巨人ドラ1関大の金丸夢斗は最大6球団競合か…外れ1位は富士大の佐藤柳之介や花咲徳栄の石塚裕惺ら候補

23年のドラフトで西舘の交渉権を獲得した阿部監督(左は新庄監督)

 巨人は24日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」(午後4時50分開始)で、競合覚悟で関大の金丸夢斗投手(21)を1位指名する。くじ引き役は、昨年のドラフトで、日本ハム・新庄監督との一騎打ちを制して西舘を引き当てた阿部慎之助監督(45)。最大6球団の競合が予想されるが、4球団以上の競合で当てれば球団では80年の原辰徳、92年の松井秀喜以来。32年前に長嶋監督がゴジラを引き当てた時同様、残りくじを信じて最速154キロ左腕獲得を目指す。

 意中のサウスポーとの縁を信じて運命の日に臨む。巨人はアマNO1投手で最速154キロの即戦力左腕・金丸の1位指名が確実だ。最大6球団とも目される競合の中、くじ引き役は阿部監督が務める。スカウト会議に参加した22日に「どうなるんだろうね。本当それしかないんだけど。どうなっちゃうんだろうなって」と心境を明かしていた指揮官が球団初の快挙に挑む。

 巨人は過去に80年の東海大・原辰徳、92年の星稜・松井秀喜を4球団抽選で当てた例はあるが、5球団以上の競合では一度もない。今回、金丸は5球団以上で競合の可能性もあり、セ・リーグ優勝の巨人はくじを引く順番が最後。阿部監督が「残り物に福がある。そう思って行くしかないからね」と話していたように、願うしかない。92年は長嶋茂雄監督が残りくじで松井を引き当てており、恩師のミスター級のミラクルを狙う。

 昨年は中大・西舘の1位指名が日本ハムと2球団で競合。就任直後の阿部監督が、母校の後輩獲得に向けて新庄監督と一騎打ちの抽選に臨んだ。事前のゲン担ぎは何にもせず、「競合になっても絶対大丈夫と自分に言い聞かせて」と強い気落ちで抽選箱の前に立ち、先に引いた新庄監督に次いで右手で引いた残りくじが当たり。「交渉権確定」の文字を見た瞬間、跳びはねてガッツポーズした。今年も新庄監督を上回った強運、歓喜の再現に期待がかかる。

 今季15勝で最多勝、最高勝率に輝いた菅野がメジャー挑戦する方向で、穴を埋める即戦力投手は補強ポイント。関西学生リーグで3年秋から今秋まで72イニング連続自責点0と圧倒した金丸は何としても欲しい逸材だ。巨人は原前監督が22年に阪神との2球団競合で浅野を引き当てており、1位抽選で3年連続当たりとなれば、これも球団史上初。新たな歴史を刻む。

 この日はスカウト陣が都内の球団事務所で最終確認。外れ1位は当日の他球団の動向次第だが、金丸と同じ即戦力左腕だと富士大・佐藤柳之介投手らの評価が高そうだ。将来性のある高校生野手に切り替えた場合は、花咲徳栄の大型遊撃手・石塚裕惺が候補に挙がるが、石塚が外れ1位で残っている際は再び競合、抽選となる可能性もあり流動的だ。

 前日時点で指名公表は広島の明大・宗山だけ。近年まれに見る情報戦となる中、巨人は1位・金丸で勝負に出る。5球団以上の抽選での当たりと、3年連続のくじ的中というダブル快挙を、阿部監督のゴッドハンドに託す。(片岡 優帆)

 〇…巨人などの1位候補に挙がる関大・金丸は22日に関西学生リーグの全日程を終え、この日は取材対応がなかった。今春に腰を痛めた影響で秋はリリーフのみの登板だったが、大学4年間の通算49登板で、18連勝を含む20勝3敗、防御率0・83。奪三振は312で、奪三振率は11・7を誇る。ドラフトの目玉は「ご縁があった球団に尽くそうと思っています」と、12球団OKの姿勢で運命の瞬間を待つ。

 ◆金丸 夢斗(かねまる・ゆめと)2003年2月1日、神戸市生まれ。21歳。小学1年時に野球を始め、3年時から本格的に投手。広陵中では軟式野球部。神港橘では1年秋に背番号10でベンチ入り。3年夏の県独自大会8強入り(コロナ禍のため5回戦で打ち切り)が最高成績。関大では1年秋からリーグ戦登板。最速154キロを誇り、関西学生リーグ通算20勝。177センチ、77キロ。左投左打。

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