「えっ!? 英国王室仕様のランドローバー?」オークションに登場した1978年式「シリーズIII ロイヤルレビュー」ってどんなクルマ?
ランドローバーの王室仕様モデルが、オークション最大手の「RMサザビーズ」に出品されて話題になっています。いったいどのような個体なのでしょうか。
世界でもっとも気品高いランドローバーがオークションに登場
優れた走破性と格調高いデザインから、世界中から支持を得ている高級SUVブランドが「ランドローバー」です。
代表モデルにあたる「レンジローバー」や「ディフェンダー」などは、セレブや著名人なども所有しており、高級SUVとしての地位を不動のものにしています。
そんなランドローバーは、1948年にオフロード走行をメインに開発された「シリーズ1」が誕生し、その耐久性の高さから世界探検家やレンジャー部隊などに多くの支持を得ることに成功します。
とくに1955年に6人の大学生が2台のランドローバーに乗ってロンドンを飛び出し、未知の世界を目指して壮大な遠征の旅に出た逸話は、ランドローバーの信頼性や走破性を絶対のものにしました。
その後、正常進化した「シリーズ2」が誕生したのち、大きく路線変更したのがシリーズ3です。
これまでのオフロード走行メインの造りから、新デザインのフロントグリル、トレードマークの「フラット」ドアヒンジを採用することで乗用車に近いエクステリアに変更しました。
さらにインテリアもシンプルながらも運転席側に再配置されたメーター類や幅いっぱいのパッド付きダッシュボードなど、乗用車に近づけるだけでなく、使い勝手も大きく向上しました。
そして1983年には、本格クロスカントリー車であるディフェンダーの前身モデル「ランドローバー90/110/127」にバトンタッチし、シリーズモデルは終焉を迎えます。
このように現在のランドローバーの根幹になったシリーズ1、2、3ですが、オークション大手の「RMサザビーズ」に出品されて注目を集めていました。
今回の出品車両は、最終モデルであるシリーズ3で、年式は1978年、ボディカラーはグリーンとなっています。
元は英国陸軍所有の「シリーズIII」
そして、最大の特徴は王室仕様の特別車「ロイヤル・レビュー」であることです。
製造後、グロスターシャー州の中央陸軍車両基地に送られ、その1年後にロイヤル・レビューとして大きな変更が加えられました。
サイドガラスから上の部分は撤去され、さらにリアタブは側面とリアバルクヘッドの高さを上げる追加のボディワークになりました。
標準のテールゲートは取り除かれ、クルマへの乗り降りを容易にするステップにつながるタブの高さの一対の開閉ドアに置き換えられています。
さらにプレキシガラス製スクリーンとクロームメッキの手すりが追加され、後部座席に座る王族の乗客に一定の保護と安定性がもたらされています。
インテリアは、ダッシュボード周りこそオリジナルとさほど変更はないものの、ドアトリムやシートは上質なタンレザーに変更され、このクルマが特別なものということを象徴しています。
また後部座席には「STOP」「SLOW」「START」の3つのスイッチが設けられており、会話することなく乗員は運転手に指示を伝えることができる仕組みです。
シリーズ3は新車時から陸軍が所有しており、アッシュチャーチで定期的なメンテナンスが行われていることを示すさまざまなサービス記録があります。
その後、2011年にランドローバーの売却が許可され、これにより特別な車両が歴史上初めて一般の所有になりました。
その後、2012年にオークションで購入されたシリーズ3は、次の所有者によって3年にもわたる大幅な修復を行います。
内容は、シャーシの改修、特注の内装の再装飾、ひびの入ったプレキシガラススクリーンの再製造、ほかにも摩耗した部品や壊れた部品の調達と交換に細心の注意を払ったとのことです。
※ ※ ※
今回のオークションは2024年11月2日に終了しており、3万6800ポンド(約727万9100円)で落札されました。
なお、今回の個体はさらに調査した結果、ロイヤルレビューのレプリカであり王室では使用されていないことが確認されたとのことです。
11/14 12:10
VAGUE