なぜ東大を目指す?いちばん多い「意外な理由」
東大を目指すいちばんの理由
「どうして東大を目指したのですか」
僕は出会った東大生みんなに、この質問をしています。東大受験を決めたきっかけを知りたくて、こんな質問をしているのです。
この回答に対する答えは、どのようなものが多いと思いますか?
僕の会社で働く仲間たちには、生徒数が少ない地方の高校から東大に合格した人や、10年以上東大合格者が出ていないような高校から東大に受かった人もいます。
そういう人は、先輩も後輩も同級生も「東大に行きたい」と考える人がほとんどいないところから、東大を目指して勉強をしてきたわけです。彼ら・彼女たちは、どんなことがきっかけで東大を目指したのでしょうか?
実はいちばん多いのは、「先生に言われたから」というとてもシンプルな理由です。先生から「『お前、この成績なら東大に行けるんじゃないか』と言われたから」、というただそれだけの理由で東大を目指した人が、とても多いのです。
ちょっと意外ですよね。もっといろんなことを考えて東大を目指している場合が多いと思いきや、そうでもないのです。
でも、僕は「東大生の共通点」は、ここにあると思っています。「信頼する人から言われたことを、考える前に素直に行動に移す」ということこそが、東大に合格する人のいちばんの共通点なのではないか、と。
漫画『ドラゴン桜2』では、こんなシーンがあります。桜木先生から「東大へ行け」と言われた後の生徒の反応と併せてご覧ください。
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「考えるな、動け、行動するやつだけが勝つ!」 これはすごく示唆的なセリフだと思います。
「理由を考える前に、言われたことをやってみよう」という姿勢は、今の世の中の流れと逆を行っているように感じられます。
このシーンについて、ドラゴン桜の原作者である三田紀房先生にお話を聞いてみたところ、こんなことをおっしゃっていました。
「東大に行く理由というのは、もちろんいろいろある。だけど、東大に行くメリットというのは、10代の社会をあまり知らない子どもたちが理解しきれるものではない。東大に行って、卒業した後になってしか、『東大に行ってよかった』と実感できない。それよりも、理由もなく行動する素直さがあるほうが、得られるものは大きいんだ」と。
何かを行動するときに、理由を探してしまう
今、われわれは何か行動するときに、理由を探してしまいます。「こうしてくれ」とお願いされたときに、どうしても「なんでそういう行動をするべきなのか、理由を教えてくれ」と言いたくなってしまいますよね。でも、やった後でしか、その理由を理解しきれないこともあります。
勉強だってそうですね。子どもの頃は「なんでこんなことやらなきゃなんないんだよ」と考えながら勉強していた人が多いと思います。大人になって、社会に出て初めて「ああ、勉強しておけばよかったな」と気づけるものです。
大人がどんなに「勉強していないと苦労するよ」と語っても、まだ社会に出ていない子どもにとっては、別世界の話でしかありません。それでも、「やる理由はわからないけれども、頑張る」子どものほうが、得られるメリットは大きいわけです。
東大生は、「信頼する人から言われたことを、考える前に素直に行動に移す」ということをしていた人が多いです。理由はわからないけれど、とにかく行動してみよう、という姿勢がある人が、合格しているわけですね。
(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)
08/27 10:00
東洋経済オンライン