櫻井翔も感動。すがちゃん最高No.1が余命宣告を受けた父と過ごした最後の夜

特番『人生で1番長かった日』が、10月13日に日本テレビ系列で放送され、お笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんのすがちゃん最高No.1が出演。12歳にして一人暮らしを経験した壮絶な過去や、すがちゃんが「豪傑」と評した父親とのエピソードを明かした。

中学生ひとりで月2~3万で生活

『人生で1番長かった日』は、ドラマチックな人生を歩んできた芸能人の一番長かった日の体験を、本人取材による再現ドラマと、スタジオトークで届ける番組。MCを櫻井翔が務め、バイきんぐの小峠英二、大沢あかね、秋元真夏、ゆうちゃみが出演した。

スタジオには「2024年ネクストブレイクランキングお笑い芸人編」で第2位に輝いた、ぱーてぃーちゃんがトリオで登場。

すがちゃん、信子、きょんちい、ゆうちゃみの座りの並びをMCの櫻井翔に「凄まじい並びですね」と振られると、すがちゃんが「渋谷の真ん中です」と例え、笑いを誘った。

その後、本人への取材をもとにしたVTRがスタート。自分の父親を「酒、女、タバコ、THE破天荒。陸にいる海賊」と評し、「ただ、最後にあんなふうになるとは思わなかったですね」と語るすがちゃん。すがちゃんと父親のあいだに何があったのか、そこをまず紐解くために、今年の4月に発売されたすがちゃんの著書『中1、一人暮らし、意外とバレない』でも存分に語られた、壮絶な生い立ちについての再現ドラマが始まった。

すがちゃんは中学1年から高校2年まで一人暮らし。そもそも、この家では、すがちゃんとその父親、父の姉にあたる叔母、そして父方の両親である祖父・祖母との5人暮らし。母はすがちゃんが3歳のときに他界していた。

その後、父親がほかに家庭を作って出ていき、叔母は生活に耐えきれず上京、小6のときに祖父が病気で他界し、祖母は体調を崩して施設に入る。「気づいたら一人暮らしでしたね」と、すがちゃんは語る。日々の生活は叔母の仕送りと、祖母の年金で賄っていたという。

「月2~3万で生活していたので、割引されたお惣菜を食べたり、電気代を払えずロウソクで生活していたことも」と話す、すがちゃん。公園の草を摘み調理して食べていたとも明かした。

「河川敷に、ニラみたいな草が生えていたんで、それを採って炒めたら冗談じゃないくらい苦くて。でも食べられたんですよね、致死量の醤油と胡椒を入れたら」

壮絶な体験なのに、すがちゃんの軽妙な語りのVTRでスタジオに笑いが起こる。

そんな生活を続けていると、父親が突然、一人暮らしの家に帰って来ることもあったという。「親父の気分なのか、年に何回かふらっと」と説明。いつも父親が帰ってくると、食卓には食べきれない量の食事が並び、「いっぱい食わねえと大きくならないぞ」と言ったという。やっていることはめちゃくちゃだが、そんな父親をすがちゃんは憎めなかったそう。

衰弱した父親からかけられた最後の言葉

その後、すがちゃんは奨学金を借り、東京の放送系の学校に進学。そこを経て、裏方として番組を担当するが、そこで「俺が本当にしたいことってこれなのか」と悩み、本当にやりたかった芸人の道へ。

「豪快に生きている父親に憧れていたのかも」と、すがちゃんは回想する。

芸人になってから父親とは疎遠に。すがちゃん自身も、芸人としては泣かず飛ばずの日々で借金を重ねていたが、そんなある日、稽古場に居場所も教えていない父親が突然訪ねてきたという。

そこで父親は、すがちゃんの顔を見るなり「借金払えよ、お前! 俺のとこまで督促が来てるんだよ」という約5年ぶり感動の再会とは思えない、相変わらずのむちゃくちゃぶりだったそう。

そこからは再び、親子の仲が良好となり、二人で街へナンパに繰り出すという不思議な関係に。ただ、そこでは女性を前に調子の良い父親にツッコむことで、親子のコミュニケーションを取っていたという。

そんなある日、父親の飲み友達の女性から、すがちゃんは衝撃の事実を告げられる。

「じつは、あなたのお父さんはガンなの」

父親を蝕んでいたのは悪性リンパ腫。「今すぐ入院したほうがいい」というすがちゃんに、父親は「しねえよ、入院したら酒も飲めないしタバコも吸えない、病気は自然に治るもんだ」と聞く耳を持たない。そんな父親を見て、すがちゃんは心配しながら「親父らしい、自分の中の父親像そのまんまの人だなと思った」と話す。

その後、父親の容態が悪化。緊急入院した病院で、すがちゃんは医師から余命1か月であることを告げられる。

どんな顔をして会ったら……と落ち込むすがちゃんを尻目に、父親はいつもと変わらず病室で看護師をナンパ。「この人、本当すげーわ。俺はこんなことがあっても何も変わらねえぞって見せているんだ」と、すがちゃんは思ったという。

そして、すがちゃんの人生で一番長い日、2021年8月10日がやってくる。その頃はコロナ禍で、気軽に面会に行ける時期ではなかった。だが、その日は無性に会いたくなったという。病室に入ると、いつもの通り看護師をナンパする父親。すがちゃんに気づくと真面目な顔で「本気で酒を買ってこい」と告げる。

「飲めないだろ」と拒否するすがちゃんに、なおも「乾杯するだけだ」と本当に買いに行くように迫る。酒を買いに行く道すがら、すがちゃんは動悸が止まらなかったという。

「自覚しちゃったんすよね、“あ、親父……死ぬんだ”って」

コンビニへ行く往復の帰り道が、スローモーションに感じたという。「1秒が、1分にも10分にも感じるというか」と回想する。病室に戻ると、看護師はおらず、父一人。ビールの缶も自分で開けられないほど衰弱した父親が、すがちゃんに語りかける。

「俺は好き勝手に生きてきたけど、自分がカッコいいと思ったことだけを信じて生きてきた。だから、お前もカッコいい生き方をしろ。No.1っていう、その名前にふさわしい生き方をしろ」

翌日、父親はこの世を去った。亡くなってからわかったことだが、すがちゃんがいないときは泣き言ばかりを言っていたという。

「死にたくないって言ってるけど、僕が来たら強い男で居続ける。普通、逆じゃないですか、逆ってのがカッコいい」

そこから、父親の遺言を胸に生きて、現在の活躍はご存知の通りである。しかし、最後に「ごめん親父、最近スベり過ぎてる。普通の芸人なら引退するくらいスベってる」と懺悔。「でも僕は逃げません」と決意を新たにした。


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