六本木ヒルズの巨大な蜘蛛の作品で知られるルイーズ・ブルジョワ 日本では最大規模となる個展が森美術館で

六本木ヒルズの巨大な蜘蛛の彫刻でも知られるルイーズ・ブルジョワの個展『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 行っとくけど、素晴らしかったわ』が9月25日(水)〜2025年1月19日(日)、森美術館で開催される。

ルイーズ・ブルジョワは1911年パリに生まれ、2010年にニューヨークで没した20世紀を代表するアーティストのひとり。98歳で亡くなるまで創作を続け、晩年の作品にも代表作が多い。展覧会の副題である「地獄から帰ってきたところ 行っとくけど、素晴らしかったわ」は、ハンカチに言葉を刺繍した作品から付けられた。ブルジョワはまさにサバイバーであるからだ。

ルイーズ・ブルジョワ 《ヒステリーのアーチ》 1993年 撮影:Christopher Burke © The Easton Foundation/Licensed by JASPAR and VAGA at Artists Rights Society (ARS), NY

同展は、ブルジョワの作品の源泉である「家族」をテーマとして3章で構成。母との関係、男尊女卑的な父との確執、そして家族の関係の修復と心の解放へと向かっていく。その間、戦争も経験している。幼少期の複雑でトラウマ的な出来事とも向き合い、作品の中に、希望と恐怖、不安と安らぎ、罪悪感と償い、緊張と解放など、相反する感情や心理状態を表現していくブルジョワ。それは男性と女性、受動と能動、具象と抽象、意識と無意識といった二項対立的な対極にあるものを共存させていくことにもつながっていった。その表現方法は、インスタレーション、彫刻、ドローイング、絵画など多岐にわたり、セクシャリティやジェンダー、身体をモチーフとしたパフォーマンスは、フェミニズムの文脈でも高く評価されている。

ルイーズ・ブルジョワ 《雲と洞窟》 1982-1989年 撮影:Christopher Burke © The Easton Foundation/Licensed by JASPAR and VAGA at Artists Rights Society (ARS), NY

今回の展覧会では、こうした個人的な苦悩から普遍的な境地へと突き抜けていった70年もの創作活動を約100点の作品を通じて紹介。近年、世界の主要な美術館で回顧展が開催されてきたなか、日本では27年ぶり、国内最大規模の展覧会となる。戦争や災害、病気など、さまざまな課題に直面する現代。身近な家族の問題と大きな世界の問題の間で揺れ動く人は多いのではないだろうか。アートファンのみならず、さまざまな人に見てほしい展覧会だ。

<開催概要>
『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』

会期:2024年9月25日(水)~2025年1月19日(日)
会場:森美術館
時間:10:00~22:00、火曜と10月23日(水)は17:00まで 、9月27日(金)、28日(土)は23:00まで、12月24日(火)、12月31日(火)は22:00まで(入場は閉場30分前まで)
料金:平日一般2,000円、65歳以上1,700円、大高1,400円/土日祝一般2,200円、65歳以上1,900円、大高1,500円
※事前予約制(日時指定券)を導入
公式サイト:
https://www.mori.art.museum/jp

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