ジェンダーレス公表のとうあ、“自分らしくいること”を大切に 生きやすい世の中を目指して「戦い続けなきゃなと」

●アパレルブランドのディレクターや歌手活動にやりがい
歌手やモデル、アパレルブランドのディレクターなど、幅広く活躍しているYouTuber・とうあ。どの活動も「自分らしくいることの大切さ」を届けたいという思いで向き合っている。10月12日に北九州市・西日本総合展示場新館で開催される「CREATEs presents TGC KITAKYUSHU 2024 by TOKYO GIRLS COLLECTION」(TGC北九州)では、ディレクターを務めるアパレルブランド「BG」のステージが展開され、自身も出演する。とうあにインタビューし、それぞれの活動に対する思いや今後の抱負を聞いた。

昨年9月に立ち上げた「BG」は、「Borderless Gradation=自由な、境目のない」という意味がブランド名に込められており、遊び心を加えたユニセックスアイテムを展開。ジェンダーレスを公表し、自分らしく生きる大切さを発信しているとうあが、ファッションを通じてそのメッセージを届けている。

とうあは「学生の頃の将来の夢がファッションデザイナーだったので、夢が一個叶ってうれしいです」と喜ぶ。

昨年のTGC北九州で「BG」のコレクションを初披露。今回のTGC北九州でも「BG」ステージが展開される。

「いろんな地方のTGCに参加させていただいていますが、TGC北九州は一番熱狂ぶりがすごいので、今回もすごく楽しみにしていますし、自分のブランドのステージということで緊張感がありますが、よりみんなが驚くような演出だったり、パワーアップした姿を見せられたらと思います」

今月フランスを訪れて初めてパリコレを見た経験も、とても刺激になったという。

「ずっとパリコレを見たいと思っていたんですけど、今回やっと行けて。モデルとしてもブランドディレクターとしても、すごく刺激的で勉強になったのでよかったです。ショーのコンセプトなど元の部分が見えたり、服のディテールや雰囲気など全部が世界トップレベルのものばかりで。ランウェイの構成に関しても、自分もTGCのランウェイの構成を考えるので勉強になる部分がありました」

2022年11月には、10代の心情や葛藤を綴った楽曲「若者(Young)」で歌手デビューも果たし、YouTuber、モデル、歌手、ファッションディレクターと、多岐にわたって活躍しているが、「肩書きをつけるのはあまり好きじゃなくて、肩書きはNGですって感じです」とのこと。これからも肩書きを意識することなく、自分がやりたいと思うことをやっていく考えだ。

アーティスト活動にもとてもやりがいを感じているという。

「今までやってきたことがないことに挑戦しているので、すごく楽しいですし、『自分がやりたかったことってこういうことかも』という新たな発見もあります。昔から歌って踊ることがすごい好きだったので、一番自分らしくいられる瞬間、一番やりがいを感じる瞬間が歌っているときなんです」

昔から歌うことが好きだったとはいえ、明確に歌手を目指していたわけではなかった。

「憧れていた場所ですね。絶対なってやるという風には思ってなくて、ただの憧れでしかなかったのが、ようやく実現できるようになってきたという感じです」

そして、幅広い人にメッセージを届けられるという“歌の力”を感じていると語る。

「YouTubeも伝えたい思いがあって始めて、アーティスト活動もその理由で始めたんですけど、YouTubeは私のことを好きな人が見てくれるコンテンツであるのに対して、アーティスト活動は私のことを知らない人も見に来てくれる、例えばTGCで歌う場合、別の方を目的に来てくれる人もいたりするので、不特定多数の人に伝わるというのは歌の力かなと思います」

●自分を見せていくことで“多様な人がいる”と知ってもらいたい
YouTubeにおいても歌手活動においても、とうあが届けたいと思っているメッセージは「、自分らしくいることの大切さ」だ。

とうあ自身は性別にとらわれず、自分らしくいる生きることを大切にしているが、母親のおかげでそういう風に生きられるようになったと明かす。

「生まれたときから男女ともに仲良くて、人とは違ったんです。そして、小学生のときに、母親が『人と違うことはいいことだよ』『自分らしくいることはすごいことだよ』と教えてくれて、人とは違っても自分らしく生きていこうと思いました」

これまでの人生で、ジェンダーレスを受け入れてもらえないと感じることもあったという。

「私はすごく周りに恵まれてきたので、生きやすく楽しいタイプの人間でしたが、私より上の世代、例えば学校の先生や先輩とかからは、ちょっと違う目で見られたりという経験はありますし、活動していていろんな相談を受ける中で、そういう経験をしたという人もいるので、なかなか難しいところですが、私が負けたらダメだなと思っています」

そして、「昔に比べたらだいぶ生きやすい世の中になったかなとは思います」と変化を感じつつ、まだまだ変わっていく必要があると感じている。

「YouTubeは基本的に好きな人が見に来てくれるのでありがたいコメントばかりですが、不特定多数の人が目にするときに心ない言葉や批判的な意見をもらうこともあったりするので。そこが変わっていかないと、ちゃんと生きやすい世の中になったとか、多様性の時代になったとは言えない気がしています」

だからこそ、自分のことをより広く知ってもらうことで、さまざまな人、さまざまな生き方があることを知ってもらいたいと考えている。

「より多くの人に、私のことを知らない人に私を見せるというのが一つの目標ですし、活動していく上で大事だなと感じています。認めてほしいわけではないけど、そういう人がいるということは理解しなきゃいけないなと思っていて、そのために活動していこうと思っています」

●自分が世の中に与える影響を強く意識「日本がどう変わるか」
YouTubeのチャンネル登録者数は現在129万人。多くのファンを抱え、活躍の幅も広がっているが、今の状況について「スタートとしか思っていない。ゴールはまだまだ先」と語る。

「誰も想像できなかったところに行くことが私の中ではゴールなので。そのゴールは何なのか言葉にできないですが、ただ今はゴールじゃないっていうのはすごく感じています。感覚なんですけど、まだ全然スタートで序盤という感じ。こうなりたい、ああなりたいというのがあんまり好きじゃなくて、自分が行ける最高値まで行ったらゴールかなと。自分の中で満足したらゴールなのでまだまだです」

そして、目指すゴールについて、「自分がやりたいことを叶えるというより、自分が与える影響。大きな希望を言うと、自分がいることによって日本がどう変わるか、自分の影響によって世の中をどう変えたかというのをすごい意識しています」と説明。

とうあが目指す世の中は、「多様な人を受け入れてみんなが生きやすい世の中」であり、これからも自分の好きなことを通じて働きかけていくという。

「自分らしくいることを世の中に訴えるためには、まずは自分が自分らしくいること。私は好きなことでないと自分らしくいられないので、歌だったりYouTubeだったりモデルだったり、そういった活動を通じて訴えていけたら。ずっと戦い続けなきゃなと思っています。もっといろんな人に自分のメッセージが伝わるように幅広く活動していこうと思っているので、ぜひ期待していてください」と笑顔で語ってくれた。

■とうあ
2002年11月26日生まれ、岐阜県出身。2021年3月にYouTubeの個人チャンネルを開設。とうあが発信した「おはようでやんす」が若者トレンドワードに選ばれるなど話題に。2021年12月に自身初の書籍『生まれ変わっても自分でいたいって思うために生きてる』を出版。2022年11月、10代の心情や葛藤を綴った楽曲「若者(Young)」でアーティストデビュー。2023年には独自の世界観を表現した初のフォトブック『何者』を出版。同年9月にアパレルブランド「BG」を立ち上げた。

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