国連未来サミット、「未来のための協定」採択 「歴史的合意」も実行の熱意に温度差

【ニューヨーク=平田雄介】国連の「未来サミット」で22日採択された成果文書「未来のための協定」には、安保理改革に加えて、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて途上国が必要とする資金を補完することや、デジタル格差の解消に向けた対処方針が盛り込まれた。国連のグテレス事務総長は協定採択を「歴史的な合意だ」と歓迎し、各国に協力を呼びかけたが、実行への熱意には温度差もある。

象徴的だったのが、採択の直前、ロシアやベネズエラの代表が「協定案は西側諸国の主導で作成された」と主張し、修正協議を求めた場面だ。

実際は、協定案はナミビアとドイツが連携して取りまとめ、採択後にはシエラレオネのビオ大統領が途上国の大半と先進7カ国(G7)を代表して、協定は「よりよき未来への希望と刺激を与えてくれる」と演説した。

西側交渉筋は、協定は「南北連携の結実」を示すと語り、未来サミットの開幕直前になって採択に難色を示したロシアは「反対のための反対」をしていたと振り返る。

修正協議の可否を決める投票でロシアと足並みをそろえたのはベラルーシやイラン、北朝鮮など6カ国。ロシアの孤立が浮き彫りとなる中、グテレス氏は最終的に議場の総意による採択に反対した国がなかったことに関して「妥協の精神」が発揮されたと感謝し、加盟国の分断の修復を図った。

22日は協定の付属文書「グローバル・デジタル・コンパクト」も採択され、人工知能(AI)のリスクに関する理解や適切な対応を促すため、独立した専門家による国際科学パネルを国連に設置することが合意された。

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