旅客船船体に亀裂、それでも運航続行…唐津市の運航会社に安全確保の命令書

 国土交通省九州運輸局は16日、船体に亀裂が見つかったにもかかわらず、船舶安全法で義務付けられた臨時検査を受けずに運航を続けたとして、佐賀県唐津市の呼子港― 馬渡まだら 島を結ぶ旅客船「ゆうしょう」(57トン、80人乗り)を運航する「郵正丸」(佐賀県唐津市)に対し、海上運送法に基づき、輸送の安全確保に関する命令書を出した。

旅客船「ゆうしょう」(2014年4月、佐賀県唐津市で)

 運輸局の発表によると、同社は6月12日の営業時間中、ゆうしょうの左舷側の喫水線より上に約1センチの亀裂を見つけたが、本来は必要な運輸局の臨時検査を受けず、仮修理をして同日の最終便まで運航した。その後、同社が運輸局に代わりの船の認可を得ようと連絡したことで発覚した。11日の乗員数が足りなかったことも判明した。

 同社は11日の運航終了後の点検で一部に深さ約15~20センチの浸水を確認していたが、12日の出航前の点検では浸水がなかったことから運航を続けたという。

 同社は取材に対し「認識不足だった。今後は規定を順守し、輸送の安全確保に努める」としている。

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