吉野家の「オーストリッチ(ダチョウ)丼」を支えるSPEEDIAってどんな会社?

牛丼チェーン店「吉野家」を展開する吉野家ホールディングス<9861>が、オーストリッチ(ダチョウ)事業に乗り出した。

子会社でオーストリッチの飼育を手がけるSPEEDIA(スピーディア、東京都中央区)が生産するオーストリッチミートを使った「オーストリッチ丼」を吉野家の一部の店舗で販売するほか、オーストリッチミートを使用した新商品の開発や、オーストリッチミートそのものの卸売りなども行う。

SPEEDIAも、オーストリッチオイルを配合したスキンケア商品の販売を本格化するほか、定期的なポップアップストア(期間限定の店舗)の設置や、オーストリッチオイルの卸売り、ハンドクリームなどの新製品の開発などに取り組む。

吉野家のオーストリッチ事業を支えるSPEEDIAとは、どのような会社なのだろうか。

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オーストリッチファームの事業を譲受

SPEEDIAは、2015年にオーストリッチファームの事業を譲り受けた(相手先は非公表)のが始まりとなる。

2017年にSPEEDIAの前身となる日本オーストリッチファームを設立し、茨城県石岡市でオーストリッチの飼育(親鳥42羽、ひな150羽)を行いながら、オーストリッチミートの新規機能の研究を始めた。

2018年には新たに、オーストリッチオイルの機能性の研究に着手し、翌2019年にオーストリッチオイルを活用した化粧品の開発をスタートさせた。

2020年にはオーストリッチの飼育羽数が500羽に到達するとともに、社名を現在のSPEEDIAに変更。2024年には産卵から精肉加工まで、一気通貫の飼育、生産が可能な製造センターが完成したこともあり、オーストリッチ事業に本格参入することにした。

SPEEDIAのこれまでの研究では、オーストリッチオイルには肌から水分が蒸散するのを抑える効果があるほか、美白などに効果のある美容成分の肌への浸透を促進する効果も確認できた。

また、オーストリッチミートは、鶏肉のささ身のように低脂肪、低カロリーであり、牛肉のように鉄分が豊富に含まれているほか、疲労改善や血管老化防止の効果があることが分かった。

今後はオイルやミートだけでなく、羽根や骨などオーストリッチのすべてを活用する方向で研究を進める計画だ。

すでにSPEEDIAでは、オーストリッチオイルを用いたスキンケア商品を販売しており、オンラインストアのヨドバシドットコムや日本調剤オンラインストアでも取り扱いを始めた。

今後はオーストリッチオイルに羽根から採れるオーストリッチケラチンを混ぜ合わせた肌荒れを防ぐ効果の高い「ハンド&ボディケアミルク」を販売する予定だ。

飲食店での使用を想定して無香料としており、先行して吉野家の全国店舗で従業員による使用を始めた。

東京商工リサーチによるとSPEEDIAの 2023年1月期の売上高は3800万円(前年度比11.7%増)だった。今後どこまで業績を伸ばすことができるだろうか。

ローストビーフ風のモモ肉とヒレ肉を使用

一方、吉野家にとってオーストリッチミートは牛肉、豚肉、鶏肉に次ぐ第4の肉となる。吉野家では、リスク分散の観点から牛肉だけでなく使用する肉の種類を増やしており、飼料効率の高いオーストリッチには2000年代から着目していたという。

販売を始めた「オーストリッチ丼」は、オーストリッチミートのモモ肉とヒレ肉をローストビーフ風に仕上げており、厚みがあり、柔らかくジューシーな赤み肉ならではのうまさを味わるとしている。

価格はオーストリッチのガラスープ付きで1683円。合計約6万食の数量限定販売で、食材がなくなり次第、販売を終了する。

吉野家のオーストリッチ丼

吉野家のオーストリッチ丼(ニュースリリースより)

文:M&A Online記者 松本亮一

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