交渉が解禁されることになり、中日は引き続き残留交渉を行う方針を明かしているが、事実上、残留の可能性は消えたことになる。
 マルティネスは、今季まで推定2億円の3年契約を結んでいた。中日はグループの総力をあげて、異例とも言える数倍の年俸プラス複数年の大型契約を提示したと見られる。マルティネスは、育成契約から8年間在籍した中日に対して「居心地がいいチーム。できれば出たくないが…」との希望を口にしていた。しかし、保留者名簿の提出期限までに交渉の窓口となっているキューバ政府、キューバ野球連盟を含めたマルティネスサイドの合意は得られなかった。井上一樹新監督を迎え、最下位脱出を狙う中日にとってマルティネスの引き留めの失敗は大きな誤算だろう。
 他球団との交渉の正式解禁で激しい争奪戦が予想される。
 可能性があるのは、中日の条件を超えるオファーの用意できる資金力と交渉の窓口となるキューバ政府とのルートがある球団に限られる。今季先発に転向して優勝に貢献した左腕のリバン・モイネロが所属しているソフトバンク、キューバルートの開拓においては、中日と共にパイオニアのひとつとも言える巨人、過去にユリエスキ・グリエルを獲得した経緯のある横浜DeNA、「プレミア12」に出場していたアルフレド・デスパイネが所属していたことのあるロッテの4球団だ。
 10月上旬の時点でキューバ情報に強いフランシス・ロメロ記者は「ライデルは少なくともあと1シーズンは日本に留まる。彼との契約に興味を持っている複数のチームと交渉中だ。横浜DeNAとソフトバンクが有力視されている」と報じていた。
 そして「少なくとも1つのチームが、1シーズンあたり800万ドル(約12億9000万円)から1000万ドル(14億9000万円)のオファーを出している。2017年から在籍している中日は、まだ彼を引き留めようとしているが、マルティネスが中日に戻ることはなく、他の選択肢を模索する可能性が高い」と、具体的なオファー額も明かしていた。

 

 

 その中で最有力候補として急浮上しているのが、野球評論家の一人が「オフのあらゆる動きがマルティネスの獲得に符号する」と推測する横浜DeNAだ。
 横浜DeNAは、11月30日に中継ぎ右腕のウェンデルケンと左の内野手のマイク・フォードの2人と契約を更新しないことを発表した。2023年に入団したウェンデルケンは、長身のパワーピッチャーで中継ぎとして1年目に61試合、2勝2敗33ホールド、防御率1.66の成績を残して、今季も28試合に登板して1勝1敗16ホールド、防御率1.71という優秀な成績を残して勝ちパターンに組み入れられていた。制球には問題の残る右腕だが、そのウェンデルケンのリリースに対してSNS上ではベイファンから「なんで放出?」「他球団でも活躍できる」などの声が相次いでいた。
 だが、マルティネス獲得にメドがついたことで、ウェンデルケンをリリースしたと考えれば、その決断にも納得がいく。
 今季は、森原康平が守護神を務め、58試合に登板し、防御率2.41、2勝6敗11ホールド29セーブの成績を残したが、シーズンを通じてコンディションを維持できずストッパーのポジションから外れた時期もあった。6敗という数字も問題。“下剋上日本一”を果たしたものの、レギュラーシーズンは3位に終わった横浜DeNAが、来季のリーグ優勝に向けて、マルティネスの獲得に成功してストッパーに固定できれば、森原をセットアッパーに使え、残留の決まったローワン・ウィックらが、控えるブルペンの厚みと質は、盤石なものとなる。
 さらに昨年オフに今永昇太がポスティングシステムを使ってカブスと4年総額5300万ドル(約79億2000万円)の契約を結んだため、球団に最大982万5000ドル(約14億7000万円)のポスティングフィーが入った。その“今永資金”をマルティネスの獲得資金にまわすことができる。ロメロ記者が明かした「1年800万ドル(約12億9000万円)から1000万ドル(14億9000万円)のオファー」という額も、不思議なことに、この“今永資金”と、ほぼ重なるのだ。
 一方のソフトバンクは、推定4年40億円の大型契約を結んでいるクローザーのロベルト・オスナ、10月29日に2年契約で合意したことを発表した中継ぎ左腕のダーウィンゾン・ヘルナンデスが、保留者名簿に載り、何が何でもマルティネスを獲得せねばならないという切迫したチーム事情にはない。
 これらの“状況証拠”は、前出の野球評論家が示したマルティネスの横浜DeNA移籍説により説得力を持たせているのだが…果たしてキューバの剛腕は来季、どこのユニホームを着ているのだろうか。

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