GMとホンダが共同開発していた自動ロボタクシー「クルーズ・オリジン」の開発中止が決定


ゼネラルモーターズ(GM)傘下の自動運転車メーカー「Cruise」は、ホンダと共同で6人乗り自動運転車「クルーズ・オリジン」を開発していました。しかし、2024年7月23日にGMはクルーズ・オリジンの開発を中止することを発表しました。
Q2 2024 Letter to Shareholders | General Motors Company
https://investor.gm.com/news-releases/news-release-details/q2-2024-letter-shareholders


Cruise Scraps 'Origin' Robotaxi, Will Stick With an Old Favorite Instead | PCMag
https://www.pcmag.com/news/cruise-scraps-origin-robotaxi-will-stick-with-an-old-favorite-instead
GM shelves the autonomous Cruise Origin shuttle van
https://www.engadget.com/gm-shelves-the-autonomous-cruise-origin-shuttle-van-144256801.html
2020年に発表されたクルーズ・オリジンは、2026年からのロボタクシーとしての運用開始を目指してホンダと共同での開発が進められていました。2022年9月には日本仕様版クルーズ・オリジンのテスト走行も実施されています。
自動運転車両「クルーズ・オリジン」日本向け車両がテスト走行開始 - YouTube

完全自動運転であるクルーズ・オリジンにはステアリングやブレーキを含む運転席がなく、タクシーの乗客は向かい合って座ることなどが特徴です。しかし、記事作成時点でステアリングやブレーキペダルのない車両はアメリカ国内で認められていないほか、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2022年に「対面式の座席は乗員保護基準の観点から承認できない」とする規則を発効しています。


さらに、クルーズ・オリジンは1台当たり数十万ドル(数千万円)ものコストがかかると見積もられており、2023年10月に発生したロボタクシーと歩行者との交通事故により、カリフォルニア州での車両配備と無人での運転試験の許可の即時停止が命じられているCruiseにとっては、クルーズ・オリジンの開発は大きな負担となります。
カリフォルニア州がCruiseの自動運転車両配備と無人運転試験の許可を即時停止 - GIGAZINE

GMとホンダが共同開発していた自動ロボタクシー「クルーズ・オリジン」の開発中止が決定 - 画像


海外メディアのThe Vergeによると、車両配備と運転試験が禁止されるという大きな痛手を受けたCruiseは数十億ドル(数千億円)規模の損失を出していたとのこと。また、GMの2024年第2四半期決算報告書では「Cruiseがアメリカでの自動運転運用を自主的に一時停止したほか、クルーズ・オリジンの開発の遅れに伴い、Cruise従業員のリストラに約5億8300万ドル(約900億円)もの費用を要しました」と記されています。さらに、GMはCruiseに対して8億5000万ドル(約1300億円)もの資金を提供してCruiseの運営費を賄っていたことが報じられています。
こうした状況を受け、GMは2024年7月23日に「Cruiseが今後導入する自動運転車をクルーズ・オリジンではなく次世代のシボレー・ボルトEVと定め、スケールアップへの道筋を簡素化します」と報告。クルーズ・オリジンの開発中止についてGMは「クルーズ・オリジンのユニークなデザインのためにCruiseが直面した規制に対処することができます。また、ユニット当たりのコストが大幅に削減されるため、Cruiseはリソースの最適化が可能です」と述べています。

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