横浜DeNAを衝撃退団したフォードは争奪戦となるのか…阪神のFA大山を獲り逃がした巨人?それとも最下位脱出を狙う西武?

 横浜DeNAは30日、JB・ウェンデルケン投手(31)とマイク・フォード内野手(32)と来季の契約を結ばないことを発表した。一方で首位打者のタイラー・オースティン内野手(33)、ローテーを支えたアンドレ・ジャクソン投手(28)、アンソニー・ケイ投手(29)の2人、中継ぎのローワン・ウィック投手(32)の残留も発表された。いずれも1年契約。SNSでは、ポストシーズンで活躍したフォードについて、他球団の争奪戦予想が飛び交うが果たして…。

 2年連続防御率1点台の中継ぎのウェンデルケン

 30万人のファンに祝福された横浜DeNAベイスターズの『日本一パレード』が行われた日にチームは、ウェンデルケンとフォードの退団を発表した。保留者名簿の提出期限と重なったためだが、SNSでは、ベイファンから2人の退団を惜しむ声と感謝の言葉が並んだ。
 2023年に入団したウェンデルケンは、中継ぎとして1年目に61試合、2勝2敗33ホールド、防御率1.66、今季も28試合に登板して1勝1敗16ホールド、防御率1.71という優秀な成績を残した。
 今季途中にレッズから加入したフォードは、昨季メジャー16本塁打のパワーとエンゼルス時代に大谷翔平とチームメイトだったことがPRポイントだったが、一塁にオースティン、佐野恵太がいたため、ほとんどがファーム暮らしで、1軍出場は、わずか6試合で打率.200、1本塁打、2打点に終わった。しかし、ファームの日本一決定戦で、2打席連続本塁打をマーク。クライマックスシリーズでは、阪神とのファーストステージの第2戦で、貴重な代打本塁打を放ち、ソフトバンクとの日本シリーズでも、4試合に出場して6打数2安打の打率.333と存在感を示していた。
 タイミングの取り方が、柔軟で変化球への対応もできる。ボール球も見極めることができ、代打として勝負強さも発揮していた。
 ウェンデルケンは、制球の不安定さ、フォードは、球団がオプションを行使して、オースティンの残留が決定したため、外国人枠と守備位置の問題でリリースされることになったが、SNSでは、特にフォードに関して、「フォードは西武、楽天、広島なら活躍するわ」「パ・リーグで争奪戦になりますね」など、他球団の争奪戦を予想する声が相次いだ。
 近年、外国人野手は、当たり外れが激しく、結果を残しているのは、首位打者を獲得したオースティンと、サンタナ、オスナのヤクルトのコンビくらい。新外国人は、日本野球への順応能力が不安視されるため、ロッテは、元横浜DeNAのソト、元巨人のポランコ、日ハムも元中日のマルティネスを獲得するなど、計算の立つ他球団での経験者を獲得して成功している。シーズン途中からだったが、経験を積んだフォードへのノビシロを期待して争奪戦になることは十分に予想される。

 

 

 セ・リーグでは、広島はすでにメジャー21発のエレフリス・モンテロ内野手、マイナーリーガーのサンドロ・ファビアン外野手と契約を結んだのでフォードには手を出さないだろう。むしろFAで狙っていた大山悠輔が阪神残留を決断したことで構想の狂った巨人が有力候補として挙がってくる。今季途中加入のヘルナンデスは残留の方向だが、外国人野手に関しては、枠があり、大山の加入に向けて、岡本和真の外野への本格コンバート案なども検討されていたと見られるため、フォードはマッチするのかもしれない。
 ただ一塁しか守れないため、どちらかと言えば、DHのあるパ・リーグ向きで、一塁の固定できなかった西武、楽天、オリックスが獲得に乗り出す可能性はある。
 チーム事情から言えば、今季断トツの最下位に沈み、チーム打率.212と低迷した打線の強化が最大のポイントの西武が最もフィットする。今季一塁は、ソフトバンクからトレードで移籍した野村大樹が、最も多い40試合に先発したが、打率.222、5本塁打、22打点に終わり、DHは、41歳の中村剛也が42試合に先発出場したが、打率は1割台で、7本塁打、14打点と明らかに力が落ちた。
 フォードは今季途中からの契約で推定年俸は50万ドル(約7500万円)。100万ドル(約1億5000万円)程度で契約できると見られ、値段もお手頃だ。ただ争奪戦となると、緊縮財政を余儀なくされている西武には勝ち目がないかもしれない。
 一方でネガティブな意見もある。
 元千葉ロッテの捕手でタイムリーに更新するYouTubeが大人気の評論家の里崎智也氏は、「ノビシロがあるとも言えるが、逆に来季はより研究されて打てない可能性もある。明らかに穴のあるバッター。粗いし、ホームラン打者ではなく、中距離打者なので、ひとつコントロールを間違えばという怖さもない。横浜DeNAが、リリースしたのは、ある意味、理解できるし、私は争奪戦になる可能性は低いと見ている」というシビアな意見を口にしていた。
 2年連続の防御率1点台で、中継ぎとして計算の立つウェンデルケン、そして魅力的な左のスラッガーのフォード。ストーブリーグで、横浜DeNAを退団した2人の外国人の動向に注目が集まる。

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