積水ハウスのCVC、初のオープンイノベーション拠点を東京で開設
積水ハウス<1928>系コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)の積水ハウス イノベーション&コミュニケーション(東京都港区)が、本拠地となる「イノコムスクエア」の説明会を開いた。辰井伸宏社長が同社の設立目的や役割、オープンイノベーションの推進方針などについて説明した。
辰井社長は積水ハウスグループの歴史を振り返り、これまでの第1フェーズ「住宅の基本性能向上」と第2フェーズ「快適な住まいと暮らしの追求」を経て、2020年からの第3フェーズでは「人生100年時代の幸せ」を目指すグループ戦略を解説。「その上で『健康』『繋がり』『学び』の三つの要素を満たすことが、第3フェーズの目標である『幸せ』につながる」(辰井社長)と述べた。
イノベーション&コミュニケーションは、この「健康」「繋がり」「学び」をテーマにしたグループ全体のオープンイノベーションを推進するエンジン的な役割を担い、人材価値の向上と新規事業創出の2本柱で活動するという。
同グループはオープンイノベーションを進めるに当たり、「リバースピッチ」と「CVC」の二つのアプローチを基本とする。リバースピッチでは同グループが掲げるテーマに関心のある研究者やベンチャー企業などを募り、共同でイノベーションを起こすことを目指す。
リバースピッチに対応するためイノコムスクエアに積水ハウスの技術者50〜60人が常駐し、訪れたスタートアップ関係者の技術的な質問や提案、打ち合わせにワンストップで対応する。
一方、CVCではイノベーション&コミュニケーションが有望なスタートアップ企業への投資を実施する。すでに3社への投資が決定しており、二酸化炭素(CO₂)吸着技術、建設現場の遠隔操作技術、オンライン教育事業などの分野で協業が期待されている。
「(同CVCの)投資規模は10年間で50億円。チケットサイズ(1回当たりの投資金額)や出資比率については特に定めておらず、対象企業の実態に即した判断をしていく。現時点ではアーリーステージからミドルステージまでのスタートアップが検討対象になっている」(辰井社長)という。
イノコムスクエアはグループの「積水ハウスらしさ」を体現する場所として、多様な協業パートナーが集まり、社会課題の解決を模索する。
施設内にはエントランスやオープンエリア、会議スペースなどが配置され、フレキシブルな利用が可能。内装やインテリアに木材を活用し、グループ事業である「住まい」を感じさせる演出がなされている。
イノコムスクエアでは年内に「リバースピッチ」「スタートアップのアイデアソン」「社会課題と住まいに関するセミナー」の3件のイベントを開く。このほかにも随時、イベント開催を検討している。
文・写真:糸永正行編集委員
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09/04 06:29
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