プチブレイク! でもアルバイトしてるスタミナパン「芸人だからお笑いで稼ぎたい」
「ぶりっ、ぶりっ、ほ~んとにうんちしてます!」という耳に残るフレーズで、2023年のM-1グランプリ、敗者復活戦で爪痕を残した芸人がスタミナパンだ。髭と坊主頭がトレードマークの麻婆(まーぼー)と、細見でスーツ姿のトシダタカヒデのコンビは、今年結成10周年を迎える。
『アメトーーク!』『ツギクル芸人グランプリ』など露出が増えつつある二人に、知名度アップの要因となった『M-1グランプリ2023』の振り返りと、初出演を遂げた『アメトーーク!』の感想、ネタ作りのこだわりから今後の展望まで、旬の芸人の今をニュースクランチ編集部が聞いた。
「うんこ」はダメだけど「うんち」ならOK
――『M-1グランプリ2023』では初の準決勝進出しましたが、そこまで進めた理由はどこにあると考えていますか?
トシダタカヒデ(以下、トシダ):M-1って3回戦まで進むと動画として紹介されるから、以前はそれ狙いで、顔面を白とか紫とか緑に塗って、話題になればいいくらいの感じで取り組んでたんです。
去年はネタをちゃんと作り込んで、正面から挑んでみたら良い結果になったという。あとはタイミングもありますね。YouTuberのネタは一昨年の2回戦で敗退したネタなんですけど、それをあえて準決勝に持ってきたからハネたのかなと。
麻婆:1回戦と2回戦は、僕ら以外にもうんちをネタにした芸人がいるかもしれないから、避けてました。埋もれちゃうのを防ぐために。
――以前のインタビューでは、テレビだと「うんこ」がNGだから「うんち」になったとお話ししていましたね。
麻婆:「うんこ」はダメだけど「うんち」は幼児語だからOKって言われたんです。「ち」のほうがいいのかなと思って、それ以来「うんち」に統一してます。
――でも、子ども向けの『うんこドリル』ってありますよね。
トシダ:確かに……ありますね。
麻婆:欲しいですけどね、うんこドリルからの仕事。
――あらためて昨年のM-1を振り返ってみていかがでしょう。
トシダ:敗者復活戦ではトム・ブラウンさんに負けたけど、めちゃくちゃ楽しかったです。ホントに、めちゃくちゃ楽しかった。
麻婆:敗者復活戦もシステムが変わって、視聴者投票がなくなりましたよね〔※昨年度より、現地の観客と芸人審査員が審査する方式に変更〕。そのおかげで初戦を勝ち抜いて、トム・ブラウンさんと戦えたと思うし。たぶん今までの方式だと、僕らはぜんぜん目立たずに終わってたと思うんですよ。
――生活環境は変わりましたか?
麻婆:今年に入って「M-1グランプリ2023スペシャルツアー」に参加させてもらったんですけど、その期間はだいぶ“仕事してたな”って感じです。平日は東京で、週末に地方行ってライブして、今まで経験したことなかったですね。
借金を返済している生活が今も続く
――お二人の経歴をざっくりと教えてください。トシダさんは学生時代からお笑いをやっていたそうですね。
トシダ:20歳ぐらいから高校の同級生とコンビを組んで、学生お笑いの大会に出てました。今でこそお笑いサークルって有名ですけど、僕らはサークルにも入らず、学生お笑いの大会に出ていたのが珍しかったみたいです。優勝できた大会もあったので、卒業後も続ける予定だったんですけど、いろいろあって解散して、麻婆とスタミナパンを組んで今に至ってます。
――ちなみに、大学の奨学金を返済していると以前にお聞きしましたが、それは完済できましたか?
トシダ:奨学金は42歳まで返済があるんで、あと7年です。僕、千葉工業大学なんですけど、普通の大学より工業大学だからか学費が高くて、600万くらいするんですよ。それを22歳から20年間、毎月2万数千円を返済しています。
もう13年払ってるんで、折り返しであと7年ですね。それ以外にパチンコで200万ほど借金してしまって、債務整理もしているんですけど、もうじき終わります。5年間、毎月3万5000円を返し続けて、返済間近です。
麻婆:悲しいですね、トシダさんが真人間になりそうで。
トシダ:悲しくない、うれしいだろ。こいつも借金あるんですよ。
麻婆:僕は本っ~当に働きたくないんですよ。やっぱ芸人なんでね。お笑いで稼ぎたい。
トシダ:カッコつけんなよ。
――麻婆さんの借金の理由とは?
麻婆:生活費です、マジで。バイきんぐさんがMCの『なんてネタだ! グランプリ』で優勝したときも、賞金が入ったら“これでいいや”ってバイトすぐ辞めて。その賞金がなくなってもバイトはしたくないから、借金が重なっちゃうんですよ。消費者金融に借りたり、納言の薄幸が同期なんですけど彼女に借りたり、先輩からも……。
――お話しできる範囲で借金の額を教えてください。
麻婆:走行距離の少ない中古のファミリーカーくらいは買えますね。M-1とかキングオブコントで優勝すれば返せる額です。でも、全部は返さないです。優勝しても。
トシダ:なんでだよ!
麻婆: いや、絶対に返しません。ちょっとずつ返します。借金あったほうが、なんかいいかなって。だって、借りてるだけですよ、借金って。
日向坂46 佐々木久美もスタミナパン推し!
――お二人はバイトもしてるんですよね。
麻婆:僕はカルチャー教室で働いてます。おじいちゃん、おばあちゃんが習うペン字とか、お花の教室の準備です。あと、ホテルのフロントもやってます、普通のホテルですよ。
トシダ:僕は学童保育の児童指導員として働いてます。放課後の小学校まで車で児童を迎えに行って、勉強を教えたり遊んだりして、帰りは家まで送って。それを2年以上も続けてますね。
麻婆:ヤバいんじゃないのもう?
トシダ:なにが?
麻婆:いや、『アメトーーク!』※出たから。
※アンタッチャブル山崎&FUJIWARA藤本「パクりたい-1GP」出演
トシダ:そうだけど、普段はスーツもメガネも身につけてないし、私服だから。小学校まで迎えに行くと、その児童が周りの子どもたちに「テレビ出てたよ、この人!」とか言ってくれるけど、別に知られてないので。
学校の先生はYouTube見てくれてますけどね。他の子どもたちは「うんちの人だよ!」とか言われてもぜんぜんわからないみたいだから、「いいよ、それ言わなくて」って(笑)。
――『アメトーーク!』の話も出ましたが、初出演の感想は?
麻婆:やっぱり、僕が芸人になる前からやってる番組なんで、ちょっと緊張感が違いました。まさか、ホントに出られると思ってなかったので。
トシダ:藤本さんありきの企画なんで、今年フジモンさんが謹慎してなくてよかったです…(笑)。
――堂々とネタをやってるように見えましたけどね。収録はいつ頃でしたか?
麻婆:4月頭ぐらいかな。 緊張しすぎて、終わってから弁当めっちゃ食いました。3つ食いました。
――ゲストだった日向坂46佐々木久美さんも、スタミナパン推しだとか。
麻婆:いや~マジで可愛かったっすね。それこそ配信でも言ってくれてたんですよ。うれしかったですね、一緒に仕事できて。
トシダ:あのちゃんも前からラジオで触れてくれますし。若い影響力のある女性が、何か言ってくれてるっていう。
ネタを録音してウケた瞬間を帰り道に聞き返します
――普段のネタ作りは、どのような役割分担ですか?
麻婆:ネタ作りに関しては、トシダさんからお願いします。僕が説明すると怒られるんで。
トシダ:麻婆が設定を持ってきて、僕がそれを1から10に膨らませます。でも、こいつは0から1を生み出す自分のほうがエラいと思ってるようで。
麻婆:僕はそういう思想でやってるんで!
トシダ:素材がいくらよかろうが、料理次第だと僕は思いますけどね。僕ら台本書かないんですよ。文字にすると、こいつは全部その通りに進行したがるんで。僕は臨機応変にセリフも変えたいけど、麻婆は「台本はこう書いてある」と言ってくる。
麻婆:へー、そんな理由があったんだ。面倒くさいからだと思ってた。
――やけに他人事感ありますが、意外な理由ですね。
トシダ:いや、9割は面倒だからです(笑)。僕はコント中もスーツにスマホ入れて録音してるんですよ。ウケたときはこういう言い回しだったなって、あとから確認できるように。自分のネタがウケた瞬間を聞き返すのが大好きだし、テレビのオンエアも絶対に見ます。それを帰り道に何回も聞き返したり。
麻婆:トシダさんはホント、いつでも録音してるよね。
――今年コンビ結成10周年ということで、今後の展望をお願いします。
麻婆:僕はやっぱりラジオが好きなんで、ラジオをやりたいです。昔から、おぎやはぎさんのラジオは聞いてるし、最近、面白いのはエバースのラジオ(「エバースのモンキー125cc」stand.fm)ですね。
トシダ:そんなこと言って、エバースの評判を上げんなよ、確かに面白いけど。
麻婆:だって面白いんだもん。深夜ラジオに憧れますね、特にTBSラジオのJUNKを聴いて育ったので、あの枠をやるのが夢ですね。
トシダ:僕はラジオもそうですけど、喋るのが好きなんで、ずっと喋ってたいです。
麻婆:トシダさんは普通にテレビスターでしょ。ドラマに出て有名になりたいって。
トシダ:僕はホント目立ちたい。ドラマに出たいっすね。演技したいわ~、台本が欲しい。
麻婆:こんなこと言ってる人あんまりいないよ、若手で。令和ロマンなんかはセーブしてるくらいなのに。
――これからお会いしたい人はいますか?
トシダ:僕はさまぁ~ずさんが一番好きなので、いつかお会いしたいです。
麻婆:それでいうと、佐々木久美ちゃんはめっちゃうれしかったです。
(取材:松山 タカシ)
09/11 12:00
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