産業ガスの「エア・ウォーター」ポイ活アプリのPowlを傘下に

産業ガス大手のエア・ウォーター<4088>は、セブンリッチグループ(東京都渋谷区)傘下でポイ活アプリ(ポイントを貯め活用するアプリ)「Powl」を運営するPTX(東京都渋谷区)を子会社化した。

PTXはメディア、リサーチ、プロモーション、マーケティングの四つの事業を展開するTesTee(東京都渋谷区)が社名変更した企業で、ポイ活アプリを手がけるメディア事業以外の3事業を新設したテスティー(東京都渋谷区)に移したうえで、エア・ウォーターの傘下に入った。

エア・ウォーターは、PTXのグループ化によって、これまで接点が少なかった一般消費者や若年層とのつながりなどを強化し、新規事業の創出に取り組むとともに、両社の会員の相互送客やEC(電子商取引)サイトとの連携などによる会員拡大などを通じてPTXの成長を支援する。

同社が2024年5月に発表した2024年3月期決算では、2025年3月期は「事業領域の拡充を図るM&A投資を行っていく予定」としており、PTXの次のM&Aもそう先のことではなさそうだ。

会員数は400万人超

「Powl」は、スマートフォンにダウンロードし、アンケートに答えたり、歩くだけでポイントが貯まるアプリで、会員数は400万人を超えている。

セブンリッチが2021年にTesTee (現PTX)を子会社化し、会員数を増やし、事業規模を拡大してきた。

今後はエア・ウォーターが保有するAI(人工知能)やDX(デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)などの技術やサービスを活用することで、成長を加速できると判断した。

M&A投資に1400億円

エア・ウォーターは窒素や酸素、二酸化炭素、アルゴン、水素などの産業ガスを中心に、コンビニ向け総菜などを手がけるフーズ事業や、農産品などを販売するアグリ事業などを展開しており、2015年にグループ化した九州屋(東京都八王子市)では野菜やフルーツのEC販売なども手がけている。

エア・ウォーターは2025年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画の中で、M&Aに1400億円を投資する計画で、この計画に沿って2023年10月に青果仲卸の丸進青果(福岡市)などを子会社化した。

ただ、適時開示情報(投資判断に大きな影響を与える業務や業績などに関する情報)に該当するような大型のM&Aは今のところ行っていない。

中期経営計画では2025年3月期に売上高1兆2000億円(2022年3月期比10.5%増)、営業利益1000億円(同15.3%増)を見込んでいる。

同社では2025年3月期に売上高1兆1000億円(前年度比7.4%増)、営業利益780億円(同14.2%増)を予想しており、売り上げ、利益ともに計画には達しない見込み。M&Aによって目標数字にどこまで近づくことができるだろうか。

文:M&A Online記者 松本亮一

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