「今のチームメートと日本一に」巨人愛を貫きFA宣言せず残留した31歳捕手の決意

FA権を行使せず、チームに残留することがわかった大城卓三

 巨人の大城卓三捕手(31)が12日、今季取得した国内FA権を行使せず残留する決断を下した。13日の書類提出期限が迫る中、複数年契約を提示されてギリギリまで熟考。他球団の評価を聞く選択肢も含めて悩み抜き、最終的には愛着の強い巨人で来季もプレーする意思を固めた。夕方に球団側に思いを伝え、球団からも正式発表。「今のチームメートと一緒に日本一になりたい」と決意を示した。

 悩んだ。心が揺れた。大城卓は野球人生の岐路に立って自問自答を繰り返してきた。今季取得した国内FA権を行使して他球団移籍を目指すのか、巨人愛を貫き通すのか。10月21日にDeNAに敗れてCS最終ステージ(S)敗退となってから約3週間、考え抜いて出した答えは後者だった。

 「この期間、ジャイアンツでの7年間を思い返しながら熟考した中、やっぱりジャイアンツでプレーを続けたい、今のチームメートと一緒に日本一になりたいとの強い思いは変わりませんでした。来季もジャイアンツの一員としてリーグ連覇、日本一に向けてこれまで以上に頑張りたいと思います」

 自ら熟考とコメントしたように、簡単な決断ではなかった。選手としてさらに上を目指すため、新たな環境に身を置くこともイメージしたが、大好きな巨人で入団以来、まだ達成できていない日本一、銀座パレードの景色を見たい思いが強く葛藤してきた。フラットな気持ちでこの日を迎え、決断して球団に意思を伝えたのは夕方。午後8時すぎに正式発表となった。

 昨年はWBCで侍ジャパンの一員として世界一を経験し、シーズンではキャリアハイの134試合、打率2割8分1厘、16本塁打、55打点でセ・リーグ捕手部門ベストナインに輝いた。だが、今季は自身4年ぶり100試合以下となる96試合出場で打率2割5分4厘、3本塁打、27打点。捕手としての出場機会は減った。

 もがきながら選手会長として先頭に立ち、4年ぶりリーグ優勝。だが、CS最終Sでは第1戦に「5番・捕手」、第3戦に「5番・一塁」で先発出場も好機で凡退し、3試合の出場で計8打数無安打に終わった。あと一歩で日本シリーズ進出を逃した悔しさを必ず巨人で晴らす。その決意でFA権を行使しなかった。

 球団からは通算62本塁打の打撃力、捕手だけでなく一塁を守れる柔軟性、選手会長として培ったリーダーシップ、ナインからの厚い人望など総合的に高評価され、複数年契約を提示されているが、厳しい競争に身を置くことは覚悟しての残留だ。プロ8年目の来季は圧倒的な成績で日本一へ。ジャイアンツ愛を力に変えて勝負に挑む。

 ◆大城 卓三(おおしろ・たくみ)1993年2月11日、沖縄県生まれ。31歳。神奈川・東海大相模では3年夏に甲子園準V。東海大では4年時の全日本大学選手権では首位打者とMVPを獲得し優勝に貢献。NTT西日本時代には社会人BFAアジア選手権日本代表に選出。17年ドラフト3位で巨人に入団。通算755試合出場で、打率2割6分2厘、62本塁打、250打点。187センチ、90キロ。右投左打。

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