80キロと190キロのお笑いコンビ・ママタルト「二人ともデブだと思ってます(笑)」
2022年、2023年と『M-1グランプリ』で準決勝に進出し、現在はバラエティ番組でも活躍するママタルトが、今年も単独ライブを開催した。今年こそ『M-1』での決勝進出を目指す二人。ニュースクランチでは、これからのママタルトについて話を聞いた。
過去最高の190キロを記録した大鶴肥満
――今年も7月12日に単独ライブ『ON砲』を、なかのZERO小ホールで開催されましたが、どんなライブでしたか。
大鶴肥満(以下、大鶴):言ったって、言ったって!
檜原洋平(以下、檜原):では代表して、言わせていただきます。本当に……今年も……これまでとまったく一緒で、普通のネタライブなので、料金もリーズナブルに2000円で。
――ママタルトさんのネタ作りは、檜原さんが担当されているんですか?
檜原:そうですね。最終的には二人で相談しますけど、ベースは僕が作ってますね。
大鶴:僕は立憲民主党みたいな立場です。自民党と公明党が出した基礎案に対して、意見を言う立憲民主党みたいなポジションでやらせてもらってます。
――わかりやすいです(笑)。今年のライブのタイトルは、昨年の『エンジョイ』とはまた打って変わって、『ON砲』とのことですが、どんな意味が込められているのでしょうか。
大鶴:昨年は、マルシアさんに「まーごめ」(大鶴義丹さんが会見でマルシアさんに言った「まーちゃんごめんね」を略したギャグ)を言ってることがバレ、twitter(現・X)もフォローされて。で、なぜか、僕が「ライブ出ます」とかツイートしたら、リプライで「ファイティン」とか「エンジョイ」と送ってくれるようになったんです。
檜原:しょっちゅう来てたよな。
大鶴:だから、「まーごめ」って言葉を使ってほしくないけど、ただ“使うな”って怒ると可哀そうだから、「まーごめ」に代わる言葉を私が教えてあげなくちゃって気持ちなのかなって。それで「エンジョイ」を単独のタイトルにさせていただこうとなりました。
――そんな経緯があったんですね。
大鶴:しっかり使用させていただきました。ただ、今年の1月にマルシアさんが、X(旧Twitter)のリプで「新年あけましておめでとうございます。 今年もファイティンまーごめ」ってポストされて、とうとうマルシアさんが“まーごめに取り込まれた!”って感じたんですが。
――あははははは(笑)。
大鶴:今年の『ON砲』は、僕が巨人ファンっていうのもあるんですけど、先日、ついに体重が自己最高の190キロになりまして“ワンハンドレットナインティーン”という意味もあります。
――190! ママタルトさんの漫才って動くじゃないですか。体重が増え続けることで、仕事に支障はないんですか。
檜原:動きますけど、超必殺アクションみたいなのはないので、ちょっとしたステップぐらいなら大丈夫ですよ。連発はできないですんですけどね。
大鶴:いや、ちょっとしたどころじゃないですよ、やってるほうですよ。『M-1ツアー』とかで回ってると、なんでわざわざ朝一の飛行機で地方まで行って、ワンステで受け身を10回ぐらい連発してんだ……とか、たまに思いますよ。
――大鶴さんは漫才中、大変ですよね。
大鶴:舞台上はアドレナリンが出てるから、そのときは問題ないです。終わったあとですね、疲労が半端ない。でも、190キロ界では、トップクラスで動けているんじゃないかと思います。
――なぜそこまで機敏に動けるんですか?
大鶴:体の使い方を熟知してるからだと思います。子どもの頃からいろいろスポーツをやってたんですけど、子でものころにできたことって、大人になっても多少できるじゃないですか。だから、今でも跳び箱とか縄跳びとかも飛べますよ。たぶん、一輪車とかも乗れると思うんですよね。僕が乗れるやつがあれば、ですけど。
――一輪車はさすがに難しそうですね……。最近はテレビ出演も増えていますが、食べる系のお仕事も多い印象です。
大鶴:本当にそうですね。これは死ぬな……と思うぐらいの量の大食いとかもあります。でも、僕は太ってる人のなかでも、ちゃんと食べれるほうなので、ガツガツ食べちゃうんですけどね。
マネージャーに間違われても悔しくない檜原洋平
――檜原さんも一緒に大食いに挑戦することがありますよね。
檜原:そうなんですよ。僕は一人暮らしを始めた19歳ぐらいの頃から、自分の好きなタイミングで好きなものを食べるっていう生活をしてきたので、実家に帰ってご飯を作ってもらっても、自分が食べたいタイミングじゃなかったら食べられないくらい、無理して食べられないんですよ。無理して食べると、しゃっくりが止まんなくなっちゃうんで大変です(笑)。
――檜原さんは趣味を活かしてやりたい仕事などはありますか?
檜原:うーん、お仕事いただけるのはありがたいんですけど、今で理想の未来なんです。というのも、僕は昔から調子のいい人間というか、目立つヤツの隣にくっついて、良い部分で自分も目立つ、みたいな人間だったので。
だから「前に出てなんかやれ!」って言われて、何かをやらせられるのはイヤだったけど、目立ちたいって気持ちは常にあって。だから、今のポジションは子どもの頃からしたら、理想の将来なので、自分が前のめりにやりたい仕事、とかは特にないんですよ。
――めちゃくちゃ良い話ですね。ママタルトさんの漫才を見ていて感じる楽しさが、その言葉に集約されている気がします。
大鶴:でもさ、悔しいとかないの? この前も二人でタクシー乗っていて、ひわちゃんが先に降りたとき、運転手さんに「いつもテレビで見てます。さっき降りられたのはマネージャーさんですか?」って言われたんですよ。悔しいよ、俺は……。
檜原:悔しいとかはないな~(笑)。街で一緒に歩いてるとき、「大鶴肥満さんですよね? 一緒に写真撮ってください」って声かけられてて、2人で写真撮ってる横で僕がニコニコしてたら、ほかの芸人から「大鶴肥満だけ顔さされてさ、ひわちゃんは悔しくないの?」とか言われたんですけど、そのときも本当に全然オッケーって感じでした。
――自分が目立つために、これがやりたい! とかはないんですか?
檜原:そうですね。別に僕に何かあるわけじゃないんで。このあいだ『いくらかわかる金?』(TBS系)って番組で、大鶴肥満が飲食店で好きなだけ食べて、いくらになるかをクイズにするっていう企画があったんですけど、僕は「普通の人として好きなように食べてください」って言われて、それが最高だったんですよ。だから、もっとそういうのをやりたいです。
――6月30日に『ママタルトの我漫才!-GAMANZAI-』という、24時間断食したあとに、漫才をやるというイベントがありましたが、こちらは檜原さんも過酷ですよね。
檜原:そうなんですよ。24時間断食するって、本当にとんでもなく過酷なそうじゃないですか。ドーバー海峡横断するくらいの。でも、周りに聞いたら、意外とファスティングとか言って普通にやってる人もいるらしいですね。
大鶴:いや、俺たちは過酷であってるのよ。ひわちゃんもデブなのに、痩せの気持ちでいるから、“24時間の断食って当たり前なんや”ってびっくりしてるけど 、俺たちはちゃんと企画を成り立たせてるよ。
檜原:?
大鶴:別に二人ともデブだし、それでオファーしてくれてるんだから、過酷そう、でいいのよ。
――檜原さん的には……。
檜原:いや、正直、自分はデブだと思ってます(笑)。でも、チョッパーみたいな感じで、僕が「デブ」と言ったら「デブじゃない」って言われて、痩せぶったら「デブ」って言われて、どっちつかずなんですよね。
――どちらかに振りたいという思いもあるんですか。
大鶴:でも、太ったら絶対に体壊すんで、やめたほうがいいと思います。僕は大丈夫なんですけど。
檜原:たしかに、歳だから弁当が完食できない、とか言ってる人たちを見ていると、もしかして一番健康なのは大鶴肥満なんじゃないか?って思う瞬間めっちゃありますね。太ってるのに、肌ツヤもいいんですよ。
大鶴:頬も黒くなってないですからね。普通は太りすぎると、頬が壊死していくらしいんですけど、僕は全然です。これは1つの説として、大鶴肥満は早口だから、ここの筋肉がすごい発達してるっていうのがあります。
――なるほど。たしかに、太ってらっしゃる方って口調もゆっくりのイメージですけど、大鶴さんは早口ですもんね…! 挑戦してみたいお仕事などはありますか。
大鶴:中学の頃から100キロを超えていて、そこからずっと、停滞することなく少しずつ増え続けているんです。なので、まず『M-1』で優勝して、ある程度デブキャラとしての仕事を終えたら、クリスタルジムに通って筋トレして、90キロくらいまで落としたいですね。それで、プロ野球の独立リーグに入団して、無双してみたいです。
――そこまで描いてるんですね。
大鶴:今でもたまにジムに行くんですけど、僕は内転筋がすごいらしくて。マシンの一番下の重りで10回3セットを余裕で上げてたんです。でも、それ普通はあり得ないらしっくて。
――それを活かして野球で活躍したいと。
大鶴:そうですね。でも、何に対しても全部興味なんですよね。趣味のピザ作りもそうだし、ゴシップが好きなのも全部興味です。190キロまでいったのも、どんな感覚なんだろうって興味なので、今度は100キロ切ってみたいなと。もう、20年くらい体重2桁の世界を体験していないので。
真空ジェシカなどの活躍で見えた『M-1』決勝
――ここ2年は『M-1グランプリ』で準決勝まで進出していますが、お二人の感覚的にこの結果はいかがですか?
檜原:一昨年は終わったあと、決勝進出の可能性は“20%ないくらいかな……”ぐらいの感覚だったんですけど、“去年は60%くらいあるかも……”と思えるくらいの手応えはありましたね。
――敗者復活戦はいかがでしたか? 昨年からシステムも変わりましたが。
檜原:すごい楽しかったよね。
大鶴:やっぱり、熱はすごかったですね。1対1のタイマン形式で進んでいくと、ひとネタの勢いもありましたし。一昨年はくじを引いて2番だった時点で、もうダメだっていう顔をしちゃったんで……。
――どのくらいの時期から『M-1』を意識し始めるんですか?
檜原:去年も一昨年も、11月ぐらいに作ったくだりばっかりでしたね。ここがまだおもしろくないかも……みたいに焦って朝まで考えて詰める、とかやるのは、本当にそのくらいの時期からです。
大鶴:たしか、昨年の準決勝のネタは、準々決勝の1~2時間前に、1~2くだりくらい加えたりもしてました。大阪の準々決勝の動画見て、このままだとちょっと弱いから、これを入れるか……みたいなやりとりがありましたね。
――お二人で『M-1』に向けての相談などもされるんですか。
檜原:いや、しっかり話し合いとかは……。でも毎年、3回戦で落ちてもいい、くらいの気持ちでいようとは言いますね。
大鶴:そうですね。あんまり気を張るのもよくないので。あと『M-1』で決勝に出たい、優勝したいっていうのも全部興味なんですよ。“決勝に行ったらどんな気持ちになるんだろう”“あの階段を降りて漫才やるって、どんな気持ちになるんだろう”っていう。それを体験してみたいんです。
――メディアへの出演も増え、知名度が上がっていくことで、ウケ方などの変化はありますか。
檜原:日々のライブでいうと、2年前ぐらいは“もう何を言っても大爆笑!”みたいなイケイケ状態だったんですけど。最近はむしろ、おもしろいと思ってもらえたところでしかウケなくなりましたね。
大鶴:去年なんて、東京のライブでは4月から10月まで、“何をやってもウケないな……”くらいの手応えでした。
檜原:ただ、逆に地方に行ったときは、昔に比べてすごいウケるようになりました。
大鶴:「まーちゃんごめんね」で会場ドカーン! みたいな。“こんな未来あったんだ!”って驚きました。本当に川北(茂澄)さんには感謝です。
――それこそ、真空ジェシカさんも『M-1』で決勝進出してから、一気に知名度が上がりましたよね。
檜原:そうですね、なんかイメージしやすくなりました。普段のライブから一緒に出てる人が決勝に行ったり、優勝したりする姿を見ると、自分たちも行く未来も見えるんで。
大鶴:そうですね。僕はウエストランド井口(浩之)さんが優勝して、本当によかったと思います。あの人は本当に全部チェックしてますので、はい。
――一時期、再挑戦をほのめかしていましたが、今年はどうなんですかね。
大鶴:それが調べたら、ウエストランドさんは2008年11月結成って書いてあって! 2024の出場資格は、2009年の1月1日以降の結成なんで、もう出れないんですよ。
――ちゃんと調べられてるんですね。
檜原:枠は減りますけど、僕はウエストランドさんにも令和ロマンにも出てもらいたいですけどね。そのほうが絶対に盛り上がるし。
大鶴:なんでだよ、『M-1』に出てる人で、そんなこと言う人いないよ? しかも、その出てもらったほうがいいっていうのは、うちらが決勝に行ってるていで、でしょ?
檜原:そうだね(笑)。
大鶴:枠が減っちゃうんだから! まあでも、ウエストランドさんも一度決勝に行ってから、準々決勝で敗退した年があって、その次の年に優勝してるから、ママタルトもまず一度、決勝に行きたいですね。
(取材:梅山 織愛)
07/22 20:00
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