中国政府は他のどの国よりも多くの自動運転車のテストを行っているが国営メディアは衝突事故や事件をほとんど報道せずオンライン投稿は検閲されているという指摘
中国武漢市では約500台の自動運転ロボットタクシーが走行しており、今後さらに1000台のロボットタクシーが追加されるとの発表が行われています。そんな武漢市にニューヨーク・タイムズのキース・ブラッドシャー記者が渡り、ロボットタクシーがどのように運用されているのかをレポートしました。
China Is Testing More Driverless Cars Than Any Other Country - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/06/13/business/china-driverless-cars.html
Driverless Cars in China: How Safe Are They? - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/06/13/business/china-driverless-car-safety.html
中国では16以上の都市が公道での無人運転車のテストを許可しており、少なくとも19の自動車メーカーとサプライヤーがしのぎを削って無人運転車を走らせているとのこと。武漢市ではBaiduがおよそ500台のロボットタクシーを走らせています。
ロボットタクシーは主に無人で運転されますが、無人であるが故の自動車事故が発生することも報告されており、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコでは人間との接触事故が発生したことを受け、運用企業が公道での走行テストを一時停止するなどの対応に追われたこともありました。
ある調査によると、中国人はアメリカ人よりも自動運転車のコンピューターを信頼する傾向が強いそうです。ブラッドシャー氏は地元の声を紹介し、「武漢市のある食料品店のオーナーは、安全性について心配しすぎる必要はないと思うと語っていました」と記しています。
一方で、政府が自動運転車の安全性に関する事件や事故についての議論を制限し、テクノロジーに対する市民の不安を抑えているとの見方もあります。
2024年4月26日、高度な運転支援機能を搭載した自動車「AITO M7 Plus」の運転手が山西省で追突事故を起こしました。この件でとある女性が「夫、兄弟、息子が殺された」と主張する動画が出回りましたが、すぐに投稿は削除されてしまったそうです。これに関連して中国の報道機関が出した、運転支援システムの安全性を疑問視する長期にわたる調査結果も、数日で消えてしまったとのこと。ブラッドシャー氏によると、国営メディアは事故発生後9日間にわたり事故に関する報道を控えていたそうです。
また、先進的な運転支援システムを搭載したXiaomiの電気セダン「SU7」が制御不能に陥り加速し、1人が死亡、3人が負傷した様子について海南省の報道機関が伝え、その後すぐにXiaomiが「衝突した車には何の問題もなかった」との声明を発表し、声明を否定する記事が掲載されたものの、否定記事はすぐに消されてしまったとの報告もあります。
ブラッドシャー氏は「中国では政府が自動運転に関する技術を強力に支援しており、事故に関する公開情報を厳しく制限している。アメリカで同様の事故が起こればおそらくかなりの注目を集めるはずだが、中国では公的監視ははるかに少ない」と伝えています。
07/06 08:00
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