「大谷翔平はドジャースの佐々木朗希獲得に努力をしていない」MVP発表後の「勧誘していない」発言が波紋呼ぶ…一部ド軍専門メディアが批判
ドジャースの大谷翔平(30)が満票で2年連続3度目のMVPに選ばれたが、受賞後の電話会見でメジャー挑戦を表明している佐々木朗希(23)について「特に勧誘ということはない」と言及した発言が波紋を呼んでいる。佐々木の決断をリスペクトするという正論を述べたに過ぎないが、一部のドジャース専門メディアは、「佐々木獲得に努力をしていない」とその姿勢を非難した。
「ドジャースファンはこんな発言を聞きたくなかった」
大谷のMVP受賞のニュースが、日米を駆け巡り、発表の瞬間にソファから飛び出した愛犬デコピンの逃走劇も話題にもなった。だが、その一方でポスティングによるメジャー挑戦を表明している佐々木について言及した発言が波紋を呼んだ。
複数の米メディアの報道によると、大谷は受賞後の電話会見で佐々木について「このオフに勧誘や話をしたことがあるのか?」と質問され、こう答えた。
「特に勧誘ということはない。(山本)由伸もそうだったが、シーズン中も特に関係なく、全員去年(一緒にWBCで)プレーした選手とは連絡を取ったりしている。本当に友達の一人として自然に話をしている。彼の意見を尊重している。どこのチームを選んでも、彼なら素晴らしい成績を残せると思う」
自らも日ハムからポスティングによるメジャー挑戦を表明した際に多くの球団と交渉してエンゼルスを選び、FAとなった昨年オフには数球団の本拠地やキャンプ地を訪問して熟考の末、最後にドジャースを選んだ経験があるだけに、佐々木の決断をリスペクトするという大谷らしい正論を口にしたに過ぎない。
だが、この「勧誘をしていない」という発言をドジャースの専門メディア「ファンサイド」が問題視した。
同メディアは「ドジャースに不利な状況が続いている」と、当初本命視されている中、元レッズ、ナショナルズGMでMLBアナリストのジム・ボウデン氏が「ドジャースの獲得の可能性が10から15%」との見通しを語ったことや、米サイド「ジ・アスレチック」の取材に応じた佐々木の代理人ジョエル・ウルフ氏が球界に流れているドジャースとの密約説を否定し、それらの情報をリークした球団幹部らの行動を「スポーツマンシップに欠ける」と批判したことを紹介。「もし数週間でドジャースと契約する予定がある場合、代理人がこんなことを言うことはほとんどない」と佐々木のドジャース入りの可能性を否定的に捉えた。
そういう状況を説明した上で「大谷は佐々木をドジャースに勧誘するためにあまり努力していない」との中見出しを取り、今回の発言を非難した。
MVPを獲得した大谷を「最も偉大な野球選手」「日本の選手たちから尊敬される選手」と称え、昨年のWBCの侍ジャパンで佐々木と知り合ったことを説明し「それにもかかわらず、大谷は佐々木をロサンゼルスに呼び込もうとする際に大きな役割を果たしているようには見えない」と厳しく評した。
同メディアは、「まだ23歳の佐々木は、新しい国でのキャリアをどの組織に任せるかという大きな決断を下す前に、できるだけ多くの情報を収集する権利があり、彼のユニークなFAステータス(25歳ルールの対象選手)は、金銭が決定的な要因にならず、30チームすべてを合理的に検討できることを意味している。友人(の大谷)が、そのプロセスを侵害したくない、または佐々木にとっての最善の道を心から願っていないと見せたくないということは理解できる」としたものの、こう批判的な論調を続けた。
「それでもこの発言は今ドジャースファンが聞きたいことではない。特に佐々木の新たな本命候補であるディビジョンのライバル、パドレスが佐々木の親友であり師匠の一人でもあるダルビッシュ有の存在をアピールしている。(大谷は)佐々木の意思決定プロセスを尊重しつつ、ドジャースの好きなところを明確に伝える方法を考えればいいのだ。そうすれば大谷にとっても佐々木にとっても素晴らしいことが起き続けることができる。しかし大谷はフィールド上での華々しさにもかかわらずまだスーパースターの座にあまり興味を示していない。LAはこの冬に先発ローテーションをアップグレードする最大のチャンスを失う可能性がある」
ドジャースに佐々木が来て欲しいというファンの立場に立った主張は理解できるが、これはあまりにも暴論。ダルビッシュ有が、佐々木をパドレスに勧誘するために何らかのアピールをしているという事実もない。
一方で大谷の発言を肯定的に受け止めているメディアも少なくない。
米サイト「クラッチポイント」は「大谷のコメントは佐々木の獲得に積極的に関与したことを否定しているが、密約を巡る法的な問題を考えれば驚くことではない」と伝えた。
先日、ロブ・マンフレッドコミッショナーは、佐々木の契約が「25歳ルール」に従って、各球団に割り当てられているボーナスプール金がリセットされる来年の1月15日以降になるとの見通しを明かした。現在、ドジャースが250万ドル(約3億8000万円)と最大のボーナスプール金をキープしていることが、密約説の背景にあると考えての発言。さらに同コミッショナーは、タンパリングなどについて徹底的に調査していく意向を示した。そういう状況の中で、もし大谷が「勧誘した」とでも語っていれば、タンパリングに抵触する可能性が出てくる。
同サイトは、「それでもドジャースは、日本とのコネクションや国際的な才能の育成に成功していることから最有力候補と見られている。ドジャースの育成システム、日本との親密さ、メディアを活用する能力は、佐々木の入団を説得力のあるものにしている。2023年のWBCで優勝したチームジャパンのチームメイトだった大谷や山本との親近感と仲間意識は、佐々木のドジャースへの魅力をさらに高めている」とした上で、こうも伝えた。
「一方で佐々木の決断は予断を許さない。大谷や山本の影に隠れてしまうのを避けるため、より小さなマーケットを好むのではないかという見方もある。また、小さな舞台の方が、佐々木にとってよりスポンサー獲得の機会が得られるという憶測もある」
そして記事を「大谷が積極的な獲得を否定したからといってドジャースのチャンスが減るとは限らないが、佐々木の最終的な決断は、金銭的条件、育成の機会、そして個人的な好みを総合的に判断することになりそうだ」という意見でまとめた。これが佐々木を取り巻く現状を的確に表現している意見だろう。ポスティング申請の締め切りは12月15日となっている。
11/23 06:24
RONSPO