『瑛九-まなざしのその先にー」横須賀美術館で 戦前・戦後の前衛芸術における重要作家の全容に迫る大回顧展

2024年9月14日(土)より、横須賀美術館では、『瑛九-まなざしのその先にー」を開催する。戦前・戦後の日本の前衛芸術における重要作家・瑛九芸術の全容に迫る、関東では13年ぶりの回顧展だ。

1911年(明治44年)、宮崎県に生まれた瑛九は、油彩画のみならず、写真、版画など様々な分野を手掛けた芸術家。その作風は印象派やシュルレアリスム、キュビスムなどに刺激を受けながらめまぐるしく変貌し、絶えず新しい表現が模索され続けた。戦後は、埼玉県浦和に拠点を移し、若手芸術家とともに「デモクラート美術家協会」を結成。既成の美術団体や画壇の権威主義に批判的であり続けた瑛九は、指導者として同時代や後身の芸術家たちに多大な影響を与えたが、病に倒れ、49歳という若さでこの世を去った。

瑛九 《ダンス》 1953 年 宮崎県立美術館蔵

最初期から絶筆にいたるまで、各分野の代表作による約100点で瑛九の仕事を紹介する同展では、まず彼のデビュー作となる『眠りの理由』に注目したい。こちらは印画紙上に自ら切り抜いた型紙を置き、直接光に当てて制作したフォトグラムによる作品集。これらの作品は瑛九により「フォト・デッサン」と名づけられ、当時40部限定で制作された。

また1957年制作の《カオス》は、クラゲのような有機的なモチーフが浮遊する、幅3メートル超の大作である。型紙に油絵具をエアブラシで吹き付けたり、フォト・デッサンの手法を応用することで、これまでの油絵では見たこともない不思議な効果を見る者に印象づける作品だ。

瑛九 《カオス》 1957 年 東京都現代美術館蔵

さらに同展では、瑛九が晩年にたどりついた「点描」の作品7点を、一挙に展示する。瑛九は最晩年の数年間を、おびただしい微細な点が画面を覆い尽くす点描作品の制作に没頭した。なかでも200号の大作が、絶筆となった《つばさ》である。空気や光、エネルギーそのものをあらわしたかのような表現に加えて、スピリチュアルな効果も感じられる圧巻の作品だ。

<開催概要>
『瑛九 ―まなざしのその先に―』

会期:2024年9月14日(土)~11月4日(月・祝)
会場:横須賀美術館
時間:10:00~18:00
休館日:10月7日(月)
料金:一般1,300円、大高・65 歳以上1,100円(11月3日は無料)
公式サイト:
https://www.yokosuka-moa.jp/

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