ただ者じゃないスーパーカー!? F1ドライバーM.シューマッハ選手もドライブしたランボルギーニ「ディアブロVT」ってどんなクルマ?

RMサザビーズのオークションに1994年式のランボルギーニ「ディアブロVT」が出品されました。このクルマ、どうやらただ者ではなさそうです。ディアブロというクルマを振り返りながら紹介しましょう。

VT(ビスカス トラクション)を採用した4WDモデル

 2024年夏に米国カリフォルニア州モントレーで開催された、RMサザビーズのオークションに1994年式のランボルギーニ「ディアブロVT」が出品されました。

 このクルマ、どうやらただ者ではなさそうです。。ディアブロというクルマを振り返りながら紹介しましょう。

オークションに出品された1994年式ランボルギーニ「ディアブロVT」(c)2024 Courtesy of RM Sotheby's

オークションに出品された1994年式ランボルギーニ「ディアブロVT」(c)2024 Courtesy of RM Sotheby's

「ミウラ」で野性的な評判を確立し「カウンタック」でそれを確実なものにしたイタリアの自動車メーカー、ランボルギーニは、1980年代の終わりごろには業績が悪化し、新たなフラッグシップが必要であることに気づきました。

 1990年代に入って3週間目の1990年1月21日、ボローニャ州サンタアガータに本社を構えるランボルギーニのチームは、新たなフラッグシップの「ディアブロ」を発表しました。

 鬼才と呼ばれるマルチェロ・ガンディーニ氏がデザインし、1987年にランボルギーニ社を買収した親会社のクライスラーが手を加えたアルミニウム製ボディのディアブロは、瞬く間に評判を高めました。

 カウンタックの画期的なミッドシップRWD方式を踏襲し、V12エンジンは5.7リッターに排気量をアップし、485psを発生。最高速度は205mph(約328km/h)に達しました。

 1993年には全輪駆動の「VT」が登場しました。VTとはビスカス トラクションの略で、ランボルギーニ初のオフロード4WD「LM002」のシステムを採用し、ディアブロは派手なスタイリングとパフォーマンスだけでなく、技術的な洗練さも持ち合わせるようになったのです。

 さて、今回のオークションに出展されたシャシNo.12970は、1993年12月3日に完成しました。

 ボディカラーはシルバーミスト、インテリアはネロ(ブラック)レザーで、パワーウインドー、エアコン、アルパインのカセットステレオなどを装備しています。

 このクルマは、ランボルギーニのプレスカーとして、多くのテストやトライアルに使用されました。

 1994年にドイツの雑誌「アウトビルト」でF1チャンピオンのミハエル・シューマッハ選手がドライブしたことでも有名になりました。

 ライバルよりも優れたパフォーマンスを発揮し、シューマッハはディアブロVTのパワー、サウンド、ハンドリングに感銘し、「見た目よりもはるかに洗練されている」と語りました。

 シューマッハ選手がドライブした記事のクリッピングは、このクルマの価格に含まれています。

 このクルマは、プレスカーから2人の個人所有者の手に渡りましたが、非常に良い状態で保存されています。

 2021年3月、オランダのディルクスラントにあるアンドレ・ノウト クラシックカー サービスの技術者によって、エンジン関係を中心に広範なリファインが施されました。

 2024年7月には、ランボルギーニ マイアミで新しいピレリ Pゼロのタイヤセット取付けを含む点検整備が行われています。

 その後、ランボルギーニ ポロ ストリコに認定のため提出され、サービスブックレット、工場のパンフレット、レザーウオレット付きのオーナーズマニュアルが与えられました。

 技術的な洗練さと派手なスタイリングを融合し、しかもレジェンド レーシングドライバーもステアリングホイールを握ったディアブロVT。

 現代のスーパーカー コレクターにとって、注目に値する理想的なコレクションの1台といえるでしょう。

 ですが、今回のオークションでは、このクルマは落札されませんでした。

 また、カリフォルニアの排出ガス規制のため、このクルマはディーラーもしくは州外の居住者に販売する必要があります。

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