「信じられないけど 恐ろしく速いんだ」……ハリウッドNo.1 “カーマニア”の名優が愛した 52年前の「スーパーセダン」とは
RMサザビーズのオークションに、今はなき映画俳優スティーブ・マックイーンが所有していたメルセデス・ベンツ 300SEL 6.3が出品されました。どんなクルマなのでしょうか。
0→96km/h加速7秒未満、最高速度208km/h以上のスーパーサルーン
米国カリフォルニア州モントレーで2024年8月に開催されたRMサザビーズのオークションに、今はなき映画俳優スティーブ・マックイーンが所有していたメルセデス・ベンツ 300SEL 6.3が出品されました。
いったいどんなクルマなのでしょうか。
若い人は名前しか知らないかもしれませんが、少し年配の人なら、往年のハリウッドスターであるスティーブ・マックイーンの数多くの作品や、そして彼が自らレースにも参加するほどのクルマ好きであったことはご存知でしょう。
映画「栄光のル・マン」を企画・主演したほどのスティーブ・マックイーンは、カーコレクターとしても有名でした。ハリウッドスターには他にもカーコレクターはいましたが、所有車の歴史的重要性などでは、彼は間違いなくトップでしょう。
マット・ストーンは、スティーブ・マックイーンが所有していたクルマを一挙掲載した本を出版しています。
これによると、スティーブの息子であるチャド・マックイーン(つい先日、亡くなられましたが)が、大きな黒い4ドアセダンがカリフォルニア州・ブレントウッドの自宅に届けられた日のことを語っています。
チャドは、父がなぜこのような銀行家が乗りそうなクルマを購入したのか、困惑していたそうです。
チャドが父にそれを尋ねると、「信じられないだろうが、このクルマは恐ろしく速いんだ!」と答えたといいます。
スティーブ・マックイーンがポルシェ「911S」でアウトバーンを時速130マイル(約208km/h)で走っていると、60歳くらいの男性がパイプをくゆらせながら運転するメルセデス・ベンツ「300SEL 6.3」が、立ち止まっているスティーブの脇を通り過ぎるように走り抜けた。驚いたよ、と語っていたという逸話が掲載されています。
スティーブが購入した大きな黒いセダン、メルセデス・ベンツ 300SEL 6.3は、彼が愛するに値するクルマでした。
300SELというクルマは、現在のSクラスのルーツにあたるモデルです。全長は約5m、全幅は約1.8mという大型の4ドアサルーンで、3Lの直6エンジンを搭載していました。
ですが、この6.3はメルセデス・ベンツの由緒ある「M100型」6.3リッターのV8エンジンを搭載したマッチョなサルーンとなりました。
静止状態から7秒未満で時速60マイル(約96km/h)に達することができ、時速130マイル(約208km/h)でアウトバーンを巡航し、しかもメルセデス・ベンツ最高級の装備で飾られていました。
チャドは、このクルマは父親のお気に入りの1台であり、どこにでも運転していったと述べています。
1980年、スティーブ・マックイーンは50歳という若さで亡くなりました。彼の死後、このクルマはさまざまなコレクターのもとを経て、2013年にドイツのKienle Automobiltechnikでレストアされました。
ブラックのボディカラーを塗り直し、エアサスペンションとブレーキをオーバーホールし、エンジンベイのリニューアル、下部クラックの溶接、さまざまなラインやホース、ガスケットの交換といった作業を施し、12万5000ユーロ以上の費用がかかったようです。
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このスティーブ・マックイーンが愛したメルセデス・ベンツ300SEL 6.3は、14万8400ドル(日本円で約2141万円)で落札されました。
09/27 14:10
VAGUE