【大学野球】ドラフト1位候補の大商大・渡部聖弥の目標は無敗でリーグ完全優勝「勝たせる一打で仕事を果たす」

大商大・渡部聖弥

 関西六大学野球秋季リーグ戦は9月2日に開幕した。大商大がリーグ記録をさらに更新する6季連続優勝に向けて、開幕4連勝と好発進。同じく開幕4連勝の大経大のほか、神院大、京産大、龍谷大、大院大は絶対王者の連覇を止めることができるのか? 10月24日のドラフト会議で1位候補に挙がる大商大の渡部聖弥外野手、指名候補の林翔大投手(ともに4年)ら各大学の注目選手を紹介する。

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 ドラフト1位候補の大商大・渡部が、評判にたがわぬ力を証明する。「無敗でリーグ完全優勝を。勝たせる一打で仕事を果たす」。濃い夏を過ごした右のスラッガーは、6連覇に向けてギア全開で始動した。

 春季リーグ戦は、開幕節・大院大戦で計7打数1安打。三塁内野安打のみとつまずいた。「見つかった課題を試合中に克服できず、次の試合で何に手をつけるか定まらなかった」。ミートポイントやタイミングの取り方を改善できずに、春は打率2割2分でタイトルなしに終わった。最終学年の責任、意識しているつもりはないNPBスカウトの存在に「ここで頑張らないと、という気持ちが自然に。空回りした」と、悔いが残った。

 息つく間もなく始まった大学日本代表としての1か月間が転機となった。直前合宿では、臨時コーチで訪れた元巨人の高橋由伸氏(49)=スポーツ報知評論家=に自ら指導を仰いだ。「タイミングを早く取って、ボールに対して仕掛けていくことを教わった」。同じく1位候補の青学大・西川史礁(みしょう)外野手らとの競争も必死だった。2つの国際大会は、移動を含めて計14日間で11試合。過密日程のなか、全試合に3番でスタメン出場した。「少しずつ自分の形を再確認でき、ここがダメだと見直しながら前に進めた」。遠征の最終打席を適時二塁打で締めくくり、両大会制覇に貢献した。

 持ち帰った感覚を練習試合でより深め、今秋初戦の1打席目に先制2ラン。4打席目には通算100安打を達成し、守備では二、三塁を守るなど、訪れたスカウト陣に好印象を与えた。開幕4試合で計19打数10安打6打点と好調を維持。龍谷大・宇田英樹が持つ、リーグ通算最多119安打まであと11安打に迫っている。運命のドラフト会議まで約1か月。1位指名を望むかの問いに「はい、もちろんです」と食い気味に即答した主砲が、完全無欠な秋を過ごす。

 ◆渡部聖弥(わたなべ・せいや)2002年8月31日、広島・府中市生まれ。22歳。市立南小1年から府中南少年野球クラブで始め、府中第一中では府中野球クラブに所属。広陵では1年秋から正三塁手。2年センバツは2回戦敗退。2年秋から4番。高校通算30本塁打。大商大では1年春に平古場賞(新人賞)、2年春に首位打者、1年春と2年春秋、3年秋にベストナイン。2年秋にシーズン個人最多5本塁打の連盟新記録。50メートル走6秒1。遠投100メートル。

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