業績不振・イタトマ「680円朝食」の超正直な感想
ファストフードに牛丼チェーンにファミリーレストラン。カフェに焼き肉に立ち食い蕎麦にドーナツショップ。飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが朝メニュー、いわゆる「モーニング」ってやつです。
今回は、パスタとケーキが人気のカフェチェーン「イタリアントマト」のモーニングをご紹介します。
1980年におしゃれなお店として「イタトマ」の呼び名で一斉を風靡した、バブル世代にはお馴染みのブランドですが、ここ10年ほどはカフェ業界の競争激化によって業績不振にあえいでいます。2018年時点では国内に218店あったのが、2023年11月末には109店舗と、5~6年ほどで半減してしまっているのです(他に海外店舗もあります)。
とはいえ今でも、28都道府県に100店舗以上の系列店(ケーキショップ等も含む)を展開中。ということで、足を運んでみました。
イタリアントマトの朝メニューは、古き良き喫茶店モーニングの系譜
イタリアントマトの朝メニュー「イタトマモーニング」の販売時間は、開店から午前11時までです(一部店舗では実施なし)。
メニュー表はこんな感じ。
モーニングの種類は4種類で、すべてがドリンク付きです。
・レタスドッグモーニング 税込530円
・ハムたまごとツナサラダのWサンドモーニング 税込680円
・ゆで卵&トーストモーニング 税込550円
いずれもオーソドックスな、モーニングの定番をラインナップしています。
選べるセットドリンクは以下の6種類です。
・アイスコーヒー
・アメリカン
・アイスティー
・紅茶
・アイスピーチティー
プラス30円でカプチーノやカフェラテなどに変更が可能です。
イタリアントマト ハムたまごとツナサラダのWサンドモーニング680円
オーダーしたのは「イタトマモーニング」では最高値、税込680円のハムたまごとツナサラダのWサンドモーニングです。
入り口のオーダーカウンターで注文して待つこと約5分。スタッフに席まで持って来てもらえました。セット内容は以下です。
・ツナサラダのトーストサンド
・サラダ
・ミニヨーグルト
・ドリンク(アイスピーチティー)
木製のトレイに乗った白いお皿に、2種類のサンドイッチが並び、スープカップ入りのサラダ、ミニココットにはヨーグルトが盛り付けられています。美しく盛り付けられたモーニングプレートは、まず目で見ておいしい。
味付けは優しい味わいで、目で見て想像した通りの味がします。おしゃれなスパイスでアクセントをつけたり、個性的なドレッシングを使ったりしていません。奇をてらわない、懐かしさと安心感のある古き良きモーニング。期待を裏切らないおいしさです。
ドリンクは、アイスピーチティーをセレクト。アイスティーとは一線を画す、ピーチフレーバーが爽やかな加糖タイプのドリンクで、お茶とジュースの中間という印象で、程よい甘さが夏バテ気味の体に染みます。
いたって普通、だけど美しいモーニング
8枚切程度の厚みのイギリス食パンを、軽くトーストしたサンドイッチは、水分が少ないサクサクタイプの生地で軽い口当たりが魅力。どちらも具材たっぷりでボリューミーに仕上がっています。
ハムたまごサンドのパンを持ち上げると、淡いクリーム色のマッシュしたゆでたまごの上には、薄切りのロースハムが3枚、行儀良く折り重なるような美しいドレープで並んでいました。見えない部分まで丁寧に調理してくれているのがグッと来ます。
ツナサラダサンドも同様で、薄切りの玉ねぎがツナペーストの上にはみ出すことなく乗っています。おかげで玉ねぎの風味は損なわれず、シャキシャキした食感も楽しめました。
ツナと玉ねぎを混ぜれば1工程で済むのに、「玉ねぎを別添えにしたほうがおいしいからね」と、一手間かけてくれるあたりにこだわりを感じます。
サラダはフリルレタスの濃い緑、白いポテトサラダと黄色いコーンでカラフルかつ、グッドルッキングな仕上がり。小さなココットに入ったヨーグルトには角切りのマンゴーが入ったソースがかかっていました。甘いものがちょっとあるだけで、モーニングの満足度は爆上がりです。
イタリアントマト レタスドッグモーニング530円
最安値、税込530円のレタスドッグモーニングもオーダーしてみました。ホットドッグとドリンクのシンプルなセットです。
フリルレタスの濃い緑と、ケチャップの赤、粗挽きマスタードのイエローで、見た目のおいしさも完璧!
ホットドッグ用のパンはソフトフランス。パンの外側はハードで中はもっちりです。使用しているソーセージは、粗挽きでプリっとした食感。日本人好みのジューシーさと歯応えがある、お馴染みの味わいです。
レタスドッグは単品価格が税込330円なので、プラス200円でドリンクがついてくるという計算になります。
「イタリアントマト」では、通常のドリンクセットが税込250円のため、11時以降に同じメニューを食べた場合は税込580円となります。「早起きは三文の徳」と言いますが、「イタリアントマト」の場合「早起きは50円の得」ということになります。
イタリアントマトに来たからにはケーキが食べたい世代も
「イタリアントマト」が隆盛を極めたのは、パスタやピザが「イタ飯(いためし)」と呼ばれて、最先端だった1980年代から1990年代。当時は大きめサイズのショートケーキが大人気で、行列必至の人気店でした。
今回筆者が訪れた店舗は、ハブ駅の地下街にある「カフェ イタリアントマト」です。日曜朝10時、カウンター席・テーブル席含めて50席ほどの店内は、ほぼ満席でした。
清潔で居心地よく整えられている店内
テーブルは2人掛けがメインで、ソファ席などはなし。カウンター席にはコンセントもあり、席間は狭めですが、清潔で居心地よく整えられています。客層はさまざま。女性と男性の割合も半々ですし、年齢層もさまざま。20代の男女と同じぐらい、お年を召したご婦人や紳士もいます。
面白かったのは、50代以上の女性でケーキを食べている人が多かったこと。「せっかくイタリアントマトに来たのだから、ケーキを食べなくちゃ」と、脳内に刷り込まれているのかもしれません。
カウンター席に並んで座り、大きなケーキを頬張る2人連れの老婦人の楽しそうな笑顔に、バブル時代の面影を追う朝です。
(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)
09/28 08:00
東洋経済オンライン