200馬力超えの最強スポーツ!“スーパーバイク選手権”で戦うためのホンダ「CBR−1000RR-R」とカワサキ「ニンジャZX−10R」の違いとは【ライバルをスペック比較】
市販車の性能がそのまま発揮される「スーパーバイク選手権」において、1000ccは最高峰クラスとなります。レースで勝つためには最高の技術が注がれた最高の市販車が必要です。そのために開発されたホンダ「CBR1000RR-R」とカワサキ「ニンジャ ZX-10R」をスペックで比較してみましょう。
6kgの重量差が限界領域でどう影響するか
MotoGPの登竜門ともなる「スーパーバイク世界選手権(WSBK)」に出場可能なマシンは、850〜120ccの4ストローク2気筒、もしくは750〜1000ccの4ストローク3・4気筒エンジンと定められています。
マシンは市販車がベースとなり改造は制限されているため、ライダーのウデはもちろんのこと、使用するマシンのベースである市販車そのものの性能が高くなければ、レースに勝つことは不可能です。
“お店で買ったバイクでそのまま戦う選手権”といえるのがスーパーバイク選手権なのです。
かつてのような「レーサーレプリカブーム」はないものの、メーカー各社がブランドの威信をかけて1000ccのスーパースポーツモデルを作り続けている理由は、ここにもあります。
ホンダ「CBR1000RR-R ファイアブレードSP」とカワサキ「ニンジャZX-10R」は、そのために生まれたバイクといえるでしょう。
事実カワサキは、スーパーバイク選手権でこのバイクとともに世界チャンピオンに輝いたことがあります。それも2015年〜2020年まで6年連続という記録を保持しているのです。
ということは、それ以外のメーカーは負け続けていたということになります。そこでフルモデルチェンジまで敢行して2020年に登場したのがCBR1000RR-Rです。
それまでのCBRは、「トータルコントロール」をコンセプトに開発されていました。しかしRR-Rでは「サーキットで本領を発揮する」と明確に謳われており、WSBKをはじめとしたレースで勝利するためにフルモデルチェンジしたといって過言ではないのです。
それでは両車のスペックを比較してみましょう。
ボディはZX-10Rのほうが若干コンパクトに作られていることがわかります。全高についてはライダー次第で変わってしまうため考慮しないこととします。
ホイールベースもZX-10Rのほうが短くコーナリングに有利に思えますが、重量が6kgもCBR1000RR-Rより重いのです。何Gもかかるコーナリングでのその差は一般ライダーでは想像もつかないほど重いのではないでしょうか。
ちなみに昨今のレース用バイクには、ダウンフォースをはじめとしたエアロを追求し「ウインレット」が備えられているのが一般的です。
形状は違えど、CBR1000RR-RにもZX-10Rにも装着されています。
HONDA CBR1000RR-R FIREBLADE SP
車体サイズ:2105×750×1140mm
ホイールベース:1455mm
シート高:830mm
車両重量:201kg
KAWASAKI NINJA ZX-10R
車体サイズ:2085×750×1185mm
ホイールベース:1450mm
シート高:835mm
車両重量:207kg
200馬力を超えるパワーを低速域から使えるか
ここまでくると、パワー競争も相当熾烈になっていることがみて取れます。
CBR1000RR-Rの最高出力は218馬力、ZX-10Rは213馬力とほぼ互角となっています。
ただ、ZX-10Rは「ラムエア時」とあります。走行中の風圧をダイレクトにエンジン内部に注ぎこみ事実上の過給をするのがラムエア。ということは相当の速度が出ていないと最高出力は出ないということになります。
低速でも218馬力が出せるCBR1000RR-Rがどれだけモンスターなのかがわかるともいえます。
ただ、トルクはZX-10Rのほうが高い数値です。ピストンのボア・ストロークが、CBR1000RR-Rよりも小径かつロングであることが影響していると考えられます。
最高出力・最大トルクの発生回転数がCBR1000RR-Rよりも低いことも注目点です。
逆に言えば、CBR1000RR-Rは“ぶん回してナンボ”ともとれます。その領域を自在に使いこなすのは素人かつ公道では不可能です。つまりCBR1000RR-Rは“そういう”バイクなのです。
HONDA CBR1000RR-R FIREBLADE SP
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC4バルブ
排気量:999cc
最高出力:160kW(218PS)/14000rpm
最大トルク:113Nm(11.5kgm)/12000rpm
トランスミッション:6速MT
KAWASAKI NINJA ZX-10R
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC4バルブ
排気量:998cc
最高出力:149kW(203PS) ラムエア加圧時︰156.8kW(213PS)/13200rpm
最大トルク:115Nm(11.7kgm)/11400rpm
トランスミッション:6速MT
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200万円を超えるバイクは非常に高価な部類といえるでしょう。
スーパースポーツという特殊性を鑑みると納得もできますが、さらに両車の価格差約50万円は大きいでしょう。
どんぶり勘定では、ZX-10Rは200万円台、CBR1000RR-Rは300万円とも数えられます。高級なアフターパーツが買えてしまう差となります。
パワーから考えれば、ZX-10Rはコストパフォーマンスに優れているといえます。
逆にCBR1000RR-Rは、それだけコストをかけて開発されたといえるのです。
ちなみに、サスペンションなどのパーツのグレードは下がりますが、SPではないベーシックなCBR1000RR-Rは248万6000円と値段が下がります。
そこに約40万円足せば、世界最高峰パーツがインストール済みのスーパーバイクが手に入るのです。実際に購入する際は、ベーシックにするかSPにするか悩むことでしょう。
HONDA CBR1000RR-R FIREBLADE SP
車両本体価格:284万9000円
KAWASAKI NINJA ZX-10R
車両本体価格:239万8000円〜240万9000円
11/06 21:10
VAGUE