スタートアップ育成のファンドと研究会が誕生「起業」「M&A」「ユニコーン」などを支援
スタートアップを育成、支援するためのファンドや研究会が新たに立ち上がった。
東京大学協創プラットフォーム開発(東京都文京区、東大IPC)が2024年4月25日に設立を発表した「大学発スタートアップ等促進ファンド投資事業有限責任組合(ASAファンド)」と、同日に発足を公表したスタートアップの起業や成長、IPO(新規株式公開)、M&Aなどを支援する「スタートアップ研究会(東京都渋谷区)」がそれだ。
日本政府は2022年に「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、スタートアップの育成に力を入れており、この計画の推進に向けて、国はもちろん自治体や民間企業での動きが活発化している。
今後もファンドの設立や支援組織の発足など同様の取り組みが続きそうだ。
大学VCファンドなどに出資
ASAファンドは、東大IPCがGP(無限責任組合員)として、東京都と東急不動産(東京都渋谷区)がLP(有限責任組合員)として出資し設立された。
東京都の出資額は50億円(東急不動産は非公表)で、今後東京大学からの出資や他の投資家の出資も予定されており、ファンド規模は100億円を目指すという。
グローバルに展開できるスタートアップを育成、支援するために、大学発スタートアップに投資している大学VC(ベンチャーキャピタル)ファンドなどに出資(ファンド・オブ・ファンズ=他のファンドに投資する手法)する。
これによって、日本の大学発スタートアップエコシステム(公的機関や研究機関などが支援してスタートアップの成長を促すシステム)を海外トップレベルまで高め、ユニコ―ン企業(評価額が10億ドル以上のベンチャー企業)の育成を支援する。
東大IPCは、東京大学100%出資の投資事業子会社として2016年に設立された組織で、これまでに国内外70社を超える大学関連スタートアップへの投資、支援を行っている。
専門的な支援の実践に軸足
スタートアップ研究会は、東京都中小企業診断士協会城南支部の会員が中心となって発足したもので、ベンチャーキャピタリスト、スタートアップの役員、公的機関の創業支援担当者、証券会社の公開引受経験者、大企業のオープンイノベーション担当者などで構成されている。
同研究会によると起業や成長、IPO、M&Aなどの専門的な支援の実践に軸足を置いた組織はこれが初めてという。
中小企業診断士が、政府による補助金や補助事業などの支援施策を紹介するほか、会員の経験を活かしたビジネスマッチングや経営人材の派遣、さらには出口戦略(IPOやM&A)の支援などを行う。近く研究会の設立記念イベントを開催する予定という。
直近ではテレビ朝日や電通がスタートアップ支援サービスに乗り出しており、こうした動きは当面続きそうだ。
文:M&A Online
関連記事一覧はこちら
・連載「大学発ベンチャー」
05/07 06:30
M&A Online