キングオブコント決勝進出の超若手トリオ・cacao「もしかしたら優勝するかも!?」

2020年に結成、全員が20代という超若手トリオ・cacao(高橋、浦田スターク、たっぺい)が『キングオブコント2024』(以下、KOC)決勝メンバーに名を連ねた。

主に大阪の「よしもと漫才劇場​​」で活動中の彼らは、結成1年で『笑ラウドネスGP』(ABEMA)ファイナリスト、昨年は『ネタパレ』(フジテレビ系)の「ニュースター勝ち抜きパレード!!」に5週連続で勝ち抜き、初代王者となった。

ただ、実績を残してはいるものの、まだまだ謎が多いcacao。今回、KOC決勝の切符を手にした彼らに、ニュースクランチ編集部がインタビューした。

▲cacao(浦田スターク / たっぺい / 高橋)【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-INTERVIEW】

人生を賭けた舞台が待ってるやん!

――KOC準決勝が終わってしばらく経ちました。現在の心境を聞かせてください。

浦田:改めて準決勝を配信で見たんですけど、ほかの決勝に行った方々のネタを見ていたら緊張してきました。ただ、めっちゃ言葉を選ばんと言うたら“もしかしたら、優勝するかもしれんぞ”と、ちょっと思ってしまいましたね。

――目には見えない自信が湧き上がったと。

浦田:そうですね。あと、僕はロングコートダディさんを見て、芸人になろうと思ったんで、今回KOCの決勝で同じ舞台で戦えるのは熱いっすね。

たっぺい:決勝が決まったときは本当にビックリしたんですけど、今は優勝を狙って頑張ろう、という気持ちです。

高橋:僕は早く決勝を終えたいですね。ふとした瞬間に“うわ。人生を賭けた舞台が待ってるやん。ヤバいやん”って思うことがあって……。普段、僕は(ネタづくりなど)何もしていないし、これまで人生が変わるような場面が1回もなかったので、“この気持ちを持ったままの状態がイヤや”みたいな感情です。

――大会が終わったら別の大きい仕事も待っているでしょうし、また違うプレッシャーもあるのでは?

浦田:確かに。

高橋:でも、それは人生がかかってないんで。

浦田:ずっとかかってるやろ、そういう気持ちで挑めよ。というか、準決勝のときに高橋に声をかけてあげたんですよ。あれはめっちゃ芯食ってたよな?

高橋:ネタ前に急に「人生変わらんから、気楽にやったらええわ」って言われました。

浦田:こいつが“人生変わる”と思ってるとか、1回も聞いたことなかったのに、僕がすごくないですか? 本番前“ワケわからんヤツやのに、こいつ一丁前に「人生が変わる」みたいな顔しとんな”と思ったんで、釘をさしたんですよ。あれでめっちゃ楽になったんちゃうん?

高橋:別に。

浦田:おい! お前! このちょっとエモいやりとり、記事の見出しのチャンスやったのに!

高橋:その前に「緊張せんでええよ」って隣人さんにも言われてたし。

浦田:それとは意味ちゃうやろ。

高橋:隣人さんよりもちょっと遅かったし、“なんやねんこいつ、いまさら……”と思いましたよ。

浦田:しょうもな、どのタイミングでスカしてんの?

▲浦田とたっぺいが独特な高橋にツッコむ場面が多かった

――(笑)。KOCではこれまで準々決勝で敗退してきました。この期間は三人にとってどんな時間だったのでしょうか?

浦田:「みんなもっとオモロい、エグいネタをやったんやろうし、こんなもんかな」「ロングコートダディさんも、めっちゃウケたのに落ちたことあるって言ってたしな」みたいな感じです。

たっぺい:僕はめっちゃ悔しかったですね。大阪ではKOC以外にも賞レースがあるんですけど、そこでも僕ら1回も決勝に行ったことがなくて、ずっと“なんで賞レースの決勝に行かれへんのやろ”と思っていたんですよ。去年のKOC準々決勝も、自分ではよかったと思っていたのに負けて……だいぶ悔しかった。

高橋:僕はネタに一切関与してないんで、良いネタができるまで“待ち”の時間でした。舞台では言われたことを、とにかくミスをしないようにやるだけですね。

浦田:こいつ情けなっ! 言われたことをただやるって、こんなヤツが売れるんか!?

高橋:メディアの皆さん、僕に注目ですよ~!

ちょっとやるつもりがKOC決勝へ

――先ほどから高橋さんのキャラクターが謎です(笑)。たっぺいさんは高橋さんと同級生なんですよね。

たっぺい:(高橋とは)高校2年から大学まで一緒でした。僕は普通の学生だったんですけど、高橋がちょっと異常で……。僕が喋りかけたのも、高橋が誰とも喋ってなかったからなんですよ。周りに聞いたら「高1のときも誰とも喋らず、毎日学校に来てた」って聞いて。“変なヤツやな”と思って喋りかけたら、ほんまに変なヤツでした(笑)。

――高橋さんは中学時代、友達はいらっしゃったんですか?

高橋:中学の頃は友達がおったんですよ。1人の友達と同じ高校に行ったんですけど、そいつと同じクラスになれへんくて……。そのまま1年間、人見知りで誰とも喋らず、学校から帰ったらオカンにめっちゃ話しかけていました。オカンから「ちょっと喋りすぎや」って怒られていましたね。

――たっぺいさんと友達になって学生生活が変わったんですね。たっぺいさんが高橋さんをお笑いの道に誘ったそうですね?

たっぺい: 高橋は人とちょっと違うんですよ。こいつは堂々としていて動じないし、“なんかすごいんちゃうか”ってたびたび思わせてくれて、そこが面白くて僕はツボやったんです。

――誘われたとき、高橋さんはどう思ったんですか?

高橋:就職も別にしたくないなと思ってたんで、「ちょっとやる」ぐらいの気持ちでいましたね。“ずっとは続けんとこう”って思ってました。

――それがまさかKOC決勝に!

高橋:だから、すごくヤバいです。もうやめられないんで。

浦田:よし!

▲「KOC決勝まで行ったらやめられないでしょ」と高橋

『ハイスクールマンザイ』優勝して嫌なヤツが完成

――浦田さんは高校生お笑いNo.1を決める『ハイスクールマンザイ』で優勝されています。どんな学生だったんですか?

浦田:めちゃ嫌なヤツでしたね。中3ぐらいまではど真ん中の人気者の感じで、生徒会長もしていたんですけど、高校に入って、影から目立ってるヤツの悪口を言うのがカッコいいと思い始めて、陰(いん)に寄っていきましたね。

――そんな人は『ハイスクールマンザイ』に出ない印象ですけどね。

浦田:3年生くらいまで、クラスのヤツらの悪口を言って“一番オモロいのは俺や”と思ってたんですけど、さすがに自分でも“このままだとダサすぎるんちゃう?”と気づいて……。

“勝負せえへんわけちゃうわ!”という思いで、いつもいる5人のなかから、僕が一番面白いと思ってたヤツを誘って出たら優勝してもうて、「やっぱ俺オモロいやんけ!」とホンマに嫌なヤツが完成したって感じです。

――(笑)。たっぺいさんと高橋さんのコンビに浦田さんが加入したcacaoさん。結成の経緯を聞かせてください。

浦田:1年目の終わりぐらいに、NSC(吉本興業の養成所)でも話したことがなかった、たっぺいと初めて喋ったんですけど、その次の日ぐらいに誘われました。

――たっぺいさんは、なぜ浦田さんを誘ったのですか?

たっぺい:高橋と二人で1年間やっていたんですけど、良い結果が全然出なかったんです。わりと早めに同期が小さい結果を出していて“ヤバいな”と思っていた時期に、初めて浦田と喋って。

ネタも見たことあったんですけど、喋った瞬間に“コイツめっちゃオモロいな”と思って、すぐに一緒にやりたいと思いました。ただ、高橋がおるから、ポイ捨てするのも可哀想やったんで、三人でやろうかって感じです。

高橋:はぁ!? 

――(笑)。高橋さんは浦田さんが入ると聞いて、どう思われましたか?

高橋:僕は、ギリギリまで入るって聞いてなかったんですよ。普段通りネタ合わせ場所に行ったら、浦田がおって「今日からこいつ入るから」って。そこで初めて知りました。

浦田:あはははは! なっさけな(笑)!

高橋:僕もどんなヤツかは全然知らなかったんですけど、NSCでネタを見ていて面白いと思っていたし、ネタは好きやったんで、浦田が入ると聞いて「アツぅ~!」と思いましたね。それまでコンビのことは、たっぺいが全部決めていたし、こいつがいいんやったらええかって。

トリオになってネタ作りがわかるようになってきた

――トリオのコント作りはどうされているんですか?

浦田:僕はたっぺいが作ってきたネタに、ごちゃごちゃ言うだけで、やりながら勝手にボケを増やしていく……みたいな感じです。

――トリオになって、コンビ時代にはなかった結果がついてくるようになりました。たっぺいさんは、ご自身で何が違ったと思いますか?

たっぺい:これは完全に、浦田がおるかおらんかですね。今もそうですけど、コンビのときはネタづくりが全くわかっていなかったんですよ。(結成後に)浦田にネタを持って行ったら「これは違うと思うで」とか指摘されて、それが続いて……。今はやっと“こうやったらオモロくなるんか”みたいなものが、自分の中でなんとなくわかってきたような気がしてます。

▲三人の独特なバランスがcacaoの魅力

――結成当初から結果を残し続けているcacaoさんですが、「このトリオでいける!」と確信を持てた出来事はありますか?

浦田:僕だけがそう思ってたのかもしれないんですが、1~2年前、三人の関係性があまり良くないな、と思う時期があったんですよ。たぶん、僕が精神的にめっちゃ子どもやったからで、そこで“自分の良くないところ出てる。もっと大人にならなアカン”と気づいて、なんとなく直せたかなと思ったぐらいからですかね。この三人で喋っていたらオモロくなるし、別に大丈夫かという気持ちになれたのが大きいですね。

たっぺい:僕らは組んで1年ぐらいで『笑ラウドネスGP』に呼ばれたんですけど、それはそのネタがたまたま良かっただけで、まだ信用はできなかったんです。(手応えを)徐々に感じるなかで、今回KOCの決勝に行けたんで、“もうさすがに大丈夫かな”って今は思っています。

高橋:僕ら、劇場所属になるのも早くて、すぐに『笑ラウドネスGP』にも出たんですけど、決勝メンバーが聞いたことある名前の人ばかりやったんですよ。もう俺ら、こんなとこおるんや! じゃあ、もう大丈夫や。ありがとう、浦田、たっぺい! って感じでした。

高橋・たっぺい:(笑)。

大会後に三人がやってみたい仕事とは?

――いよいよKOC決勝です。大会後に「こんな仕事をしてみたい」というものはありますか?

浦田:ビッグ番組というよりは、三人でただ喋るのも別にオモロいんちゃうって思っているんで、ラジオをやってみたいです。

たっぺい:NGK(なんばグランド花月)で単独ライブがしたいです。あと、『モヤモヤさまぁ〜ず2』(テレビ東京系)が好きなんで、やりたいです。

浦田:出たい、じゃなくて、番組をやりたい? それはもう、さまぁ~ずさんやん。

――(笑)。

高橋:もうここまで来たんやったら、いろんな芸能人と仲良くなりたいです。

浦田:なんなん、その理由。

――仲良くなりたい人は?

高橋:佐藤健さんです! 僕、昔から仮面ライダーが好きで、(佐藤が主演だった)『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)もずっと見ていたので、ライダーになる方法を教えてほしいんです。ライダーになりたいです。

浦田:こういう質問で男性の名前を出すのも珍しい気がするし、それは佐藤健さんをホンマのライダーの人やと思ってるってこと?

――(笑)。お二人は高橋さんのように、好きな人や好きなカルチャーはありますか?

たっぺい:『ちいかわ』の作者・ナガノさんは相当オモロいなと思います。あの方が描いた他の作品も、台詞とかフレーズが面白い。“この人、芸人になったほうがええんちゃうかな”って思うぐらいです。

浦田:漫画『日常』の作者、あらゐけいいちさんが好きです。あの人、ちょっとオモロすぎますよ。

(取材:浜瀬 将樹)


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